上 下
4 / 4
第2章:迷宮

04:ダンジョン3

しおりを挟む
想像していたより強いな。ごっこ遊びとはいえ、もっと手を抜くつもりだったんだが。
剣を交えながら、俺は目の前の幼馴染を思った。

元々あいつは、近所の家の倉庫か、第六書庫室に行けば会えると察しがつくほどの書物愛好家だ。
俺や周りの奴らが無理やり引っ張って、外に連れ出したことは一度や二度ではない。

暗がりの中で、わずかな明かりを灯し、俺が近づけば書物から目を離さぬまま「ゼイフィア、何の用だ?」と言うような奴だ。物陰に隠れていても、俺であることを当てるので、俺は如何様にして正体が自分であることを隠し通せるか、度々あいつの元に通っ..様子を見に行っていた。

そのレゼルヴが、俺の美しい筋肉...いい響きだ。俺の美しい筋肉に怯みもせず、一撃を見事にかわしてきていやがる。

まさかあのあいつが、ここまでの腕前の持ち主だったとは。

1対1の対人戦である場合、槍は剣に比べて不利なところがある。
そのデメリットも踏まえた上での身のこなし。見事だと言える。

迷宮実践の班が割り振られ「久々に『ごっこ遊び』をしないか」と提案された時には、少し驚いたが、なるほど、互角に戦える余裕があるということか。

「な、いつもと様子が違うと感じるんだが_」

レゼルヴが回転しながら後方に退く。

「ふふふ。そうだろう?この日のためにトレーニングを強化したのさ!」

なんて美しい俺!!

「違う、お前の筋肉の話じゃない。迷宮が静かすぎる。」

「ん?」

なんだ。俺の話じゃないのか。
静寂の時の中、気を集中させる。

入り口付近__4名。
地面に腰を下ろしているのがセレナ。
あとは、軽く挨拶した程度だが、先月ヒスイ(第七地区)から来たという2名。凍りついている気を感じる。
残りの1名は足の歩幅からしてもフォーデルハウト。

数メートル経て、俺たち2名

その50メートル先には、迷宮モンスターがい_いないな。

「ああ。確かに迷宮モンスターが付近に確認できない。だが、先に来た演習部隊が全狩りしたという可能性もある。そう警戒することもないんじゃないか。」

レゼルヴは首を振る。

「いや、他の演習部隊は他の初級入口を使用している。昨日、兄さん、いや、隊長の迷宮計画表を確認したから間違いない。本隊パーティーは少なくとも中級入口を使用するはずだ。仮にここを通ったとしても、初級入口付近のモンスターなんて、わざわざ狩らずに素通りするだろう。」

「そうなれば、言い得て妙だな_。」

「俺の考えすぎなら、そうあってほしんだが_。」

ふとお互いの顔を照らしていた炎と水の幻想魔法が消える。
あたりは一瞬にして黒に染まるが、次第に視界がなれていく。

「宝石自治区で、唯一ダンジョン中型ボスに遭遇し、攻略を成し遂げたフォーライト(第四地区)のボス出現状況と酷似している。」

「だが、しかし、ここは初級入口だ。ここを屯しているモンスターも力は弱い。上級入口や迷宮奥ならまだしも、こんな場所に出現するとは_」

その時、突如ダンジョン先方から突如煙が巻き込んだ。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。


処理中です...