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陰謀編 社交シーズン春②
蛇の企みと望みと
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ジリジリリ……。
唯一灯していた蝋燭の芯が短くなり、融け出した蝋がポトリポトリと燭台から床へと落ちていく。
ペラリペラリと古ぼけた書物のページを無造作に捲っていた長い指がピタリと止まった。目当てのものを見つけてニイィと赤い唇を歪ませる若い男。深夜、薄暗い地下室の倉庫で従者も付けずに一人、部屋に籠っていた。手にしているのは、魔獣の研究書であり、その中でも異端とされ禁書になった一冊の本だった。
若い男の指で辿る文字には、魔素と獣、魔獣が誕生する条件が綴られている。その異端書を記した学者が研究観察した場所は、ウェントブルック辺境伯領の森。同じ条件で同様の実験をすれば、同じ答えに行きつくはず。
「なにがいいかな?」
狂暴な獣なら、熊がいいか? 数多く誕生させるなら群れで行動する狼? いや熊や狼は捕獲するこちら側の犠牲も考えないといけない。
「じゃあ……犬は、弱いか……」
場所はウェントブルック辺境伯領だ。王都の騎士団など足元にも及ばない。ここプレイステッド辺境伯騎士団とは戦う相手が違う。彼らは魔獣討伐のエキスパートであり、この国最強の騎士団である。幸いなことに、その最強の騎士団の最強の騎士はウェントブルック辺境伯領にはいない。何を間違ったのか王都の騎士団で騎士ごっこをしているのだ。だからこそ、こちらの企みが成功する確率が上がるのだけど。
「そうだ!」
パチンと両手を叩いて赤い眼をキラキラと輝かす。プレイステッド辺境伯領で余っている獣といえば……山賊たちを狩ったあとや、商会の馬車が襲われた残り物……馬だ。美馬や駿馬は間に合っている。山賊たちが乗り回している馬は栄養状態もよくないし、暴力で躾けられているから矯正できない。商会の馬は山賊に襲われ怪我をしているか、逃げるときに足を痛めていたりして、やっぱり使い物にならない。
だったら、そんな馬をまとめてかの地に送ってしまえば……。
「馬なら足も速い。被害が拡大していくだろう」
ふふふ。
若い男には、魔獣と化した馬に翻弄される屈強な騎士たちと、逃げ惑う領民の姿が見えるようだった。ウェントブルック辺境伯に恨みはないが、自分の野望のため魔獣に蹂躙され犠牲を多数出し、いずれは領民たちの口から領主への不満を、新しい希望を求める声を上げさせる。彼の価値を究極に高める必要がある。
「そのあとは……ふふふ。でも、まさか彼が表舞台に戻ってくるとは……。てっきりそのまま領地に籠ると思っていたのに」
ギリッと爪を噛んで眉を寄せる。あの豚が自分の計画の邪魔になるだろうか? 昔はこの自分と図々しくも並び讃えられたあの男。邪魔であるならば排除するのも簡単だが、問題は彼はあの男にまだ思いを残している。もし、排除したのが自分だとわかったら、こちらが利用するどころか、最大の壁となって立ちはだかるだろう。忌々しい。
「まずは、ウェントブルック辺境伯領への工作を始め……豚の動きは探らせておく。必要があれば春の夜会で顔を合わせればいいだろう」
彼がまだ豚に執着しているなら、自分の手駒として利用してやるのもいいかもしれない。なんといってもオールポート伯爵家などという、愚かな貴族に嵌められた程度の豚なのだから、自分が有効に使ってやれば感謝こそされ、憎まれることはない。彼に対してもいい人質になるかも。
「ふふふ。人質? 豚だけど。本当に豚になっても、まだ愛しているのかな? まあいいや、価値がなければ消せばいいこと」
そう、いつものように……。
ぶえっくしょいっ!
