前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい

夜鳥すぱり

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3 ユリスと呼ぶ

 さて、僕は正式にラクロア様に引き取られました。やっと飼い猫の地位に返り咲いたと思ったのに、人間はお勉強をしなくてはいけないと言われて、絶賛すね中です。

「ニャリス、そこから出てきなさい、人間はそんな狭いところに入ってはいけない」
「ほっといて」
「ニャリス、魚をあげるから、出てきておくれ、本当に危ないから」

困り果てた声で、ラクロア様が僕に魚のお刺身をちらつかせています。でもここで出ていったら、きっとまた勉強をしろと言われます。

「勉強いやです」
「解ったから……もうしなくていいから」
「本当に?しなかったら嫌いにならない?」
「ならない」
「僕のことすき?」
「あぁ」
「本当に?」
「本当だ、ニャリスが好きだ」

ガチャ、バタン。ここは、お屋敷のメイドが、使う物置小屋ですから、まさかこんなところに屋敷の主人がいると思わなくて、メイドが扉をあけてしまいました。でも、すぐに閉められ、何もなかったかのような空気が流れました。

ラクロア様が顔を手で押さえて何かに耐えています。僕のこと好きって人にばれると、困るのかな?

「僕のこと好きってばれると、困りますか?」
「そっ……そんなことは、ない」
「本当に?」
「本当だ、お前が気にすることないから」
「じゃぁ、お部屋に戻ってお刺身をたべます」
「そうか、良かった」
「抱っこしてください」
「…………あぁ」

ラクロア様は、僕のことをひょいっと片腕で抱っこしてくれました。僕はラクロア様の首に抱きついて、お顔にスリスリしました。ラクロア様の顔がどんどん赤くなって、すれ違うメイド達が明後日の方向を向いたり、わざと道を変えてすれ違わないようにしたり、くるっと方向転換して去っていきます。

そういうのを見るたびに、ラクロア様のお顔の色が赤く赤くなってましたが、僕はお顔にスリスリをやめませんでした。だって、沢山僕の匂いつけて僕のだって主張したいんです。僕の大好きな飼い主なんです。

「ところでニャリス、お前の本当の名前はなんなんだ?」
「本当の名前は、ニャリスです」
「じゃぁ、産まれた時につけられた名は?親がいただろう?」
「ユリスって呼ばれてました」
「ユリスか、なるほど、では俺もこれからはお前の事をユリスと呼ぶことにする」
「なんでですか?僕、ニャリスなのに」
「ちょっとその、人間らしくない名前はだめなんだ」
「だめなんですか?」
「だめだ、ユリス、屋敷の者にもユリスと名乗るようにしなさい」
「はぁい」

素直に僕が返事したので、ラクロア様はホッとしたようだ。お刺身を僕に出して、ラクロア様は、紅茶を入れている。

「これ食べたら、一緒にお昼寝してくれますか?」
「それは……だめだ、俺は仕事があるから」
「じゃぁ、お膝にのっていい?」
「それもだめだ、もうお前は猫じゃないんだから、人間らしくしないと、みだりに人の上にのったり、人と一緒に寝てはいけない」
「エッ!!」

僕はあまりにもびっくりして、お刺身をぽろっと落としてしまいました。

「何でだめなんですか、じゃぁ、僕はやっぱり猫がいいです、死んできます」
「だ、だめだ!!死ぬな、解ったから、夜は一緒に寝るから」
「夜だけですか?」
「なるべく、二人の時は……のっていい」
「良かった、ぼく、くっつくの大好きなんです、でもね、ラクロア様だけですよ、他の人は触られるのも嫌なんです」
「ウッ、そ、それは。うん、そうか」

目を白黒させて、紅茶を飲むラクロア様はなんだか可愛いです。












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