【再々掲】異世界召喚に巻き込まれ転移中に魔法陣から押し出され、ボッチで泣いてたらイケメン幼馴染が追いかけてきた件<改定版>

緒沢利乃

文字の大きさ
38 / 43
僕と幼馴染ともふもふと

プロポーズと親友宣言

しおりを挟む
悠真の僕と比べてほんのちょっぴり逞しい体に抱き着いて、僕はぶわわわっと溢れる涙をそのままにえぐっえぐっと泣き出した。

あー、よかった! 僕、悠真に嫌われていたんじゃなかったんだー!
悠真は何でもできる凄い子どもだったけど、僕はのんびりした残念な子どもだったから、悠真もこんな僕の面倒みるのが嫌になったのかなー、て凹んでた。

でも違った! 僕と疎遠になったのは、悠真の家の事情から僕を守るためだったって。
また、一緒にいられるんだよね? として付き合ってくれるつもりだったんだー! わー、嬉しいなぁ。

その卒業の日に異世界に召喚されて、しかも僕は魔法陣から押し出されてボッチスタートだったのはとんだ不幸だったけど。

「よかった。また一緒にいられるなんて、嬉しいよ! 悠真……僕、迷惑かけちゃうと思うけど、これからもよろしくね」

改めて言うと照れるけど、どうしても僕の気持ちを伝えたくて、涙でぐちょぐちょの顔で悠真と目を合わせる。
悠真もほとんど表情筋が仕事放棄してるけど、眉をちょっと上げて驚いたあと、僅かに口元が綻んだようだった。

はっ! しまった。あとは、アレを確認しないと……。は、恥ずかしいけど……また、親友に戻れた僕たちなら、大丈夫だよね。

「そ、それでね、悠真。あのぅ、お城でのことなんだけど……」

どうして僕にキスしたの? いーやー、やっぱり聞けないよー、恥ずかしくて死んじゃう。
想像しただけで、僕の体温が急上昇して真っ赤になった顔が上げられないもん。
俯いた僕の旋風辺りに悠真の視線をめちゃくちゃ感じているけど。

「お城のこと?」

「………………うん」

ま、まさか、忘れているなんてないよね? そういえば……橘家はグローバル展開する世界的大企業の創業一族だ。
やっぱり、もしかして、キスなんて挨拶代わりなんだろうか? ひえええーっ。

「凛のこと好きだからだよ」

は? 今、なんて言った? もしかして僕の聞き間違い?
悠真が僕に「好き」って言ったように聞こえたけど? え!? ど、どどどどと、どういう意味で? 悠真の「好き」ってなに?
あああっ、僕ってば、耳がおかしくなっちゃったのかな?

「昔……約束したよね。ずっと一緒にいるって。そのときから凛への俺の気持ちは変わらない」

悠真は僕の両手をその大きな手で包んで、至近距離でふわっと花が綻ぶように微笑んだ。
わぁーっ、悠真は相変わらず顔面偏差値も高いね! 美人の微笑みに僕の頭はクラクラしちゃう……って現実逃避してる場合じゃなかった。

「えーっと、昔?」

「覚えてないかな? ほら幼稚園の卒園式で。桜の木の下」

幼稚園の卒園式……。そんなに前の話なの? まてよ、桜の木の下? …………あー、思い出した!

『りん。なかないで。おわかれじゃないよ。おなじがっこうだよ、ぼくたち』
『うぇっ。ぐす。ゆうまぁ。やだよぅ。いっしょにいるぅ。いっしょにおひるねして、ごはんたべるぅ。ずっといっしょだもん』
『うん。いっしょだよ。ずっといっしょだよ。おとなになっても、ぼくのとなりにいるのは、りんだけだよ』
『ゆうまぁ、だいしゅき』(友達として)
『ぼくも。りん、すきだよ』(生涯の伴侶として)

卒園式で友達と別れるのが悲しくてギャン泣きした僕を悠真が慰めてくれたっけ。ほのぼのとした思い出だ。

はっ! もしかしてそういうこと?
誤解だったけど、アデラさんという魔族に城に拉致された僕の恐怖心とかあれやこれやを慰めようと、幼稚園のときと同じく慰めてくれたのか!
あのとき、チュッて頬にキスしてくれたもんね、悠真。ずっと一緒にいるって約束だよって頬にキス……悠真も僕もかわいかったなぁ。
慰める方法がなんでキスなのかわからないけど、橘家では海外式なのかもしれない。さすがセレブな一族だ。
そっかあ、そういうことだったかぁ。

「うん、わかったよ、悠真、ありがとう。僕も悠真のこと好きだよ」

友達として、ううん親友として、悠真のことはずっと大好きだよ!

















俺の告白を笑顔で受け止めてくれた凛に、やっぱり改めてプロポーズしたのは正解だったと頷いた。
お互いに気持ちを確かめ合ったなら、次は物理的に繋がるべきだと思う。

それが正しい恋人同士だと思うのに……ちょっとローションとか用意している僅かな間に凛は熟睡していた。
しかも、あの毛玉を胸に抱きながら……。凛、こいつは汚いから放しなさい。

「ガルッ」

「うるさい。獣が。あっちにお前の寝床があるからそっちに行け」

ポーンとボールのように、毛玉を蹴り上げた。

「……っ。ううーん」

ヤバい。凛がゴロリと寝返りをうった。いや? 今ここで目を覚ましてもらえば愛の儀式に突入できるのでは?
しかし、俺の苦悩も知らずに、再びスヤスヤと眠る凛。

「……はあーっ」

俺は、すごすごと隣のベッドに潜り込む。
そうか、やっぱり初めてはこんな宿ではなく、もっと素敵な場所がいいよね!
あっちでは新しく建てられた都内のタワーマンションの最上階を用意しておいたけど、こっちの世界でも凛に相応しい屋敷を手に入れるよ!
そ、それまで……我慢するのか……。








翌朝、今までの憂いが無くなって気持ちよく目覚めた僕。

「おはよう、悠真」

「……ああ。おはよう」

気のせいかな? 悠真の目の下に隈ができているような?
ハハハ、まさかまさか。悠真の美貌は今日も最高です!

「ねえ、悠真。今日はをするの?」

僕の無邪気に問いかけに、朝食のスープを口に運んでいた悠真がブーッと噴き出した。

「え? ええーっ」

ゴホッゴホッと咳き込む悠真の背中を摩ってあげる。ヒョウガなんてもろに吐き出したスープを被って「キャウン」と泣いている。

「大丈夫?」

「な、なに。なにをスルって……なにって、……」

あれ? 悠真が壊れちゃった?
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

姉の婚約者の心を読んだら俺への愛で溢れてました

天埜鳩愛
BL
魔法学校の卒業を控えたユーディアは、親友で姉の婚約者であるエドゥアルドとの関係がある日を境に疎遠になったことに悩んでいた。 そんな折、我儘な姉から、魔法を使ってそっけないエドゥアルドの心を読み、卒業の舞踏会に自分を誘うように仕向けろと命令される。 はじめは気が進まなかったユーディアだが、エドゥアルドの心を読めばなぜ距離をとられたのか理由がわかると思いなおして……。 優秀だけど不器用な、両片思いの二人と魔法が織りなすモダキュン物語。 「許されざる恋BLアンソロジー 」収録作品。

僕、天使に転生したようです!

神代天音
BL
 トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。  天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 説明は初めの方に詰め込んでます。 えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?) ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます! 5/25 お久しぶりです。 書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。

処理中です...