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私がここはBLゲームの世界だと知ったのは5年前だ。
唐突に思い出したのは13歳の頃だった。庭を散策していたら刺客に狙われて矢で肩をやられた。それには毒が塗ってあり私は2日もの間、生死の境をさまよった。医師の処方した毒消しのおかげで一命は取り留めたが。それでも右肩には醜い矢傷の痕が残っている。2日の間に高熱も出してうなされた。この時に前世の記憶を思い出したのだ。
前世では私はしがないオタクのOLだった。BLや乙女ゲームをこよなく愛する腐女子でもあった。享年は34歳だったと記憶している。性格はおとなしくて引っ込み思案。彼氏いない歴=年齢だ。ちなみに私が転生したこの世界は「王子達の花園」という18禁BLゲームの中だった……。
私のポジションはヒロイン、つまりは主人公であるトゥルーアイ王国の王子であるエリオットの婚約者だ。エリオット王子を狙う野郎どもの邪魔立てをことごとくするいわゆる悪役令嬢であった。
ちなみにエリオット王子はBLゲームの主人公らしく背はあるが。細身で華奢で顔立ちは女の子っぽい。髪は美しい亜麻色で瞳も淡いエメラルドグリーンだ。主要攻略キャラは騎士を含めて5人。この5人は皆、タイプは違えど美形だった。私はそれらを思い出して決意した。バッドエンドを排除して王子を男達の魔の手から守ろうと--。
「……大丈夫かい。オリヴィア?」
「……ええ。大丈夫です。エリオット様」
にっこり笑顔で私は答える。私ことオリヴィア・レーデンはレーデン侯爵家の長女だ。年齢は18歳である。エリオット王子は今年で20歳で。ではオリヴィアはゲームの中でどんな最期を迎えるのかと言うと。よくて国外追放か修道院行き、一番酷いのは陵辱腹ボテエンドだ。オリヴィアはこの後で子供を産み、産褥で死んでしまう。しかも牢獄の中でだ。
それを思い出してさっと顔から血の気が引く。オリヴィアは王子を虐めたりはしない。ただ、攻略キャラに王子を奪われて嫉妬して。2人に仕返しと剣を向けて返り討ちに遭う。その結果、捕らえられてしまうのだ。騎士の場合はそうだった。後は……。そう考えていたら王子は私のすぐ目の前にいた。頬をそっと撫でられる。はっ。今は王子とのお茶会の最中だった。そして自分は自邸に帰ろうとしていた。ちなみにここは王子の自室の応接間だ。
「オリヴィア。本当に顔色が良くない。今日はもう帰った方がいい」
「心配をかけてごめんなさい。それでは失礼します」
私がそう言うと王子は頷いた。そのまま、応接間を出る。危ない。もうちょっとで「触るな。変態!」と言ってしまう所だった。だって王子は後に野郎と××の関係になる。そんな奴と結婚するのだけはまっぴらだ。まあ。王子の貞操は守るけど。ただ、後は知ったこっちゃあない。王子がBLに目覚めなければそれでいいのだ。女性が相手だったら「どうぞ。ご自由に」とさえ思っていた。愛人作ろうが子供産ませようが。何だったら婚約解消でも構わなかった。つまり、私はBLと言っても二次元は好きだが。現実の野郎は嫌いという矛盾した性癖を持っていた。だから王子にも異性としての意識は皆無だった……。
私は相変わらず、王子にも誰にも恋心を持たなかったのに。なんでか、王子は私を異性として見ているようなのだ。しかも恋心を持っているようだ。
「……ヴィア。今日はこれを持ってきたよ」
また、王子が何かを持参したらしい。手にはピンク色のバラの花束があった。すごく綺麗ではあるが。何が目的だ?
