20 / 21
薔薇ノ国編
薔薇ノ恋
しおりを挟む
僕の名は、アシュラム・ローズブレイド
薔薇ノ国の第二王子として、この世に生を受けた。
一国の王である父上は常に公務が忙しく、平民の子供たちのように、父上に遊んで貰った記憶など一度もない。
でも寂しくはなかった。
だって僕には、大好きな母さんがいたから。
下位貴族の子爵令嬢として生まれた母さんは、明るくて、美人で、優しくて、自慢の母さんだった。
父上はこの国の正妃であるベスビアス王妃とは政略結婚なのに対して、母さんとは今どき珍しい恋愛結婚で、二人は深く愛し合っていた。
家柄が低かった為、正妃の座には就けなかったけれど、父上からの寵愛を一心に受けて、母さんは幸せだった。
そう、あの日までは--
僕が三つの時だった。
事態が一変する。
父上が、新たに側妃を娶ったのだ。
その女性は名をリベルラといい、貧民街出身の踊り子で、明るい母さんとは正反対の影のある美人だった。
貴族出身ではない、ましてや貧民街出身の平民が王族になるのは、極めて稀だった。
それまで父上は、忙しい公務の合間を縫っては、母さんのもとを訪れていたが、段々と足が遠のき、代わりに新しく来たリベルラ妃のもとに足繁く通うようになった。
母さんは、〝寵愛を奪われた哀れな妃〟と王宮内で囁かされるようになったのだ。
最初こそは「私は別に何も気にしてないわよ」と強気に振舞っていた母さんも、周囲の声に心が病んでいった。
『どうしてニグレットは、私のところには来てくれないのよ』
『前はあんなにも愛してくれたのに、ねえどうしてなの?』
『あの女が悪いんだわ!あの女が私からニグレットを奪ったのよ!』
しだいに母さんは、怒りの矛先をリベルラ妃に向け始める。
それはそれは、酷い嫌がらせをしたと聞いた。
でも僕は、母さんを責める気にはなれなかった。
母さんがあんな風になったのは、すべて父上が悪いと、子供心にわかっていたから。
母さんが意地悪すればするほど、父上の母さんに対する愛情は薄れ、逆にリベルラ妃との愛は深まるばかりだった。
やがて母さんは、孤独を埋めるかのように酒に溺れるようになった。
幼かった僕は何もできないで、ただ壊れていく母さんを、黙って見つめることしかできなかった。
いつか優しくて明るかったころの母さんに、戻ってくれることを信じながら--
ほどなくしてリベルラ妃の懐妊が伝えられた。
母さんが自ら命を絶ったのは、そのすぐ後だった。
遺書には父上に対しての恨みつらみが、何枚にも亘って書かれていたという。
その日は一晩中、泣き続けた。
泣いて泣いて涙が枯れて、血が出るまで叫んだ。
***
母さんを亡くして以降、僕は空虚感を抱えたまま生きていた。
何をしていても、ぽっかりと空いた心が満たされることはなかった。
武術にも学問にも、まったくと言っていいほど手がつかない。
家庭教師が熱心に勉強を教えている最中、ふと窓の外を見ると、最近歩けるようになったばかりの腹違いの弟・オルフェオと手を繋いで、外の庭を散策しているリベルラ妃を見掛けた。
心底憎らしいと思ったと同時に、オルフェオが羨ましいとも感じた。
母さんもよく僕を連れて、散策してくれたのを思い出す--
(母さん会いたいよ…なんで僕を置いて逝ってしまったのさ…)
そのころから僕は寂しさを紛らわすように、周囲を困らせるようになった。
どこも痛くないのに痛いと病気のフリして医者を困らせたり、家出をして大騒動を起こしたこともあった。
(っていっても、物置部屋に隠れていただけんだけどね…)
僕はただ、構って欲しかったんだ。
十一歳になる頃には、僕は女の子にちょっかいを掛けるようになっていた。
幸いにも外見には恵まれていたから、女の子達は嫌がることはしなかった。
女の子と話しているときは、少しばかり寂しい心が癒された気がした。
ただ構って欲しい一心で、思ってもない言葉を毎日吐き続けた。
それがいつしか当たり前になって、僕の挨拶がわりになっていた。
あるとき、僕の婚約者を決める茶会が開かれると聞いた。
別に興味はなかった。
勝手に決めてくれと、どこか他人事だった。
誰が婚約者に選ばれようと皆、同じだ。
だってこの先、母さん以上に愛する人が現れることは絶対にないのだから。
***
そして茶会の日--
薔薇ノ国中から貴族令嬢達が集まった。
皆、子供らしからぬ派手なドレスに身を包み、まだ子供だというのに化粧をしている者までいる。
