柴犬ポン太の事件簿

月影 光(つきかげひかる)

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第1話:消えたおやつ事件

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「ポン太~、今日のおやつはシュークリームだよ♪」

 そう言って、うちの飼い主・花さんは冷蔵庫をバタンと閉めた。
 はいはい、また自分だけ食べる気でしょう。僕のは?

 僕は柴犬、8歳。名はポン太。趣味は昼寝と推理。特技は“匂いでわかる嘘”。

 

 午後3時。花さんの至福のティータイムが始まる――はずだった。

「……えっ。ない! シュークリームが、ない!」

 叫び声に僕はのっそり起き上がり、台所へ向かう。

 

 なるほど、冷蔵庫の扉はちゃんと閉まってる。
 でも床に、うっすら白い足跡と、小さな紙の切れ端。

 ふむふむ。これは、“犯人は現場に戻る”パターンかな。

 

 と、その時。「にゃーお」と鳴いて現れたのは、ベランダから侵入してきた田中さん家の猫――ココアだ。

 コイツ、また来やがった。

 

「ココアちゃん……えっ、まさか……」

 花さんが顔をしかめた瞬間、ココアは堂々とテーブルに飛び乗り、花さんのマグカップの匂いを嗅ぎはじめる。

 完全に現場検証してるつもりらしい。ふざけんな。

 

 僕はクンクンとココアの足元を嗅ぎ、残り香の“カスタード臭”を確認。
 その場で「ワン!」とひと吠え。

 

「えっ……ポン太、わかったの?」

 花さんが僕を見る。僕はそっとココアのしっぽを見つめる。

 ――そこに、白いクリームがほんのりついてた。

 

 その夜、花さんは僕に特別ボーナスとしてチーズ味のガムをくれた。
 まあ、これも名探偵の宿命ってやつかな。

 

 “小さな謎も、僕の鼻にかかればチョロいもんだ”

 
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