「まあ。ありがとうございます」
「ヴィア。今度は赤いのを持ってくる。早く君と結婚したいものだ」
女の子っぽい顔を赤らめながらも情熱的に訴えてくる。まあ、色っぽくはあるが。けど男嫌いの私には逆効果だった。鳥肌が立つ。早よ帰れ。
「……ヴィア?」
私と王子は既に王立学園を卒業して結婚間近な間柄だった。つまり。ゲームの期間は過ぎていた。王子は誰ともエンドを迎える事なく清い身のままだ。
「いえ。あの。エリオット様。バラはいいのですけど。なんでピンク色なのですか?」
「……なんでって。君に似合うと思ったんだよ」
こいつ。意味がわかって言っているのか。この国ではピンク色のバラを男が女に贈るのは「今日は寝室にでも……」という意味合いになる。私は頬を引きつらせながら言った。
「……エリオット様。私とあなたはまだ婚約者の立場です。婚前交渉は控えるべきです」
「ヴィア。俺は君が……」
「……お黙りなさい。速攻、私の部屋から出て行け。この変態」
冷たい低い声で言ったら王子は目を見開いた。その後、黙って私の部屋を去っていったのだった。
あれから、王子はぱったりと来なくなった。もう結婚式も近いのにだ。さすがに気にはなっていた。けど式の準備に大忙しで手紙すら送りそびれていたが。そうこうする内に一週間が過ぎた。今日も私はウェディングドレスの支度や招待状の準備などに追われている。メイドのカーラに紅茶を淹れてもらい、束の間の休憩を取っていた。
「……あの。お嬢様。エリオット殿下がいらしています」
ドアをノックして告げてきたのは家令のキーロフだ。私は驚いて紅茶の入ったカップをソーサーに音を立てて置いていた。かちゃっという音が部屋に響いた。
「え。殿下が?」
「はい。いかがしましょうか?」
「……仕方ないわね。こちらにお連れして」
「わかりました。では失礼します」
キーロフがドアを閉めると私はカーラと目を見合わせた。どういう風の吹き回しだろう。そう思いながら王子が来るのを待ったのだった。
「……やあ。元気そうだね。ヴィア」
王子は以前よりちょっとやつれているようだ。頬がこけていて痩せたようだし。何があったんだ。
「ええ。ご機嫌麗しゅう。エーリ様」
「そう呼ばれるのは久しぶりだ。可愛いヴィア」
「……エーリ様?」
私が名を呼ぶと王子は恍惚とした表情を浮かべた。それにゾワッと悪寒がして一歩後退った。けれど王子はそれを詰める。また後退ると王子が距離を詰めてきた。それを繰り返す内に寝室のドアの前まで来てしまう。
「ヴィア」
王子は私の名を呼ぶと一気に距離を詰めて抱きしめてきた。ふわりと彼の使うシトラスの香りが鼻腔に届く。
茫然としていたら額にキスをされた。瞼や頬にもされる。嫌になって暴れようとしたが。王子はやんわりと抱きすくめる事でいなす。気がついたら背中と膝裏に両手を差し入れられた。ぐいっと身体が持ち上がって横抱きにされている。
「……エーリ様。お離しください!!」
大声で叫んだが。王子はいとも解さずに呪文を唱えてドアを開けた。すうとドアは開き、寝室に王子は侵入する。パタンと閉まるとキインと音が聞こえた。どうやら防音魔法と侵入を拒む結界が張られたらしい。
さあっと血の気が引く。まさか、ここでいたす気か?!
「……君が悪いんだよ。ヴィア」
低い声で言われて気がついたらベッドに降ろされた。私は逃げるべく降りようとしたが。その前に王子にのしかかられて押し倒されていた。これ、BLの世界のはずよね!?
