俺、ニートじゃない。

Ri.1

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ハンター

予期せぬ出来事 3

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扉を開くと目に映ったのは、異世界とも日本とも言い難い、近未来的な街並み。道路やビル、店なんかは東京の都心と何ら変わりはないが、噴水の上にスクリーンが浮いていたり、掲示板や標識が全て液晶画面になっている。

街には比較的人が多いが、よく見るとそのほとんどがボットというかCPUというか、とにかく本物の人間ではないのが分かった。

「...どうしろってんだ」

思わずため息混じりに呟く。

「おっ!君は新入りだね?」

急に声をかけられ後ろを振り向くと、またもやおかしな着ぐるみがそこに立っていた。
黒いエプロンに奇妙なお面を付けているという点は先程のカバ蔵と何ら変わらない。ついでに声もカバ蔵と同じだ。唯一違ったのは、クマではなくウサギの着ぐるみな事。

「...あの、無職と間違われてここに連れてこられたんですけど」

多分この世界の管理人はみんなカバ蔵のような着ぐるみなんだろう、というのは仕事以外の時間はほぼゲームやアニメ鑑賞に費やしている俺のヲタクの勘。
管理人なら元の世界に戻せるだろう。まぁカバ蔵は話しても認めてくれなかったけど。

「えぇ!それは困ったなぁ。ただ僕の仕事はこの街の案内だけだから、それは他の管轄の人に言ってくれるかい?」

あぁ、こいつもか。

「カバ蔵ってやつにもそれ言われたんですけど、誰に言えば戻してもらえるんですか」

「うーん、そうだなぁ。トラ蔵なら管轄内かもね。ただ、トラ蔵はこの世界で更正して元の世界に帰る条件を満たした人だけが会えるんだよ」

「いや、更正も何もニートじゃ無いんですから何とかトラ蔵さんに伝えて下さい」

「じゃあ今日の会議の時に伝えておくから、とりあえず僕の仕事をさせてくれないか?」

お役所仕事かこいつら。

「...絶対伝えてくださいね」

「物わかりが良くて助かるよ!じゃあ行こう!まずここに来た人はみんな最初に役所で手続きしてもらうんだ!」

本物のお役所仕事キター。

「ここが役所だよ、住民登録してきてね、僕はここで待ってるから」

そう言われ、役所に手続きをしに行く前にどうしても気になって仕方が無かったことを聞いてみる。

「ちなみに貴方のお名前は?」

「僕かい?僕はウオ蔵だよ!」



ウサギ耳で魚か。トラ蔵は何耳なんだろう。
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