『あなたの隣に存在するゲイ、20代最後のエッセイ』

しゅんすけ

文字の大きさ
50 / 50

僕を繋いだ鎖、共依存の関係性

しおりを挟む
僕を繋いでいた鎖。

10代の頃の僕はただ寂しかった。愛やら恋やら青春やら、そういった物に飢えていた。

簡単に手に入るものなら欲しくない。

手に入らない、そう分かった上でどうにかして手に入れようと必死だった。

そして手に入ったと思った。手に入ったと勘違いをして、今度はそれを手放さないことに必死だった。

邪魔も多かった。

必死にしがみついて、しがみついて、しがみついて、気づけばそれは僕の体をぐるぐる巻きつけて動けなくさせる太い鎖になっていた。

その鎖は決して切れなくて錆もしない。だけど年月には勝てなかった。鎖は僕を締め付けて逃がさないようにとした挙句に、鎖の巻き付く力で僕を壊してしまった。

壊れた僕はばらばらと鎖から抜け落ちて、また一つになった。

一人になった。

僕の17、8歳からの10年間はそれだった。それだけだった。

今思えば馬鹿みたいだと思えるけれど、当時は本気で真剣に狂った恋をしていた。これが恋なのかも分からない。だけど僕には必要なものだった。

 その鎖がまだ赤い糸だと信じ込んでいたのは、僕が高校2年生の頃のことだ。

僕に後輩ができて、それを可愛がった。きっかけはただそれだけのことだ。その関係が高校時代だけでは終わらずに、10年続いた。

僕と同じことをするような奴がいるだろうか。僕はいつの間にか後輩が可愛くて仕方なくなった。他の同級生がその後輩と話すのを見ているだけでも少し嫌だった。早くも僕の感情は嫉妬や束縛心に蝕まれていた。

これは恋愛経験をしていないと、という良い例だと思う。逆に言えばその時から狂えてよかったと思う。その狂いが30代では発症なんてしたら大変なことになってしまうから。

僕は後輩を好きになって離れたくなかった。だけど月日がたって、卒業目前だった。卒業してしまえば今までみたいに一緒にいられない。僕にはそれが耐えられなかった。

僕は地元の企業に就職して、悲しみながら働いていた。だけど休日には遊びに誘ってドライブに行ったり、関係は続いた。そして僕はまだあきらめていなかった。

僕は後輩を同じ会社に誘ったのだ。同学年で同じ会社に就職となれば、一校一枠しかないから難しい話だった。だけど彼は後輩、次年度の枠で誘えば一緒にいられると思いついた。

僕は必死に説得をして、彼を同じ会社にいれた。その過程もいろんなことがあったけれど、とにかく同じ会社で働くことになった。

この時点で、僕の体は鎖に巻き付けられて引き返せなくなっていた。

だけど後輩は決して、僕を好きでなんかいなかった。そもそもノンケだ。それは分かっている。

だけどいつかは気が向くかもしれない。人間が手をはばたかせて空を飛べるってくらいに無理な理想を信じていた。8年一緒に働いて喧嘩も、何もかもいろんなことをした。だけど僕は相変わらず好意を持っていた。

そしてその後輩が転勤になった。

僕がした行動は、あっさりとその仕事をやめて彼についていった。引っ越しをした。田舎から関東に。

迷いは1つも無かった。

その時点で気が付くべきだった。僕たちの関係は普通じゃない。

付き合ってもいないのに依存していた。一緒にいすぎて、一緒にいることが当たり前だと思っていた。

だけどその時の僕は期待で胸を膨らませていた。ようやく二人になれる。他に知り合いのいない生活だ、と。

だけど僕たちの関係は、関東に行くとギクシャクしたものになった。依存していたのは僕、だけじゃなくて後輩も同じだったと分かった。

彼は僕がいて当たり前だと、いうなれば亭主関白のような態度をとるようになった。

そこにギャップを感じてしまった。

それは僕の中では高校一年生の可愛い後輩、面倒を見ないと死んでしまうような子犬だったものが凶暴な犬、鎖でつないでおかないといけないような番犬になっていた。

僕は気持ちが一気に冷めて、恋人を作った。
自分でも驚くくらい、あっさりと気持ちが冷めてしまった。その最後のきっかけを作ったのは後輩だ。

その話はいつか……。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...