私が心中で叫んでいる間に王子は唇を塞いでいた。両腕は上に一まとめに彼の片腕で拘束されている。最初は軽いキスだったが。徐々に深いものになっていく。舌を口内に入れられて歯列や上顎の裏などを丹念になぞられる。クチュクチュと淫靡な水音がいつの間にか響いていた。私は背中をすっと撫でられてピクッと反応してしまう。王子はそれに気を良くしてキスをしながらワンピースの上から胸を柔らかく揉みしだき出した。
「ああ。柔らかい。やっぱり男よりはいいな」
「……ん。え、エーリ様?」
唇が離れて王子は何かを呟いた。けど耳朶を軽く食まれてぺろっと舐められた。
「……ひゃんっ」
「感じ易いね。もっと良くしてあげよう」
王子はいい笑顔でのたまった。首筋に顔が下りてきてちゅうと強く吸われた。ちくっと痛みがあった。唇を離されて直ぐ後にぺろっとそこを舐められる。それを何回か繰り返す。ワンピースの胸元をはだけられてぽろっと胸が溢れ出した。王子はそれを揉みつつディープキスを再開する。クチュクチュと水音が響いて私は鼻から抜けるような声を出していた。細身で華奢なはずなのに。どこからこんな強い力が出るのだろう。そう思いながら愛撫に耐えていた。
王子はワンピースの背中のボタンを器用にも外していく。や、やばい。私の方が貞操の危機だ。気がついたら下着であるブラとドロワーズだけの姿になっていた。鎖骨のあたりにも吸いつかれる。そうしている間にブラも外された。どこまで器用なんだ!
「……ヴィア。肌が吸い付くようだ」
低い声で言われたけど。答えない。ただ、きっと睨みつけた。けど効き目がない。王子はうっとりと笑ってむき出しの胸を揉みだした。先端をきゅっと摘まられて目の前で火花が弾けた。チカチカとする。くにくにとやられて腰が自然と動き出す。もう覆うものと言ったらドロワーズだけだ。それにも手を伸ばして脱がされる。いわゆる愛液が糸を引いているのが見えて感じているのが丸分かりだった。王子は胸の先端に吸い付きながら秘所に手を伸ばした。割れ目に指を滑らせる。クチュと粘ついた水音が鳴った。
「濡れているね」
「……あんたのせいでしょ」
「余裕だね。けど煽られるだけだ」
にっと笑って王子は花芽をきゅっと摘んだ。びりっと強すぎる快感が背筋を駆け上がる。私、処女だよ。ちょっとは手加減してほしい。王子は愛液を花芽に塗りつけてくにくにと弄り始める。蜜壺にも指が挿入された。一本だけでいっぱいいっぱいだ。くるりと回転させて王子は弱い所を探っている。私は異物感がすごくて眉を寄せた。
「……さすがに狭いな」
そう呟く。王子は私の両脚を大きくガバッと広げた。秘所に顔を寄せられて何をされるのかわかった。なんと王子は花芽を舌で転がしながら指で蜜壺をかき混ぜた。ぐちゅぐちゅと水音が鳴って強い快感がまたやってきて背筋や足の爪先がピンとなる。じゅっと蜜壺から出る愛液を啜られた。執拗に王子は花芽を弄りつつ蜜壺に指をもう一本挿入する。お腹の側のざらついた場所を彼の指が掠めた。ビクッと身体がしなる。
「ここか」
見つけたと呟くとまた執拗にその弱い箇所を攻められた。しばらくして身体の中で溜まっていた熱が弾けた。
「……ああー!!」
達する、要はイッたようだ。息が浅くなり腕や足がくたりとして動かすのも億劫だ。ぼうとしていると王子は着ていた衣服を脱ぎ始めた。全裸になるとふと屹立したアレが目に入った。もう臨戦態勢らしい。けどちょっとサイズが大きくないか?あんなの入るわけがない。快感どころじゃなくなって逃げようとする。けど王子にのしかかられて再び腕を押さえつけられた。蜜壺にアレがあてがわれる。ぐっと入り込んできた。めりめりと押し広げられる。あまりの痛さにじわっと涙が浮かんだ。王子はそれを口で吸って瞼に優しくキスをする。
「……はあ。全部入ったよ」
またあの恍惚とした表情で言う。さっさと終わってくれ。そう願っていたけど。王子はゆるゆると動き出す。最初は浅くゆっくりとした感じだったが。段々と深く激しい動きになった。
「あ、あ!」
「……ヴィア、ヴィア!!」
私の嬌声と王子の呻くような声と。ぐちゅぐちゅという水音が部屋に響く。今はまだ昼間だったが。王子はそんな事御構い無しで行為を続けた。私は痛いしじんわりとした未知の感覚でどうにかなりそうだった。