ズビッ。あれ? なんかこのパターン、前にもあった気がするな? 誰かが俺の噂をしているのか? やだぁ、オールポート伯爵様ってば痩せてとってもダンディになられたわって、女の子が噂してたりして。ぐふふふふ。
……そんなことなかったわ。ここ、男ばっかりの世界だし、女の子もいるけど、既婚済のぽっちゃり親父が浴びれる賛辞なんてありゃしない。俺……夢見てたみたいだ。うっ、汗が眼に入って沁みるなぁ……。
「セシル様、何サボってんですか? 今度の視察は長丁場になるから、準備で忙しいんですよ? 書類仕事ぐらいサクサク済ませてください」
「……はい」
ちえっ。くしゃみしても心配もしてくれないのかよ、ディーンの奴。俺は口を尖らせてカリカリと羽ペンでサインを書いていく。ちゃんと内容も読んでますよ。サレルノで幼児教育用の絵本の購買記録と、オムツや食器の追加購入ね。はいはい、オッケー。次はクレモナ商店街の景観の陳情書? ふむふむ、花を植えるのはいいが種類と色がバラバラで落ち着かない。……これはクラークのところじゃないのか? ん? ああ、新しく花を植え替える苗代ね。いいですよー。ふわはははっ、俺の手にかかれば書類仕事なんてお茶の子さいさい。サラサラ―ッとサインをして、大事な書類には印章を押してっと。
「リグーリの視察には、シャーロット様は連れて行かれないので?」
「ああ。シャーロットちゃんは今回はお留守番。その代わりサレルノやクレモナ商店街の視察を任せる。だからベンジャミンもお留守番」
「今回は俺とセシル様だけですか? プレイステッド家が怪しい動きをしているのに、それは手薄なのでは?」
「ハリソンの奴がちゃんと護衛をしてくれればいいが。今回は兄上に頼んでハーディング侯爵騎士団も借りる。クラークも一緒だしな……」
農地の視察だからのんびり気分なわけではない。リグーリには役所と騎士団の詰所が新しく建てられたし、ちょっと考えていることもあるので、いくらプレイステッド家を警戒していても視察を中止にすることは嫌だった。だから、万全の状態で出発したかったが……人選で苦労することになるとは。結局……。
「ベンジャミンの穴はディーンとクラークで埋めるとして、俺の護衛は……リヒト頼みだ!」
俺の両手に抱えられて、リヒトはきょとんとした顔でディーンを見つめた。
唯一灯していた蝋燭の芯が短くなり、融け出した蝋がポトリポトリと燭台から床へと落ちていく。
ペラリペラリと古ぼけた書物のページを無造作に捲っていた長い指がピタリと止まった。目当てのものを見つけてニイィと赤い唇を歪ませる若い男。深夜、薄暗い地下室の倉庫で従者も付けずに一人、部屋に籠っていた。手にしているのは、魔獣の研究書であり、その中でも異端とされ禁書になった一冊の本だった。
若い男の指で辿る文字には、魔素と獣、魔獣が誕生する条件が綴られている。その異端書を記した学者が研究観察した場所は、ウェントブルック辺境伯領の森。同じ条件で同様の実験をすれば、同じ答えに行きつくはず。
「なにがいいかな?」
狂暴な獣なら、熊がいいか? 数多く誕生させるなら群れで行動する狼? いや熊や狼は捕獲するこちら側の犠牲も考えないといけない。
「じゃあ……犬は、弱いか……」
場所はウェントブルック辺境伯領だ。王都の騎士団など足元にも及ばない。ここプレイステッド辺境伯騎士団とは戦う相手が違う。彼らは魔獣討伐のエキスパートであり、この国最強の騎士団である。幸いなことに、その最強の騎士団の最強の騎士はウェントブルック辺境伯領にはいない。何を間違ったのか王都の騎士団で騎士ごっこをしているのだ。だからこそ、こちらの企みが成功する確率が上がるのだけど。
「そうだ!」
パチンと両手を叩いて赤い眼をキラキラと輝かす。プレイステッド辺境伯領で余っている獣といえば……山賊たちを狩ったあとや、商会の馬車が襲われた残り物……馬だ。美馬や駿馬は間に合っている。山賊たちが乗り回している馬は栄養状態もよくないし、暴力で躾けられているから矯正できない。商会の馬は山賊に襲われ怪我をしているか、逃げるときに足を痛めていたりして、やっぱり使い物にならない。
