辺境の地へ飛ばされたオメガ軍医は、最強将軍に溺愛される

夜鳥すぱり

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 馬車から馬を乗り継いで、ようやく新人騎士達が暮らしているという、軍基地へと到着した。

大きな木の塀に囲まれたそこは、武装した騎士達が、門を守っている。

馬にリズを乗せたままリュカが、門番に近づくと、騎士達の顔が急に緊張を帯びた。

「リュカ·サリザーラ将軍、お待ちしておりました、どうぞ」

年配の騎士が最敬礼をしながら、馬上のリュカを見つめる。リズは、おろおろと、リュカを見たが、リュカは頷き、そのまま馬を進めた。

「ご苦労、視察に来たわけではない、先日到着した新人騎士の様子を見に来ただけだ」

「直ちに、召集します」

「いや、呼ばなくていい、練習場にいるのか?」

「はい、今、模擬戦を」

「ならそれを、見学する」

「では、こちらへ」

リュカは頷くと、ひょいっと、馬から降り、そして、リズを抱っこして、下ろした。

すとんと、降りて、またリュカはリズを抱こうとしたので、リズは大慌てで、腕をつきだし、リュカを止めた。


「歩きます!!流石にここは」

「無理しなくても」

「無理してでも歩きます」

強い意思をもって、リュカの手を拒むと、リュカは、仕方ないなと、リズの手を握って、そのまま、手をひかれて歩くこととなった。

しかし殺伐とした基地のなかで、手をつないで歩いてて良いんだろうか。なんとなく視線を感じる。

仮にも、リュカは将軍で、リズは軍医で、手をつないで歩くのは、何かおかしいと思うのだが、リュカは絶対離さない感じで、ついには、指の間に指を入れる恋人繋ぎをしだした。

「はわわわ、リュカさんっ、手が」

「ん?リズの手ちっさ」

「リュカさんが、大きいんです!!僕は普通です」

むきになって、歯向かってしまって、ちがう、そういうことじゃなくて……と、思ったのだけれど、リュカは全く気にせず、リズの手をにぎにぎしながら、歩き、リズはそれが、妙に気恥ずかしくて、にぎにぎを、少しだけ、にぎにぎ仕返しながら、歩いた。



しばらく、行くと、建物がみえて、その中に入ると長い通路が続き、その先から、騎士達の声が聞こえてきた。リュカはリズに、声の方を指差した。

「中に、練習場が有るんだ」

「そうなんですね、皆さんの声がきこえます、模擬戦って何をしているんでしょう」

「何チームかに解れて、戦うんだ、だいたい、6人が1チームで、盾で守り、剣で戦い、相手の大将の胸に付けてる花を打ち取る」

「へーー」

「段階を経る毎に、そのチーム数を上げて、大きな軍に入ったときの立ち回りを覚えていくんだ」

「リュカさんもやったんですね」

「あぁ、負けたことない」

ふふんと、得意気に、言うので、リズは、またしても、リュカさんてば可愛いなぁと思うのだった。


「覆面でもつけて、まざってやろうか?」

「やめたげて下さい、リザードベア10頭1人で倒すような人が交ざってきたら、大惨事になります」

100人だろうと、1000人だろうと、本当にリュカならば、あっという間に倒してしまいそうで、そんな人を新人騎士の練習に入れてはいけない。

遠目に、ホフマンや、モーガン、達が戦っているのが見えた。女性騎士さん達もいる、他の騎士も、元気そうだ。

だが、ゼクスの姿は見えなかった。

「ゼクスさん、いませんね、まだ、怪我がひどいのでしょうか」

「あぁ、あそこに座ってらのがそうじゃないのか?」

リュカが、練習場の端のベンチにいる人を指差した。あまりに遠くて、リズは、よく解らない。

「リュカさん、目が良すぎませんか」

「まぁ、そっすね、リズは、見えないの?」

「見えませんよ、うーーん、ゼクスさんかなぁ?」

「嫌だけど、近くに行くか」

「嫌って言わないでくださいよ、行きます」

また、にぎにぎしながら、リュカはリズを引っ張って、歩きだした。どうやら、リュカは恋人繋ぎをいたく気に入っている様子だ。歩調はゆるやかで、リズが辛くないよう配慮しながら、歩いてくれる。

前は、リュカの足幅が大きくて追い付くのに苦労したっけと、リズは、懐かしく思う。

リュカを見上げると、気配をすぐ感じて、見つめ返してくれる。

どうした?って顔で、リズの少しの心の動きを知りたそうに。リズの小さな胸は、どきどきと、脈打つ。

(僕、ほんとにリュカさんが好き)

ニコッと笑うと、リュカも、目を細めて、愛おしそうに見返してくれる。

そんな二人を遠くから、げんなりとした瞳で、ゼクスはみつめていた。


(こんな所でいちゃつかんでも……)


世にも珍しいオーピーアルファは、可愛い軍医にメロメロだ。













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