「……くっ」
王子が達したらしく蜜壺やその奥にじんわりと熱が弾けた。ぐったりと王子は私の上に倒れこんでくる。私は声をあげすぎて喉はカラカラだし意識が朦朧としていた。けど中に入ったままのアレがまた復活する。
「……もう一回しようか」
「え。ちょっと待って」
そう言ったが。王子はまた腰を動かす。こうして二回戦に突入したのだった。
王子は夕方になって心配してやってきたメイドのカーラによって強制的に王城へ帰らされた。他のメイド達もやってきて私を湯浴みさせた。丁寧に髪や身体を洗われてネグリジェを着せられた。
「……全く。どうしようもない王子様ですね」
「……そうね」
カラカラの声で言うとカーラはコップに入った水を飲ませてくれる。お股の間がじくじくと痛いし異物感がまだあった。身体の節々も痛い。私はほうと息をついたのだった。
その後、驚いた事に王子との結婚が早まった。この後の1カ月後には私は王太子妃になっていた。王子ことエーリ様は私だけを妻として扱ってくれている。そしてさらに私は今、懐妊していた。現在、結婚して4ヶ月目だが。私は妊娠5か月くらいにはなっていた。もうお腹が大きい。おかげで毎日が大変だ。確か、ここはBLゲームの世界なはずで。王子は男性と恋人同士になっているのが本当なのに。女である私を愛してくれている。不思議なことだらけだが。
「……ヴィア。お腹の子に障っては困るから。中に入ろう」
「ええ。そうね」
今日もエーリ様は優しく気遣ってくれる。手を繋いで一緒に中に入った。エーリ様の手は見かけによらず、大きくて温かい。それに身を委ねながら彼に笑いかけたのだった。
もう4ヶ月と少しが経過して私は元気な男の子を出産した。エーリ様はすごく喜んでくれた。この子は後に名前をエヴァンスと名付けられた。私に似て銀色の髪とエーリ様譲りのエメラルドグリーンの瞳の超がつく綺麗な赤ちゃんだ。エヴァンスと3人で私は賑やかな日々を送るのだった。
-完-
唐突に思い出したのは13歳の頃だった。庭を散策していたら刺客に狙われて矢で肩をやられた。それには毒が塗ってあり私は2日もの間、生死の境をさまよった。医師の処方した毒消しのおかげで一命は取り留めたが。それでも右肩には醜い矢傷の痕が残っている。2日の間に高熱も出してうなされた。この時に前世の記憶を思い出したのだ。
前世では私はしがないオタクのOLだった。BLや乙女ゲームをこよなく愛する腐女子でもあった。享年は34歳だったと記憶している。性格はおとなしくて引っ込み思案。彼氏いない歴=年齢だ。ちなみに私が転生したこの世界は「王子達の花園」という18禁BLゲームの中だった……。
私のポジションはヒロイン、つまりは主人公であるトゥルーアイ王国の王子であるエリオットの婚約者だ。エリオット王子を狙う野郎どもの邪魔立てをことごとくするいわゆる悪役令嬢であった。
ちなみにエリオット王子はBLゲームの主人公らしく背はあるが。細身で華奢で顔立ちは女の子っぽい。髪は美しい亜麻色で瞳も淡いエメラルドグリーンだ。主要攻略キャラは騎士を含めて5人。この5人は皆、タイプは違えど美形だった。私はそれらを思い出して決意した。バッドエンドを排除して王子を男達の魔の手から守ろうと--。
「……大丈夫かい。オリヴィア?」
「……ええ。大丈夫です。エリオット様」
にっこり笑顔で私は答える。私ことオリヴィア・レーデンはレーデン侯爵家の長女だ。年齢は18歳である。エリオット王子は今年で20歳で。ではオリヴィアはゲームの中でどんな最期を迎えるのかと言うと。よくて国外追放か修道院行き、一番酷いのは陵辱腹ボテエンドだ。オリヴィアはこの後で子供を産み、産褥で死んでしまう。しかも牢獄の中でだ。
それを思い出してさっと顔から血の気が引く。オリヴィアは王子を虐めたりはしない。ただ、攻略キャラに王子を奪われて嫉妬して。2人に仕返しと剣を向けて返り討ちに遭う。その結果、捕らえられてしまうのだ。騎士の場合はそうだった。後は……。そう考えていたら王子は私のすぐ目の前にいた。頬をそっと撫でられる。はっ。今は王子とのお茶会の最中だった。そして自分は自邸に帰ろうとしていた。ちなみにここは王子の自室の応接間だ。
「オリヴィア。本当に顔色が良くない。今日はもう帰った方がいい」