だったら、そんな馬をまとめてかの地に送ってしまえば……。
「馬なら足も速い。被害が拡大していくだろう」
ふふふ。
若い男には、魔獣と化した馬に翻弄される屈強な騎士たちと、逃げ惑う領民の姿が見えるようだった。ウェントブルック辺境伯に恨みはないが、自分の野望のため魔獣に蹂躙され犠牲を多数出し、いずれは領民たちの口から領主への不満を、新しい希望を求める声を上げさせる。彼の価値を究極に高める必要がある。
「そのあとは……ふふふ。でも、まさか彼が表舞台に戻ってくるとは……。てっきりそのまま領地に籠ると思っていたのに」
ギリッと爪を噛んで眉を寄せる。あの豚が自分の計画の邪魔になるだろうか? 昔はこの自分と図々しくも並び讃えられたあの男。邪魔であるならば排除するのも簡単だが、問題は彼はあの男にまだ思いを残している。もし、排除したのが自分だとわかったら、こちらが利用するどころか、最大の壁となって立ちはだかるだろう。忌々しい。
「まずは、ウェントブルック辺境伯領への工作を始め……豚の動きは探らせておく。必要があれば春の夜会で顔を合わせればいいだろう」
彼がまだ豚に執着しているなら、自分の手駒として利用してやるのもいいかもしれない。なんといってもオールポート伯爵家などという、愚かな貴族に嵌められた程度の豚なのだから、自分が有効に使ってやれば感謝こそされ、憎まれることはない。彼に対してもいい人質になるかも。
「ふふふ。人質? 豚だけど。本当に豚になっても、まだ愛しているのかな? まあいいや、価値がなければ消せばいいこと」
そう、いつものように……。
ぶえっくしょいっ!
ズビッ。あれ? なんかこのパターン、前にもあった気がするな? 誰かが俺の噂をしているのか? やだぁ、オールポート伯爵様ってば痩せてとってもダンディになられたわって、女の子が噂してたりして。ぐふふふふ。
……そんなことなかったわ。ここ、男ばっかりの世界だし、女の子もいるけど、既婚済のぽっちゃり親父が浴びれる賛辞なんてありゃしない。俺……夢見てたみたいだ。うっ、汗が眼に入って沁みるなぁ……。
「セシル様、何サボってんですか? 今度の視察は長丁場になるから、準備で忙しいんですよ? 書類仕事ぐらいサクサク済ませてください」
「……はい」
ちえっ。くしゃみしても心配もしてくれないのかよ、ディーンの奴。俺は口を尖らせてカリカリと羽ペンでサインを書いていく。ちゃんと内容も読んでますよ。サレルノで幼児教育用の絵本の購買記録と、オムツや食器の追加購入ね。はいはい、オッケー。次はクレモナ商店街の景観の陳情書? ふむふむ、花を植えるのはいいが種類と色がバラバラで落ち着かない。……これはクラークのところじゃないのか? ん? ああ、新しく花を植え替える苗代ね。いいですよー。ふわはははっ、俺の手にかかれば書類仕事なんてお茶の子さいさい。サラサラ―ッとサインをして、大事な書類には印章を押してっと。
「リグーリの視察には、シャーロット様は連れて行かれないので?」
「ああ。シャーロットちゃんは今回はお留守番。その代わりサレルノやクレモナ商店街の視察を任せる。だからベンジャミンもお留守番」
「今回は俺とセシル様だけですか? プレイステッド家が怪しい動きをしているのに、それは手薄なのでは?」
「ハリソンの奴がちゃんと護衛をしてくれればいいが。今回は兄上に頼んでハーディング侯爵騎士団も借りる。クラークも一緒だしな……」
農地の視察だからのんびり気分なわけではない。リグーリには役所と騎士団の詰所が新しく建てられたし、ちょっと考えていることもあるので、いくらプレイステッド家を警戒していても視察を中止にすることは嫌だった。だから、万全の状態で出発したかったが……人選で苦労することになるとは。結局……。
「ベンジャミンの穴はディーンとクラークで埋めるとして、俺の護衛は……リヒト頼みだ!」
俺の両手に抱えられて、リヒトはきょとんとした顔でディーンを見つめた。
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