娘を是が非でも王族に入れたいという親の欲望が、嫌というほど伝わって反吐が出そうだった。
「お嬢様方、今日は僕のために遠路遥々お集まりいただきありがとう。みんなに会えてとっても嬉しいよ。美味しいお菓子も沢山用意してあるから、今日は存分に楽しんでね」
僕が甘い言葉を話せばたちまち悲鳴が上がり、あっという間に僕は令嬢達に囲まれた。
目をギラギラと光らせて、こっちを見て!と言わんばかりに、令嬢達は己の存在をアピールしてくる。
(どうせみんな僕の権力目当てで、僕のことを本当に愛してくれる人なんかいないさ)
自分でそう思っておいて悲しくなった。
そんな時、君を見つけたんだ。
遠くからこちらを寂しそうに見つめる、一人の少女に気づいた。
少女は他の令嬢達のように、僕のもとに来るわけでもなく、ただ静かにその場に佇んでいた。
僕は、何だか気になって仕方なかった。
もしかしたら少女の寂しげな目が、自分と重なって見えたかも知れない。
暫くすると、少女はどこかにいなくなった。
放ってはおけない!そう思った僕は群衆を振り払い、茶会を抜け出して少女の後を追い掛けていた。
***
「なんて美しい場所なのでしょうか……」
噴水広場で足を止めた少女は、呆然と呟いた。
きっと噴水の周りを飛び回る、沢山の蝶達に感激したのだろう。
この蝶達を育てている身としては、自分が褒められたかのように嬉しくなった。
僕は少女と話してみたいと思った。
「どう、気に入ってくれた?」
突然降り掛かった僕の声に、少女は肩をビクって震わせると、勢いよく振り向いた。
「アッ…シュラム…様!?」
まるで幽霊でも見たかのような顔付きだ。
それもそうだろう。
ついさっきまで令嬢達に取り囲まれていた茶会の主役が今、目の前にいるのだから。
改めて少女をまじまじと見ると、少女はどこか他の令嬢達とは違うように感じた。
他の令嬢達が派手なドレスを身に包んでいるのに対して、少女は昔を思わせる古い型のドレスを着用している。
まるで半世紀以上前に作られた薔薇人形のようだ。
暗い雰囲気が損をしているが、決して顔立ちは悪くない。
派手さや華やかさは持ち合わせてないけれど、そこがまた素朴で可愛らしいと思った。
何よりしどろもどろになりながらも懸命に言葉を紡ぐ姿は、僕の乾いた胸を擽らせる。
今までにいないタイプだ。
僕はすぐに少女の隠れた魅力に取り憑かれた。
だから「わたくしも蝶のように、美しくなりたいのです」と言われたときは大層、驚いた。
今のままでも十分、素敵なのに--
彼女には彼女なりの良さがあるというのにー-
気付いたら僕は、口からこう発していた。
「だから君も無理して蝶になることはないさ。ありのままの君を好いてくれる人は必ずいるよ。だから自信を持って。君は君のままでいいんだよ」
(そう、僕が君を好きになったように……)
僕はすぐに少女のことを調べさせた。
少女の名はジュリアウェストと言って、ハルデンベルク公爵の嫡女と判明した。
幸いにもウェスト家は歴史ある大きな家柄だから、誰も反対する者はいないだろう。
僕は自分から父上に、少女改めジュリアと、婚約したいと願い出た。
父上は驚いていたが、すぐに承諾してくれた。
家臣の中にはジュリアが王子の婚約者にしては、少し地味すぎるのではないかと難癖をつける者もいたが、勝手にそう思っておけばいい。
他は誰も知らなくていい。
ジュリアの隠れた魅力は、僕だけが知っていればいいんだ。
誰にも渡さないよ。
待っていて、必ず君を迎えに行くから。
僕の初恋ジュリア--
薔薇ノ国の第二王子として、この世に生を受けた。
一国の王である父上は常に公務が忙しく、平民の子供たちのように、父上に遊んで貰った記憶など一度もない。
でも寂しくはなかった。
だって僕には、大好きな母さんがいたから。
下位貴族の子爵令嬢として生まれた母さんは、明るくて、美人で、優しくて、自慢の母さんだった。
父上はこの国の正妃であるベスビアス王妃とは政略結婚なのに対して、母さんとは今どき珍しい恋愛結婚で、二人は深く愛し合っていた。
家柄が低かった為、正妃の座には就けなかったけれど、父上からの寵愛を一心に受けて、母さんは幸せだった。
そう、あの日までは--
僕が三つの時だった。
事態が一変する。
父上が、新たに側妃を娶ったのだ。
その女性は名をリベルラといい、貧民街出身の踊り子で、明るい母さんとは正反対の影のある美人だった。