「心配をかけてごめんなさい。それでは失礼します」
私がそう言うと王子は頷いた。そのまま、応接間を出る。危ない。もうちょっとで「触るな。変態!」と言ってしまう所だった。だって王子は後に野郎と××の関係になる。そんな奴と結婚するのだけはまっぴらだ。まあ。王子の貞操は守るけど。ただ、後は知ったこっちゃあない。王子がBLに目覚めなければそれでいいのだ。女性が相手だったら「どうぞ。ご自由に」とさえ思っていた。愛人作ろうが子供産ませようが。何だったら婚約解消でも構わなかった。つまり、私はBLと言っても二次元は好きだが。現実の野郎は嫌いという矛盾した性癖を持っていた。だから王子にも異性としての意識は皆無だった……。
私は相変わらず、王子にも誰にも恋心を持たなかったのに。なんでか、王子は私を異性として見ているようなのだ。しかも恋心を持っているようだ。
「……ヴィア。今日はこれを持ってきたよ」
また、王子が何かを持参したらしい。手にはピンク色のバラの花束があった。すごく綺麗ではあるが。何が目的だ?
「まあ。ありがとうございます」
「ヴィア。今度は赤いのを持ってくる。早く君と結婚したいものだ」
女の子っぽい顔を赤らめながらも情熱的に訴えてくる。まあ、色っぽくはあるが。けど男嫌いの私には逆効果だった。鳥肌が立つ。早よ帰れ。
「……ヴィア?」
私と王子は既に王立学園を卒業して結婚間近な間柄だった。つまり。ゲームの期間は過ぎていた。王子は誰ともエンドを迎える事なく清い身のままだ。
「いえ。あの。エリオット様。バラはいいのですけど。なんでピンク色なのですか?」
「……なんでって。君に似合うと思ったんだよ」
こいつ。意味がわかって言っているのか。この国ではピンク色のバラを男が女に贈るのは「今日は寝室にでも……」という意味合いになる。私は頬を引きつらせながら言った。
「……エリオット様。私とあなたはまだ婚約者の立場です。婚前交渉は控えるべきです」
「ヴィア。俺は君が……」
「……お黙りなさい。速攻、私の部屋から出て行け。この変態」
冷たい低い声で言ったら王子は目を見開いた。その後、黙って私の部屋を去っていったのだった。
あれから、王子はぱったりと来なくなった。もう結婚式も近いのにだ。さすがに気にはなっていた。けど式の準備に大忙しで手紙すら送りそびれていたが。そうこうする内に一週間が過ぎた。今日も私はウェディングドレスの支度や招待状の準備などに追われている。メイドのカーラに紅茶を淹れてもらい、束の間の休憩を取っていた。
「……あの。お嬢様。エリオット殿下がいらしています」
ドアをノックして告げてきたのは家令のキーロフだ。私は驚いて紅茶の入ったカップをソーサーに音を立てて置いていた。かちゃっという音が部屋に響いた。
「え。殿下が?」
「はい。いかがしましょうか?」
「……仕方ないわね。こちらにお連れして」
「わかりました。では失礼します」
キーロフがドアを閉めると私はカーラと目を見合わせた。どういう風の吹き回しだろう。そう思いながら王子が来るのを待ったのだった。
「……やあ。元気そうだね。ヴィア」
王子は以前よりちょっとやつれているようだ。頬がこけていて痩せたようだし。何があったんだ。
「ええ。ご機嫌麗しゅう。エーリ様」
「そう呼ばれるのは久しぶりだ。可愛いヴィア」
「……エーリ様?」
私が名を呼ぶと王子は恍惚とした表情を浮かべた。それにゾワッと悪寒がして一歩後退った。けれど王子はそれを詰める。また後退ると王子が距離を詰めてきた。それを繰り返す内に寝室のドアの前まで来てしまう。
「ヴィア」
王子は私の名を呼ぶと一気に距離を詰めて抱きしめてきた。ふわりと彼の使うシトラスの香りが鼻腔に届く。
茫然としていたら額にキスをされた。瞼や頬にもされる。嫌になって暴れようとしたが。王子はやんわりと抱きすくめる事でいなす。気がついたら背中と膝裏に両手を差し入れられた。ぐいっと身体が持ち上がって横抱きにされている。
「……エーリ様。お離しください!!」
大声で叫んだが。王子はいとも解さずに呪文を唱えてドアを開けた。すうとドアは開き、寝室に王子は侵入する。パタンと閉まるとキインと音が聞こえた。どうやら防音魔法と侵入を拒む結界が張られたらしい。
さあっと血の気が引く。まさか、ここでいたす気か?!
