胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり

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第二章

番外編 初めてのお泊まり① (小学生時代)

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 小学二年の冬のある日、鉄堅のお父さんとお母さんは、鉄堅に『今からお母さんとお父さんは、親戚の家のお葬式にいかなきゃなの』と言った。

「ごめんね、鉄堅を連れて行けないの、一人でお留守番は難しいと思うから、葉月ちゃんちにお泊まり頼んだの」

「エッ!」

母親の思いがけない言葉に、鉄堅は持っていた本を落っことしそうになった。

「学校から帰ったら、葉月ちゃんちに行ってそのままお泊まりさせてもらってね」
「は、ハイッ!」

鉄堅は、本をぎゅうっと握りしめた。友達の家に泊まりに行くのが、その時期流行っていて、鉄堅も他の子には誘われるけれど、葉月に誘われたことは一度もなくて、実はずっと、行きたいと思っていた。

わくわくと、ランドセルに着替えをつめて、楽しみ過ぎて、その日は寝れなかった。朝の四時に、まだ起きる時間じゃないのに、そわそわしてしまって、忘れ物がないか、また鞄をあけて、中を確認した。

今日はとても冷える日で、鉄堅は、また布団へ潜り込んだ。あと数時間で夜が明けて、葉月ちゃんと学校へ行って、そのまま葉月ちゃんの家に行くのだ。胸がどきどきと弾んで、嬉しくて嬉しくて、鉄堅は布団の中でコロコロと寝返りを何度もうった。




◇◆◇




朝になって、飛び起きて、ご挨拶きちんとするのよと言う母に頷いて、家をでた。

待ち合わせの時間より少し早くに葉月の家の前についてしまって、門の所でまっていた。カラカラっと、窓が開く音がして、ヒョコっと葉月が顔を出したのが見えた。

「は?お前、もう来たの?」
「うん」
「え~いま起きたとこだよ、玄関入って待ってて」

ダダダダと階段を降りる音と、玄関が開く音。

「ほら、入れよ」
「うん、ありがとう」

ボサボサ頭でパジャマの葉月をみて、真っ赤になる。今日は、ずっと一緒にいられるのだと思うと、むずむずして、顔がにやけてしまう。

「何?」
「なんでもないよ」
「寝癖ひどい?は~も~父さんっ!鉄堅きたぁ」
「おや、早いね、葉月急いで」

台所から、お父さんの声が聞こえる。葉月はバタバタとリビングへ入っていった。ここまでは、良くみる光景。

だけれど、明日はこの後、どんな風にして、寝癖を直して出てくるのかを知ることができる。朝ごはんは何をたべるんだろう、シャンプーや、歯磨き粉は何を使ってるのかな。今まで、ずっと、知りたかったことが、今日解る。

鉄堅は、玄関で、葉月が支度のために、パタパタ動く足音を静かに聞いていた。毎日会える幸せ。

大好きな葉月と、いつか一緒に暮らすことをいつも夢見てる。

「嬉しいな、葉月ちゃんの好きなこと、いっぱい見つけられそう、楽しみ」

保育園の頃から集めてきた葉月ちゃんの好きなこと。その中の一つに自分もいつか加わりたい。

「どうしたらもっと好きになってもらえるかな」

「お待たせ、行こ!」

物思いにふけっていた、鉄堅の背後から、葉月の元気の良い声が聞こえる。

「行ってきます!」

靴をひっかけて、飛び出る葉月の後を追う。

「急げ、鉄堅!遅刻する」
「うん」

毎日の楽しいルーティン。鉄堅は、今日も葉月の後を追う。






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