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ハンター
予期せぬ出来事 1
しおりを挟む「本日 午後3時頃、東京都H市在住の女性から『家に居るはずの娘が居なくなった』と警察に通報がありました。行方不明の矢ヶ崎ひなさん22歳は携帯や財布などを自宅に置いたまま行方がわからなくなっています。先月から多発している行方不明事件ですが、矢ヶ崎ひなさんを含め行方不明者は50人を超えています。」
「また行方不明だってさ、どうなってんのかね」
閉店作業をサボり店のテレビをぼーっと眺めていた上司がこちらに話しかける。
「興味ないです」
こっちは早く帰ってゲームしたいのにお前がサボってるから終わらねぇんだよジジイ。と心の中で暴言を吐きつつ冷たく返す。別にこの上司が嫌いな訳では無い。仕事をすればとても優秀だし、店長からも信頼されている。仕事をすれば。
「行方不明者ってほぼ全員働いてなかったらしいぞ。親が殺して埋めたんじゃねぇか?それか、ニートを構成するための施設に連れていかれたとか!」
「じゃあ村越さんも閉店作業サボってたらニート扱いされて行方不明になりますね」
「宗ちゃんひどーい!」
「その呼び方とおネェ口調辞めてください」
ジジイで上司の村越さんは大声でガハハと笑っている。その笑い声が余計に人をイラつかせているのを自覚してるのかしてないのか。
「トイレ清掃してきます」
村越さんが作業するはずだったエリアの掃除をサッサと終わらせてトイレに移動する。本当はトイレ清掃も村越さんの仕事なんだけど。
「よろしくぅ!」と後ろから聴こえる村越さんの声は無視しておく。
テキパキとトイレを掃除しながら先程の行方不明事件の事を思い出す。ニート構成施設とか、親が殺して埋めたとか、村越さんの思考回路はいつも斜め上を行く。本当に親が殺したなら警察に届けたりしないだろうし、ニート構成施設があるならそこに入ったというだけで行方不明にはならないだろ。村越さんの考えを全否定していた時、一瞬目の前が暗闇に包まれ、その後眩しい光で何も見えなくなった。
「...は?」
段々眩しさがなくなり、塞いでいた目を開けると先程まで目の前にあったトイレの便器は無くなり、代わりにヘンテコな着ぐるみが立っていた。
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