「……君が悪いんだよ。ヴィア」
低い声で言われて気がついたらベッドに降ろされた。私は逃げるべく降りようとしたが。その前に王子にのしかかられて押し倒されていた。これ、BLの世界のはずよね!?
私が心中で叫んでいる間に王子は唇を塞いでいた。両腕は上に一まとめに彼の片腕で拘束されている。最初は軽いキスだったが。徐々に深いものになっていく。舌を口内に入れられて歯列や上顎の裏などを丹念になぞられる。クチュクチュと淫靡な水音がいつの間にか響いていた。私は背中をすっと撫でられてピクッと反応してしまう。王子はそれに気を良くしてキスをしながらワンピースの上から胸を柔らかく揉みしだき出した。
「ああ。柔らかい。やっぱり男よりはいいな」
「……ん。え、エーリ様?」
唇が離れて王子は何かを呟いた。けど耳朶を軽く食まれてぺろっと舐められた。
「……ひゃんっ」
「感じ易いね。もっと良くしてあげよう」
王子はいい笑顔でのたまった。首筋に顔が下りてきてちゅうと強く吸われた。ちくっと痛みがあった。唇を離されて直ぐ後にぺろっとそこを舐められる。それを何回か繰り返す。ワンピースの胸元をはだけられてぽろっと胸が溢れ出した。王子はそれを揉みつつディープキスを再開する。クチュクチュと水音が響いて私は鼻から抜けるような声を出していた。細身で華奢なはずなのに。どこからこんな強い力が出るのだろう。そう思いながら愛撫に耐えていた。
王子はワンピースの背中のボタンを器用にも外していく。や、やばい。私の方が貞操の危機だ。気がついたら下着であるブラとドロワーズだけの姿になっていた。鎖骨のあたりにも吸いつかれる。そうしている間にブラも外された。どこまで器用なんだ!
