癒しの力が優遇されるこの世界で.〜エリート騎士に溺愛されてます。

み空色

文字の大きさ
9 / 21

エリザベス〜師団長シグルド視点

しおりを挟む
コーネル公爵家の令嬢エリザベスに癒しの力が覚醒したと聞いて嫌な予感しかしなかった。

エリザベスは友人のレオンハルトの妹で俺達より8歳下のこともあって、甘やかされて育っていた。ほしいものは何でも手に入り、我慢を知らない。
俺は年の離れた友人の妹を苦手に思っていた。それは彼女をちやほやする男達の中で異端であった。

エリザベスはいつの頃からか手に入らない俺に執着するようになった。俺が少し話しただけの女性を権力を使って排除する。幼くても立派な女だった。

そういうのが嫌で嫌で仕方なく、あの宣誓はエリザベスを遠ざけるのに都合が良かった。

エリザベスの覚醒の話しを聞いてから数日後に王宮から呼び出しを受けた。
謁見室には王の他に軍務大臣、宰相、コーネル公爵、騎士総長がいた。

王から衝撃的なことを告げられる。
「ドラゴンの目覚めが近いと報告を受けている。このタイミングでエリザベスが莫大な癒しの力を覚醒させたのも意味があると思う。
貴公も知っておろう、ヒーラーの力は精神に左右される。エリザベスに力を発揮させるには、エリザベスにやる気を出させなくてはならない。
父親のコーネル公爵に聞いたところ、第7師団長 シグルド-リンバーグの為ならばやるだろうとのことだ。
これはすでに裏どりしている。否定しても無駄だ。
シグルドよ、エリザベスがやる気になるよう、甘い言葉を囁き、懐柔してみせよ。
騎士や魔法師の命の為である。よいな」

「‥絶対に無理です。他の方法を検討してください」

「これは命令だ。背くなら貴公が想いを寄せているユーリという女性騎士をどうにかせねばなるまいな」

騎士総長の顔が強張っている。何も知らなかったらしい。

王家が放った全力の刺客は俺と騎士総長だけでは防ぎきれない。それこそユーリを部屋に閉じこめないと安全な時間は一瞬たりともないだろう。

断腸の思いで「御意に」と返答した。

それからはエリザベスを第7師団に受け入れる為の打ち合わせの連続だった。ユーリから会いたいと連絡が入るが、忙しいのと王家の刺客のことを考えると連絡を取らない方が良いと判断した。

エリザベスが第7師団に入ってトラブルが倍増した。遠征時でも温かいレストラン並みの食事を要求する。移動は輿での移動か騎士のお姫様抱っこを要求する。常識がなくて、トラブルを起こすたびに何度も呼び出され、キレそうになるが、窘めると癇癪を起こすので、面倒でキスをしてそんな事言うなと言えば大人しくなるのでそうしていた。当たり前だが心なんて入ってなくて只の作業だ。こんな事しているなんてユーリには知られたくなくて、騎士達には厳しく緘口令をしいていた。

心がどんどん汚くなっていく。もう身動きが取れなくなっていた。

俺がエリザベスの問題やエリザベスの対応で師団長の職務ができないので、遠征時の前線への指示、報告関係、作戦立案全ての師団長業務がセシルの負担となった。また、エリザベスに触発されてヒーラーのアンナがセシルに絡むらしく、業務もあって躱せないことが多いらしい。セシルもララと会ったりできないと言っていた。

そんな毎日を過ごしていたが、コカトリスが西の森に出た。討伐遠征にエリザベスが同行すると言いだした。今まで王都近郊の遠征で俺とセシルを含む見目の良い騎士20人程度の日帰り遠征しか行かなかったのに、何か企んでいるのではないかと思ったが、連れて行くしかない。いつものようにわがままを言ってキスで口封じをするしかなくなってもユーリは前線でエリザベスは後方なので見られることもないだろうと思った。

遠征は何ごともなく終わった。

その後の祝勝会の時、エリザベスからローズの間に誘われた。一度断ったが、この場で話したら貴方の為にならないと言われ仕方なく付き添った。

ローズの間では、ユーリのことをやけに聞いてきた。エリザベスがユーリのことを気に入らないと言ったら王家の刺客がユーリを害する可能性があると思い、なんでもない風に装った。

ユーリと私どっちが好き?

ユーリだよと心の中では即答したが、実際はエリザベスと言わないといけない。でも絶対に言いたくなくて、いつものようにキスして「もう何も言うな」と言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

慈悲深い天使のテーゼ~侯爵令嬢は我が道を征くつもりだ

あとさん♪
恋愛
王太子の婚約者候補に名を連ねながら、政権争いに敗れ、正式任命されなかった侯爵令嬢パトリシア。 彼女には辺境伯家との縁組が命じられた。辺境伯は毛むくじゃらの天をつくような大男で、粗野で野蛮人だと王都では噂されている。さらに独立して敵国に寝返るかもしれないと噂される辺境伯家に嫁いだら、いったいどうなるの? いいえ、今まで被り慣れた巨大な猫を、この際、盛大に開放させましょう。 わたくしは過去の自分を捨て、本来のわたくしに戻り、思うまま生きてやります! 設定はゆるんゆるん。なんちゃって異世界。 令嬢視点と辺境伯視点の2話構成。 『小話』は、2人のその後。主に新婚さんの甘々な日常。 小説家になろうにも掲載しております。

虚弱姫はコワモテ将軍の筋肉に触りたい

隙間ちほ
恋愛
◼︎無骨な英雄×病弱な筋肉フェチ姫 ◼︎辺境伯の末娘エルナは、領軍の英雄マテウスとの結婚が決まった。政略結婚――のはずが、実は姫は将軍の熱烈なファン。姫がノリノリで嫁ぐ一方、当のマテウスは「か弱い姫君に嫌われている」と思い込み、距離を取ってしまう……。 ◼︎筋肉と鼻血とすれ違いラブコメ。 ◼︎超高速展開、サクッと読めます。

処理中です...