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第一章
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家に帰ると、父が待っていてくれた。泣いたから、目が腫れてるかも。心配そうな顔をしていた。もしかして、おばさんから、挨拶もせず帰ったこと聞いたのかな。
「ただいま」
「お帰り、葉月」
「父さん、お願いがあるんだ俺、明日から1週間学校休んでも良いかな?」
「休んでどうするんだい?」
「毎日、鉄堅に会いに行こうと思う、学校終わってからだと面会時間に間に合わないから」
「そうか……葉月の好きにしなさい」
「ありがとう、父さん、いつも俺の我が儘聞いてくれてありがとう、俺、父さんの子で良かった」
「なんだ、どうした、改まって」
「へへっ、なんか、言っときたかった。言える時に言いたいことちゃんと言おうと思って」
「そうか、そうだな。うん、父さんも葉月が私の子供で良かった、私の自慢の息子だ」
やだな、父さん、今そういう言葉聞いたら泣いちゃうよ、勘弁してよ。
「うん、ありがと。風呂はいるよ」
急いで逃げ出した。もう、泣かない。泣かないって決めたばかりなんだよ。
葉月は服を脱ぐ振りをしながら、涙を拭き取った。明日から、毎日会いに行く。
しばらくバイト行けなくなること、斎藤にメールし、チーフの上林さんにも電話をした。
上林さんは、何かを察してくれたみたいで、その癒しの声で、良いんだよまた身体が空いたら来てねと、言ってくれた。本当に優しくて、神様なのかも、もし神様だったら、鉄堅のこと治してくれないかななんて。良いんだ、生かしてくれたんだから、きっとそれで神様の力使い果たしたんだ。この先俺がずっと不幸でもかまわない、生きててくれたんだから。幸運は全部、鉄堅に使って欲しい。もし、まだ俺にそんなものがあればだけど。
ほんと、わがままで、悪い子だったもんな、有るわけ無いか。毎日、良いことしたら貯まれば良いのに。これから頑張るからさ。少しでも貯まってくれないかな。そしたら、少しでも鉄堅に使えるのに。そんな都合の良いポイントみたいなの無いか。はは、やんなる、ほんと、どうしたら良いのか解らない。
次の日、何か手慰みになるものをと思って本屋へ行った。葉月はあまり本を読まないから、どんな本が良いかも解らなくて、ずらーっと並んだ本のラベルを読んでみた。
「何が良いんだろ……本いつも読んでたのに、どんな本が好きなのかとか聞いたことなかったな、聞いとけば良かった」
あまりに当たり前にいつもそこにいたから、気にしてなかった事が多すぎる。10年以上もそばにいたのに。鉄堅のこと知ってるようで、なにも知らない。
「だめだ、決められない今日あった時に聞こう、そうしよ、ケーキでも買ってけばいいよな」
くるっと方向転換して、今度はケーキを買いに商店街の真ん中にあるケーキ屋へ向かった。
陳列ケーキに並んだ色とりどりのケーキをみつつ、これまた、悩む。
鉄堅……ケーキ食べたっけ?遊びに行くと煎餅ばっかり出てきたから、甘いもの苦手だったかも。
やっぱり。食べるものの方が良いし、煎餅にしよう、あれなら確実に食べるはず。
ケーキ屋を出て、商店街の端の煎餅屋にいく。香ばしいいい匂いが漂ってる。
煎餅にも、色んな種類が有るんだなとみて、やはり、どの煎餅が好きなのか知らないから、迷う。
(ヤバイなおれ、鉄堅のこと、なんも知らないじゃん……あれ?でも、だったら、記憶がある鉄堅でも、ない鉄堅でも同じか、そっか、これから知っていけばいいよな)
知らない事を知って、知ることを知るってやつだ。知らないなら知ればいい。気持ちを強く持とう。くよくよしてたって、何にもならないし。一番困ってるのはあいつだし。
「すみません、この普通の煎餅ください」
まずは普通の煎餅からだ。そこから味変して、一緒に知っていこう。俺だって違う煎餅のこと解らないし、もしかしたら、好きな未知の味があるかもだし。楽しいじゃん。
煎餅の入ったビニール袋を持って、病室へ向かう。
昨日は病状聞かなかったけど、どれくらいで退院できるんだろ。
「聞くことがいっぱいだ、煩いとか怒られそー」
決して自分に怒ることなかった鉄堅。あぁそう言えば、あの決別の日くらいだ、あの日は凄く怒ってた。
《離れるならツガイになりたい、約束が欲しい》
あの言葉が随分昔に思える。
俺に執着しない鉄堅とか、未来でそんな鉄堅に会うことになるとは思わなかった。
「ただいま」
「お帰り、葉月」
「父さん、お願いがあるんだ俺、明日から1週間学校休んでも良いかな?」
「休んでどうするんだい?」
「毎日、鉄堅に会いに行こうと思う、学校終わってからだと面会時間に間に合わないから」
「そうか……葉月の好きにしなさい」
「ありがとう、父さん、いつも俺の我が儘聞いてくれてありがとう、俺、父さんの子で良かった」
「なんだ、どうした、改まって」
「へへっ、なんか、言っときたかった。言える時に言いたいことちゃんと言おうと思って」
「そうか、そうだな。うん、父さんも葉月が私の子供で良かった、私の自慢の息子だ」
やだな、父さん、今そういう言葉聞いたら泣いちゃうよ、勘弁してよ。
「うん、ありがと。風呂はいるよ」
急いで逃げ出した。もう、泣かない。泣かないって決めたばかりなんだよ。
葉月は服を脱ぐ振りをしながら、涙を拭き取った。明日から、毎日会いに行く。
しばらくバイト行けなくなること、斎藤にメールし、チーフの上林さんにも電話をした。
上林さんは、何かを察してくれたみたいで、その癒しの声で、良いんだよまた身体が空いたら来てねと、言ってくれた。本当に優しくて、神様なのかも、もし神様だったら、鉄堅のこと治してくれないかななんて。良いんだ、生かしてくれたんだから、きっとそれで神様の力使い果たしたんだ。この先俺がずっと不幸でもかまわない、生きててくれたんだから。幸運は全部、鉄堅に使って欲しい。もし、まだ俺にそんなものがあればだけど。
ほんと、わがままで、悪い子だったもんな、有るわけ無いか。毎日、良いことしたら貯まれば良いのに。これから頑張るからさ。少しでも貯まってくれないかな。そしたら、少しでも鉄堅に使えるのに。そんな都合の良いポイントみたいなの無いか。はは、やんなる、ほんと、どうしたら良いのか解らない。
次の日、何か手慰みになるものをと思って本屋へ行った。葉月はあまり本を読まないから、どんな本が良いかも解らなくて、ずらーっと並んだ本のラベルを読んでみた。
「何が良いんだろ……本いつも読んでたのに、どんな本が好きなのかとか聞いたことなかったな、聞いとけば良かった」
あまりに当たり前にいつもそこにいたから、気にしてなかった事が多すぎる。10年以上もそばにいたのに。鉄堅のこと知ってるようで、なにも知らない。
「だめだ、決められない今日あった時に聞こう、そうしよ、ケーキでも買ってけばいいよな」
くるっと方向転換して、今度はケーキを買いに商店街の真ん中にあるケーキ屋へ向かった。
陳列ケーキに並んだ色とりどりのケーキをみつつ、これまた、悩む。
鉄堅……ケーキ食べたっけ?遊びに行くと煎餅ばっかり出てきたから、甘いもの苦手だったかも。
やっぱり。食べるものの方が良いし、煎餅にしよう、あれなら確実に食べるはず。
ケーキ屋を出て、商店街の端の煎餅屋にいく。香ばしいいい匂いが漂ってる。
煎餅にも、色んな種類が有るんだなとみて、やはり、どの煎餅が好きなのか知らないから、迷う。
(ヤバイなおれ、鉄堅のこと、なんも知らないじゃん……あれ?でも、だったら、記憶がある鉄堅でも、ない鉄堅でも同じか、そっか、これから知っていけばいいよな)
知らない事を知って、知ることを知るってやつだ。知らないなら知ればいい。気持ちを強く持とう。くよくよしてたって、何にもならないし。一番困ってるのはあいつだし。
「すみません、この普通の煎餅ください」
まずは普通の煎餅からだ。そこから味変して、一緒に知っていこう。俺だって違う煎餅のこと解らないし、もしかしたら、好きな未知の味があるかもだし。楽しいじゃん。
煎餅の入ったビニール袋を持って、病室へ向かう。
昨日は病状聞かなかったけど、どれくらいで退院できるんだろ。
「聞くことがいっぱいだ、煩いとか怒られそー」
決して自分に怒ることなかった鉄堅。あぁそう言えば、あの決別の日くらいだ、あの日は凄く怒ってた。
《離れるならツガイになりたい、約束が欲しい》
あの言葉が随分昔に思える。
俺に執着しない鉄堅とか、未来でそんな鉄堅に会うことになるとは思わなかった。
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