貴族出身ではない、ましてや貧民街出身の平民が王族になるのは、極めて稀だった。
それまで父上は、忙しい公務の合間を縫っては、母さんのもとを訪れていたが、段々と足が遠のき、代わりに新しく来たリベルラ妃のもとに足繁く通うようになった。
母さんは、〝寵愛を奪われた哀れな妃〟と王宮内で囁かされるようになったのだ。
最初こそは「私は別に何も気にしてないわよ」と強気に振舞っていた母さんも、周囲の声に心が病んでいった。
『どうしてニグレットは、私のところには来てくれないのよ』
『前はあんなにも愛してくれたのに、ねえどうしてなの?』
『あの女が悪いんだわ!あの女が私からニグレットを奪ったのよ!』
しだいに母さんは、怒りの矛先をリベルラ妃に向け始める。
それはそれは、酷い嫌がらせをしたと聞いた。
でも僕は、母さんを責める気にはなれなかった。
母さんがあんな風になったのは、すべて父上が悪いと、子供心にわかっていたから。
母さんが意地悪すればするほど、父上の母さんに対する愛情は薄れ、逆にリベルラ妃との愛は深まるばかりだった。
やがて母さんは、孤独を埋めるかのように酒に溺れるようになった。
幼かった僕は何もできないで、ただ壊れていく母さんを、黙って見つめることしかできなかった。
いつか優しくて明るかったころの母さんに、戻ってくれることを信じながら--
ほどなくしてリベルラ妃の懐妊が伝えられた。
母さんが自ら命を絶ったのは、そのすぐ後だった。
遺書には父上に対しての恨みつらみが、何枚にも亘って書かれていたという。
その日は一晩中、泣き続けた。
泣いて泣いて涙が枯れて、血が出るまで叫んだ。
***
母さんを亡くして以降、僕は空虚感を抱えたまま生きていた。
何をしていても、ぽっかりと空いた心が満たされることはなかった。
武術にも学問にも、まったくと言っていいほど手がつかない。
家庭教師が熱心に勉強を教えている最中、ふと窓の外を見ると、最近歩けるようになったばかりの腹違いの弟・オルフェオと手を繋いで、外の庭を散策しているリベルラ妃を見掛けた。
心底憎らしいと思ったと同時に、オルフェオが羨ましいとも感じた。
母さんもよく僕を連れて、散策してくれたのを思い出す--
(母さん会いたいよ…なんで僕を置いて逝ってしまったのさ…)
そのころから僕は寂しさを紛らわすように、周囲を困らせるようになった。
どこも痛くないのに痛いと病気のフリして医者を困らせたり、家出をして大騒動を起こしたこともあった。
(っていっても、物置部屋に隠れていただけんだけどね…)
僕はただ、構って欲しかったんだ。
十一歳になる頃には、僕は女の子にちょっかいを掛けるようになっていた。
幸いにも外見には恵まれていたから、女の子達は嫌がることはしなかった。
女の子と話しているときは、少しばかり寂しい心が癒された気がした。
ただ構って欲しい一心で、思ってもない言葉を毎日吐き続けた。
それがいつしか当たり前になって、僕の挨拶がわりになっていた。
あるとき、僕の婚約者を決める茶会が開かれると聞いた。
別に興味はなかった。
勝手に決めてくれと、どこか他人事だった。
誰が婚約者に選ばれようと皆、同じだ。
だってこの先、母さん以上に愛する人が現れることは絶対にないのだから。
***
そして茶会の日--
薔薇ノ国中から貴族令嬢達が集まった。
皆、子供らしからぬ派手なドレスに身を包み、まだ子供だというのに化粧をしている者までいる。
娘を是が非でも王族に入れたいという親の欲望が、嫌というほど伝わって反吐が出そうだった。
「お嬢様方、今日は僕のために遠路遥々お集まりいただきありがとう。みんなに会えてとっても嬉しいよ。美味しいお菓子も沢山用意してあるから、今日は存分に楽しんでね」
僕が甘い言葉を話せばたちまち悲鳴が上がり、あっという間に僕は令嬢達に囲まれた。
目をギラギラと光らせて、こっちを見て!と言わんばかりに、令嬢達は己の存在をアピールしてくる。
(どうせみんな僕の権力目当てで、僕のことを本当に愛してくれる人なんかいないさ)
自分でそう思っておいて悲しくなった。
そんな時、君を見つけたんだ。
遠くからこちらを寂しそうに見つめる、一人の少女に気づいた。
少女は他の令嬢達のように、僕のもとに来るわけでもなく、ただ静かにその場に佇んでいた。
僕は、何だか気になって仕方なかった。
もしかしたら少女の寂しげな目が、自分と重なって見えたかも知れない。