「……ヴィア。肌が吸い付くようだ」
低い声で言われたけど。答えない。ただ、きっと睨みつけた。けど効き目がない。王子はうっとりと笑ってむき出しの胸を揉みだした。先端をきゅっと摘まられて目の前で火花が弾けた。チカチカとする。くにくにとやられて腰が自然と動き出す。もう覆うものと言ったらドロワーズだけだ。それにも手を伸ばして脱がされる。いわゆる愛液が糸を引いているのが見えて感じているのが丸分かりだった。王子は胸の先端に吸い付きながら秘所に手を伸ばした。割れ目に指を滑らせる。クチュと粘ついた水音が鳴った。
「濡れているね」
「……あんたのせいでしょ」
「余裕だね。けど煽られるだけだ」
にっと笑って王子は花芽をきゅっと摘んだ。びりっと強すぎる快感が背筋を駆け上がる。私、処女だよ。ちょっとは手加減してほしい。王子は愛液を花芽に塗りつけてくにくにと弄り始める。蜜壺にも指が挿入された。一本だけでいっぱいいっぱいだ。くるりと回転させて王子は弱い所を探っている。私は異物感がすごくて眉を寄せた。
「……さすがに狭いな」
そう呟く。王子は私の両脚を大きくガバッと広げた。秘所に顔を寄せられて何をされるのかわかった。なんと王子は花芽を舌で転がしながら指で蜜壺をかき混ぜた。ぐちゅぐちゅと水音が鳴って強い快感がまたやってきて背筋や足の爪先がピンとなる。じゅっと蜜壺から出る愛液を啜られた。執拗に王子は花芽を弄りつつ蜜壺に指をもう一本挿入する。お腹の側のざらついた場所を彼の指が掠めた。ビクッと身体がしなる。
「ここか」
見つけたと呟くとまた執拗にその弱い箇所を攻められた。しばらくして身体の中で溜まっていた熱が弾けた。
「……ああー!!」
達する、要はイッたようだ。息が浅くなり腕や足がくたりとして動かすのも億劫だ。ぼうとしていると王子は着ていた衣服を脱ぎ始めた。全裸になるとふと屹立したアレが目に入った。もう臨戦態勢らしい。けどちょっとサイズが大きくないか?あんなの入るわけがない。快感どころじゃなくなって逃げようとする。けど王子にのしかかられて再び腕を押さえつけられた。蜜壺にアレがあてがわれる。ぐっと入り込んできた。めりめりと押し広げられる。あまりの痛さにじわっと涙が浮かんだ。王子はそれを口で吸って瞼に優しくキスをする。
「……はあ。全部入ったよ」
またあの恍惚とした表情で言う。さっさと終わってくれ。そう願っていたけど。王子はゆるゆると動き出す。最初は浅くゆっくりとした感じだったが。段々と深く激しい動きになった。
「あ、あ!」
「……ヴィア、ヴィア!!」
私の嬌声と王子の呻くような声と。ぐちゅぐちゅという水音が部屋に響く。今はまだ昼間だったが。王子はそんな事御構い無しで行為を続けた。私は痛いしじんわりとした未知の感覚でどうにかなりそうだった。
「……くっ」
王子が達したらしく蜜壺やその奥にじんわりと熱が弾けた。ぐったりと王子は私の上に倒れこんでくる。私は声をあげすぎて喉はカラカラだし意識が朦朧としていた。けど中に入ったままのアレがまた復活する。
「……もう一回しようか」
「え。ちょっと待って」
そう言ったが。王子はまた腰を動かす。こうして二回戦に突入したのだった。
王子は夕方になって心配してやってきたメイドのカーラによって強制的に王城へ帰らされた。他のメイド達もやってきて私を湯浴みさせた。丁寧に髪や身体を洗われてネグリジェを着せられた。
「……全く。どうしようもない王子様ですね」
「……そうね」
カラカラの声で言うとカーラはコップに入った水を飲ませてくれる。お股の間がじくじくと痛いし異物感がまだあった。身体の節々も痛い。私はほうと息をついたのだった。
その後、驚いた事に王子との結婚が早まった。この後の1カ月後には私は王太子妃になっていた。王子ことエーリ様は私だけを妻として扱ってくれている。そしてさらに私は今、懐妊していた。現在、結婚して4ヶ月目だが。私は妊娠5か月くらいにはなっていた。もうお腹が大きい。おかげで毎日が大変だ。確か、ここはBLゲームの世界なはずで。王子は男性と恋人同士になっているのが本当なのに。女である私を愛してくれている。不思議なことだらけだが。
「……ヴィア。お腹の子に障っては困るから。中に入ろう」
「ええ。そうね」
今日もエーリ様は優しく気遣ってくれる。手を繋いで一緒に中に入った。エーリ様の手は見かけによらず、大きくて温かい。それに身を委ねながら彼に笑いかけたのだった。
もう4ヶ月と少しが経過して私は元気な男の子を出産した。エーリ様はすごく喜んでくれた。この子は後に名前をエヴァンスと名付けられた。私に似て銀色の髪とエーリ様譲りのエメラルドグリーンの瞳の超がつく綺麗な赤ちゃんだ。エヴァンスと3人で私は賑やかな日々を送るのだった。
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