プレゼント・タイム

床田とこ

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「……あ、えーと、あ、アイちゃん?」
「はい」
「……ちょっと僕、まったく整理がつかないんだけど……」
「はあ」
  
 左の方で、真中くんが膝から崩れ落ちていく。
 右の方を見遣る。でっかいのが口をぽかあんと開けて、目を見開いて固まっている。

「んーと。お先に失礼しまーす」

 そんなカオスな状況は早く離脱したくて、私は二人をその場に残して教室に向かった。



 ◇



 その日は一日中、教室が変な雰囲気だった。
 教室というか、私のまわりがずっと変な感じで、休み時間の度に私の席を中心に謎の緩衝帯ができて、誰も近寄れない空気が立ちこめた。

 頼みの蓮太も今日はずっと口から魂が抜けていて、授業で教師に信頼されるような存在でも無くなっていた。

 全ての授業で答案の返却がされる一日だったが、私の名が呼ばれるたび教室はざわめいた。
 答案を受け取りに教壇の前まで進むと、どの教師も異星人を見るように私を見る。恐怖を滲ませる人もいた。

 英語の三村先生だけは、「よく頑張ったな」と私の頭を撫でてくれた。



 ◇
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