暫くすると、少女はどこかにいなくなった。
放ってはおけない!そう思った僕は群衆を振り払い、茶会を抜け出して少女の後を追い掛けていた。
***
「なんて美しい場所なのでしょうか……」
噴水広場で足を止めた少女は、呆然と呟いた。
きっと噴水の周りを飛び回る、沢山の蝶達に感激したのだろう。
この蝶達を育てている身としては、自分が褒められたかのように嬉しくなった。
僕は少女と話してみたいと思った。
「どう、気に入ってくれた?」
突然降り掛かった僕の声に、少女は肩をビクって震わせると、勢いよく振り向いた。
「アッ…シュラム…様!?」
まるで幽霊でも見たかのような顔付きだ。
それもそうだろう。
ついさっきまで令嬢達に取り囲まれていた茶会の主役が今、目の前にいるのだから。
改めて少女をまじまじと見ると、少女はどこか他の令嬢達とは違うように感じた。
他の令嬢達が派手なドレスを身に包んでいるのに対して、少女は昔を思わせる古い型のドレスを着用している。
まるで半世紀以上前に作られた薔薇人形のようだ。
暗い雰囲気が損をしているが、決して顔立ちは悪くない。
派手さや華やかさは持ち合わせてないけれど、そこがまた素朴で可愛らしいと思った。
何よりしどろもどろになりながらも懸命に言葉を紡ぐ姿は、僕の乾いた胸を擽らせる。
今までにいないタイプだ。
僕はすぐに少女の隠れた魅力に取り憑かれた。
だから「わたくしも蝶のように、美しくなりたいのです」と言われたときは大層、驚いた。
今のままでも十分、素敵なのに--
彼女には彼女なりの良さがあるというのにー-
気付いたら僕は、口からこう発していた。
「だから君も無理して蝶になることはないさ。ありのままの君を好いてくれる人は必ずいるよ。だから自信を持って。君は君のままでいいんだよ」
(そう、僕が君を好きになったように……)
僕はすぐに少女のことを調べさせた。
少女の名はジュリアウェストと言って、ハルデンベルク公爵の嫡女と判明した。
幸いにもウェスト家は歴史ある大きな家柄だから、誰も反対する者はいないだろう。
僕は自分から父上に、少女改めジュリアと、婚約したいと願い出た。
父上は驚いていたが、すぐに承諾してくれた。
家臣の中にはジュリアが王子の婚約者にしては、少し地味すぎるのではないかと難癖をつける者もいたが、勝手にそう思っておけばいい。
他は誰も知らなくていい。
ジュリアの隠れた魅力は、僕だけが知っていればいいんだ。
誰にも渡さないよ。
待っていて、必ず君を迎えに行くから。
僕の初恋ジュリア--
0
あなたにおすすめの小説
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
孤独な公女~私は死んだことにしてください
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【私のことは、もう忘れて下さい】
メイドから生まれた公女、サフィニア・エストマン。
冷遇され続けた彼女に、突然婚約の命が下る。
相手は伯爵家の三男――それは、家から追い出すための婚約だった。
それでも彼に恋をした。
侍女であり幼馴染のヘスティアを連れて交流を重ねるうち、サフィニアは気づいてしまう。
婚約者の瞳が向いていたのは、自分では無かった。
自分さえ、いなくなれば2人は結ばれる。
だから彼女は、消えることを選んだ。
偽装死を遂げ、名も身分も捨てて旅に出た。
そしてサフィニアの新しい人生が幕を開ける――
※他サイトでも投稿中
親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!
音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ
生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界
ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生
一緒に死んだマヤは王女アイルに転生
「また一緒だねミキちゃん♡」
ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差
アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる