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第二章
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汗をかきながら駅前に戻ってきた二人は、今度は、ほうとうの食べれる店を目指す。
例によって、鉄堅の素早いスマホ検索により名店をみつけることができた。駅前の老舗でなかなかに有名なところ。メニュー数も多くて、色んなほうとうが食べられる様子が、画面の写真で見れた。星四もついてるし、間違いなさそう。
しかし、気になる点が葉月にはあるようで、鉄堅は首をかしげた。
「どうしたの? 葉月ちゃん」
「あ、いや、ほうとうってさ……たぶんだけど、冬の食べ物ぽくない?」
メニュー表をみつつ、ぼそりと葉月が呟いた。確かに鍋だものね。しかしながら、夏は冷やした麺を入れるおざらという食べ方も有るそうで……。
「冷やしほうとうも有るけど」
「いや、温かいやつでいく」
本場の流儀に従わねばと、意気込んで葉月が、温かいほうとうを頼んだので、鉄堅も従うことにした。しばらく、煮込むのに時間を要するらしく、座敷の席にあぐらをかいて座った。行儀が悪いかと一瞬思ったが、無理に慣れない正座をして足がしびれるのは避けたい。
「なぁなぁ、椅子じゃない席ってさ、なんか良いよな、家みたいで」
「ふふ、靴はかないだけで楽だよね」
こっそり、囁いてくる葉月が可愛い。ただ、若干自分の足が臭くないか気にしてしまう、大丈夫だろうか? 夏は特に恋人の前では臭いには気を付けたいところだ。
葉月ちゃんにクサイなんていわれたら、落ち込むこと限りない。
あ、でも、葉月ちゃんは時々太陽の申し子みたいな匂いする時あるけどね、あれはあれで……ちょっとムラっとするというか。短距離走り終えた後の、汗が首筋を流れる姿とか、それを胸元でふく仕草とか、こんがりと焼けた肌がすらりとしてて、うん、中学時代の葉月ちゃん色々ヤバかったなぁ。
「あっ、ほうとうきた」
葉月が目を輝かせ、割り箸を手にとった。目の前にお盆に乗せられた熱々の鍋が置かれ、湯気がもうっとたち、鍋の中はグツグツとマグマのごとく具材たちが湯だってる。
「美味しそう! いただきます~」
さっそく麺を箸で掴んだ葉月の写真をすかさずパシャリと撮った。葉月ちゃんとほうとう、なんて素敵な写真。
「もぅ、お前はぁ、はひっ、あちち、はふはふ、おいしー」
「熱々のほうとう、美味しいね、葉月ちゃん、はい、お水」
「あひはと」
ありがとう言えない葉月ちゃん、あつあつしてる、葉月ちゃん……いい。動画とりたい。この旅で、はち切れんばかりの画像を撮った。これを全部現像して部屋に張ったら、壁一面葉月ちゃんで埋め尽くされる。家に帰るのが楽しみだ。
「おまえ、ほうとう好きだったんだな、ニコニコして」
「え? あ、うん」
僕が好きなのは葉月ちゃん一択なのだが、まぁ、ほうとうも美味しい。善き想い出だ。
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