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第一章 出会い編
閑話 悪人達の身勝手な嘆き
しおりを挟むーレイランドルフ伯爵屋敷内ー
side:ロザベラandミラベル
「シェイラ!!シェイラはどこに行ったの!?」
「全く…私達に手間を取らせるだなんて、本当に使えない娘ね。もういいわベル。きっと家事を嫌って家を出て行ったのよ。あんな使えない女に私達が割く時間などないわ!
私と貴方が今気にしなくてはならない事は何?」
「……お母様はあんな屑に優しすぎるのよ!!でもそうね、私とお母様には今月末に王城で開かれる大夜会へ向けての支度がありますもの!ドレスも新調しなければならないし、宝石だって!!」
「オルガ!フィオレ!!早速今から準備を始めるわよ!!皇帝陛下に領地内で御目通り出来なかった事は悔やまれるけれども、大夜会へ出ればベルの事だもの。可憐な容姿で陛下は一目で虜になるはずだわ!!」
「そうね!二人とも、頼むわよっ!!」
「「かしこまりました!!奥様、お嬢様!!」」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ーレイランドルフ伯爵領内・境界付近の屋敷ー
side:ケインand破落戸
「へぇ?逃げたんですか。あの異物が、一人で」
「へ、へい。……どうやって屋敷から出たのか、屋敷の門番役も皆目見当もつかないとか。後妻達も行き先は知らないようだと御者が言ってますんで、へい」
「……ふぅん。まぁもうあの異物がどこに逃げ出そうがどうでもいいがね。逃げたところで行き場もなく、父親の元へも行けない。
どこかで野垂れ死ぬだけ……寧ろ早く死んでくれないものかな?
君もそう思うだろう?」
「へ、へへ。そりゃあそうに違ぇねぇ」
「……誰が、貴様に聞いた?というかまだいたのか。
俺は!俺の可愛いエリーに聞いたんだ。…報告がそれだけならさっさと消えろ」
「へ!?へい!すぐに消えますんで!へい!!」
「全く、空気を読まない馬鹿はこれだから……
ごめんね?エリー。人相の悪い男が大きい声出したからびっくりしたでしょう?ああ、またお手入れをしなければならないね?」
(そういえばそろそろカリス帝国一行が領地から出ていく頃合いか……。何もないとは思うが、万が一に備えて例の贈り物をまた新しく挿し替えに行くか。異物がそちらに向かった可能性もないわけでなし……精々父親に認識すらされず絶望すればいいさ。寧ろ本当、死んでくれ)
「ああ、俺の可愛い可愛いエリー、ごめんよ?
また家を空けなきゃならないんだ…。俺も大変なんだよ仕事が忙しくてね。
でも君とゆっくり生活出来る様に頑張ってくるから、いい子で待っていてよね?
俺の可愛い、エリーシェ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ー同場所・外ー
side:破落戸
「うえ~…。
本当イっちまってるぜあの旦那。ったく、毎度毎度素裸の死体と抱き合ってるとこ見せられるコッチの身にもなれってんだ!!なぁにが『俺の可愛いエリー』だ、気持ち悪ぃ。…‥ヤダヤダ、こっちまで頭おかしくなっちまう。
こんな時は女でも抱いて忘れるに限るぜ(勿論、生きている奴をな)」
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