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第一章 出会い編
閑話 女子トーク
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ー宿屋一階・侍従の割り当て部屋ー
……ぱたん
今、一人の侍女が、部屋に入り、後ろ手に扉を閉めた。
ごぐり…
二人分の唾を飲み込む音が部屋に響くー…
バッッ!!
モリーの右手が高らかに上がった!!
『『っキャアアァァァ!!』』
二人分の歓声が上がる。
『どうでしたの?どうでしたの!?』
『やっぱり悩殺っ??悩殺でしたの!?』
『もしや…鼻血まで……?』
『『どうなんですの、モリー!!?』』
『うふふ……二人とも、慌てないで頂戴?』
順を追って説明しますわ、と勿体ぶって告げるモリーに静かになる二人。
心なしかその目は血走っており、鼻息も荒い。騎士達にはとても見せられない、飢えた野獣を思わせるその表情。
『失礼致します。そう言って陛下のお部屋に入室されたシェイラ様でしたが、その姿を一目見た陛下は……』
『へ、陛下は?』
『無言でしたわ。ぼぉぉっと熱に浮かされたような熱い眼差しで、シェイラ様の頭からお顔、その下の身体から足先まで。それこそ『舐めるように』見て、……いえ、見惚れておりましたわ!!』
『『きゃあああああああああ!!!』』
『あの氷の如く常に冷め切っている陛下が、熱に浮かされたような!!熱い眼差し!?マリー聞きまして!?』
『ええ聞きましたともメリー!!
しかもな、な、『舐めるように』ですって!?もしや私の予想通り……鼻血を!?』
『ふふふ…。何故マリーがそこまで鼻血に拘るのかは置いとくとして、コホン。
シェイラ様は陛下のご様子に酷く戸惑っておられましたわ。まぁそのご様子も酷く愛らしかったのですが。
すると陛下がふらふらとシェイラ様に近づき』
『『近づきッ!??』』
ごくり…(二回目)
『シェイラ様の背中に腕を回し、ぎゅううッッと力強く抱きしめたのですわ!!』
『『ぎゃあああああああああ!!!』』
『ぎゅううッッですわ!ぎゅううッッ!!』
『あの陛下がッッぎゅううう!!?』
『思わずといったご様子でのシェイラ様が陛下の愛称を叫んだのに対し、一度は正気を取り戻したように思われ身体を離した陛下ですが。その後もすぐに抱きしめなおそうとなさって。流石に私がお諌めさせて頂いたのです。女性に許可なくそういった行為をするものでは無い、と』
『ああんっ!何をいってますのモリー!?』
『そうですわよ!そこはゆっくり静かに部屋を退室してくパターンですわ!!?』
Boo!Boo!と親指を下に向けて突き出して文句を言う二人の態度は完全に酒場で野次を飛ばす破落戸のそれである。
しかしモリーはふっ……と余裕の笑みを見せる。
『でもその後陛下は仰いました。『すまん。だがそれは、シェイラが悪い』』
『『…………。』』
『『可愛くなりすぎだ』と!!』
『『ぎゃあああああああああああ!!!』』
ーこの日。
宿屋の一階では、
女子トークならぬ侍女トークという名の、二つ目の混沌がここに生まれた。
……ぱたん
今、一人の侍女が、部屋に入り、後ろ手に扉を閉めた。
ごぐり…
二人分の唾を飲み込む音が部屋に響くー…
バッッ!!
モリーの右手が高らかに上がった!!
『『っキャアアァァァ!!』』
二人分の歓声が上がる。
『どうでしたの?どうでしたの!?』
『やっぱり悩殺っ??悩殺でしたの!?』
『もしや…鼻血まで……?』
『『どうなんですの、モリー!!?』』
『うふふ……二人とも、慌てないで頂戴?』
順を追って説明しますわ、と勿体ぶって告げるモリーに静かになる二人。
心なしかその目は血走っており、鼻息も荒い。騎士達にはとても見せられない、飢えた野獣を思わせるその表情。
『失礼致します。そう言って陛下のお部屋に入室されたシェイラ様でしたが、その姿を一目見た陛下は……』
『へ、陛下は?』
『無言でしたわ。ぼぉぉっと熱に浮かされたような熱い眼差しで、シェイラ様の頭からお顔、その下の身体から足先まで。それこそ『舐めるように』見て、……いえ、見惚れておりましたわ!!』
『『きゃあああああああああ!!!』』
『あの氷の如く常に冷め切っている陛下が、熱に浮かされたような!!熱い眼差し!?マリー聞きまして!?』
『ええ聞きましたともメリー!!
しかもな、な、『舐めるように』ですって!?もしや私の予想通り……鼻血を!?』
『ふふふ…。何故マリーがそこまで鼻血に拘るのかは置いとくとして、コホン。
シェイラ様は陛下のご様子に酷く戸惑っておられましたわ。まぁそのご様子も酷く愛らしかったのですが。
すると陛下がふらふらとシェイラ様に近づき』
『『近づきッ!??』』
ごくり…(二回目)
『シェイラ様の背中に腕を回し、ぎゅううッッと力強く抱きしめたのですわ!!』
『『ぎゃあああああああああ!!!』』
『ぎゅううッッですわ!ぎゅううッッ!!』
『あの陛下がッッぎゅううう!!?』
『思わずといったご様子でのシェイラ様が陛下の愛称を叫んだのに対し、一度は正気を取り戻したように思われ身体を離した陛下ですが。その後もすぐに抱きしめなおそうとなさって。流石に私がお諌めさせて頂いたのです。女性に許可なくそういった行為をするものでは無い、と』
『ああんっ!何をいってますのモリー!?』
『そうですわよ!そこはゆっくり静かに部屋を退室してくパターンですわ!!?』
Boo!Boo!と親指を下に向けて突き出して文句を言う二人の態度は完全に酒場で野次を飛ばす破落戸のそれである。
しかしモリーはふっ……と余裕の笑みを見せる。
『でもその後陛下は仰いました。『すまん。だがそれは、シェイラが悪い』』
『『…………。』』
『『可愛くなりすぎだ』と!!』
『『ぎゃあああああああああああ!!!』』
ーこの日。
宿屋の一階では、
女子トークならぬ侍女トークという名の、二つ目の混沌がここに生まれた。
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