守り厚き奴隷の娘

息耐者カール

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奴隷のままですが…自由になったのか?

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街に移され
目隠しを取られた
薄暗い部屋に個々の獣用の牢の中に入れられた

ここが商品の展示場なのだろう。
まさに禁制品を売ってます。という気配が漂ってます。

が、さっきから外の様子が騒がしいです。
もしかしたら逃げだすチャンスかもしれない。

この牢屋のカギが開かないと根本的に無理だけどね。

…そのころ

「帝国兵のがさいれだとう?」
「へい、お頭、奴らフルンゼ家の紋章を身に着けて
 俺たちの脅しが効きやせんぜ。」
「俺たちとつながりの有る『シアン家』と『フルンゼ家』は仲が悪い
 むしろこの辺りはフルンゼ家の縄張り、
 危険を承知で引き受けた仕事だったが、この辺が潮時か。
 全員バラバラになって逃げろ。」

…更に視点は代わり

「いいんですか、奴らの拠点をつぶすような真似して。」
「奴らはただの奴隷商人だろ、法を冒してるのは向うだ。」
「奴らのバックにはシアン家がついてるという噂ですぜ?」
「だからどうした?」

・・・
「姫様は奴らが怖くないんですか。」
「真の邪悪に手を貸している以上多少の善行は積まないとな。」
「シアン家はかつて叛逆者を出しながら
 皇帝の新鋭部隊を率いる名門・・・。」
「そんな奴らが奴隷商人とつながりがあったら
 大問題になるな…表向きは禁止してるし。」

・・・
「まあ、互いに証拠を消しあい
 冷戦通りに戻るだけだ。
 吾がフルンゼとシアン家が仲が悪い理由は私にも知らん
 適当に賊徒とつながりの有る奴隷商人を捕縛した。
 軍の上層部にはそう伝えておけ。」

・・・視点は元に戻る

「大量に入ってくる兵士さんのおかげで
 解放されたようです。
 他の人たちは…
 さっきからこっちをみている指揮官らしいきれいな女性は
 何かかぶつぶつ言ってるようだ…。」

「この行為が問題になって
 ・・・ふ・・・」

「あのー?」

「ああすまない、君も開放するね。」

「どうやって帰ればいいのですか?」

「君の故郷は?何て名前の村?」

「そう言えば,私、村の地名を知らないんだ。」

「結構要るねこういう子。」

「このまま返したらそのまま野垂れ死にするか
 また賊徒につかまるのが落ちですぜ。」

 兵士たちは私を心配してくれる、敵役にも良い人がいる…

 (私なんで帝国が悪政してるとか、帝国兵が敵役と思うの…)
(あれ…意識が…)

バタン

「ちょっと大丈夫なの、あなた。」


…気が付いたらベットの上でした
そして介抱をしてくれたのは、指揮官らしいきれいな人
そして私の考えが正しいのなら
あの紋章とこの人は

「有難う、クレーネさん、ですよね
 フレンゼ家の」

「あら、私も結構有名なのね。」

(転生者ですか私も、前世でお気に入りだった
 【フレイム・プロフ】の世界に
 私は名もなきモブの一人、そんな感じの扱いなのね)

いろいろ考えていると
クレーネさんは話しかけてきた。

「ねえあなたまだ名前を教えてもらってないけど。」

「あ、サレン・パレスです。
 姓はあるけど平民の娘で農家をしてました。」

「で、故郷の方向がわからない?」

「はい。」


「少し、うちで働いてくれないかしら
 食べるには困らないだけの給料は払えるはずだから。
 故郷への路銀はここで稼いで。」

「はい。」


本当は敵役に雇われるなんて
嫌だけど選択肢がないもの

この人は敵役のなかでも良識派のはずだから
大変なことにはならないはず…
だよね。

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