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隣国で王子と訓練

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王子との剣の訓練の為、私はシグルド様とララはセシル様とワイバーンに乗り、リグルド王国に向かった。
2泊3日を予定している。
ワイバーンとの空の旅は快適で、ぐんぐんと景色が流れていく。通常、馬車で一週間かかる道のりを1時間でつく。
事前に言われていた王城の広場に降り立ち、ワイバーンはまたどこかに飛んで行った。

王と王妃、その他重鎮に挨拶をして、ララとアレックス王子の剣の指南に向かおうと思っていたところ、シグルド様とセシル様が眉間にし皺をよせる。
王子の訓練場と騎士の訓練場が違うことが気に入らないらしい。
すぐに王に話しがいき、王子の訓練も騎士団の訓練場となった。
騎士団の訓練場は観覧席があり、今日は一目ドラゴンスレイヤーを観ようと貴族や民衆が観にきている。

急遽、段取りを決めて、騎士団の訓練前にアレックス王子の剣を披露する。私との打ち合いをしているところを見てもらうことにした。

王と王妃、シャーロット王女も見学に来られ、アレックス王子は緊張されている。

楽しみましょうと声をかけて、訓練場の真ん中に立って、礼をする。
これからするのは模擬試合ではなく指導訓練だが、アレックス王子の剣技がより映えるように手合わせをする。

アレックス王子が身体能力向上の魔法を巡らせ、スピードに乗った一撃を打ってくる。それを上段で受けはじいたら、それも計算に入っていたのか続いて右、右、左、右と連続で打ち込んでくる。観覧席からどよめきがおこる。幼い王子がここまでできると思わなかっただろう。武の素養がなければ、目でおえるかどうかのところだ。
5分くらい打ち合いを続けて、そろそろ限界かと思ったところで王子が 

「まだ行けます!」

と叫び、私が最初に彼に見せた模擬試合のときのように、スピードを乗せて左右にステップを踏み、その勢いのまま、下段を薙ぎ払い、次の瞬間には私の右斜め上の空中から頚動脈を狙ってきた。私もここまで王子ができるようになっていると思わず、かろうじて受けただけだった。

一旦王子が離れたので、私は剣を下ろして終わりの合図をする。
 

「良くここまで上達されましたね」

とお伝えすると

肩で息をしながら、力強く
「はい、ありがとうございます」といった。

礼をすると観覧席から割れんばかりの拍手がおこった。
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