出涸らし令嬢は今日も生きる!

帆田 久

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第二章  帝国編

閑話  退場を果たした二人(レミルの場合)

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閑話二本目、もう一人の退場者のその後です

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(レミルの場合)


ーラクレス男爵家・屋敷内エントランスホールー



レミル『お、お父様…?この男性達は、誰、なの?』

ラクレス男爵『……ああ、レミルか。
      いやなに、彼らは君を人達だよ』

レミル『引き受ける……?
   ふ、ふふ……!お父様ったらぁ~何を言って』


見知らぬ男性『たった今貴女のお父様から
      貴女を者ですよ、お嬢さん。
      他の者は私の部下です』

レミル『!!?“買った”?……お父様!?
   どういう事なの!!?』

ラクレス男爵『は、はは……。
      どうもこうも、聞いての通りだよレミル。
      もう何もかも、お終いなんだよ。
      君はたった今、彼らに売られた奴隷となったんだ』

レミル『………っどれ、い?
   なん、で、何で何で何で何で何で何で何で何で何で!!?
   何で私が奴隷になんてならなきゃいけないのよッッ!!』

ラクレス男爵『何で?何でだって!!?
      はぁぁ~…もう嫌だ、
      こうなったのも全て君のせいなのに……!!
      ここまで馬鹿だとは……』

レミル『ばっ馬鹿ですって!!?』

ラクレス男爵『元々君の我が儘放題のお陰で我が家の家計は火の車。
      注意しても注意しても贅沢をやめなかった。
      そこに降って湧いた今回の皇帝婚約者選定……。
      見目だけは良いから
      どうにか君を陛下に引き取ってはもらえないものかと。
      それか数多い他の令嬢達の淑女振りを少しは学んでくれないものかと
      一縷の望みをかけて送り出したのに。
      後宮ですら大人しく出来ないとは…
      
      しかも用意し持参した物とは別に、
      無駄に高価なドレスを特急で作らせたんだって?
      君がすごすごとここに帰ってきた時に見たけれど、
      あんな趣味の悪いドレスをあんな値段でよくも作ってくれたよ。

      君は金額に全く糸目をつけなかったようだけど、
      到底、払える額じゃなかったんだよ!
      お陰で我が家は破産、
      僕も妻とは離縁して実家に帰したし、
      男爵位を返上してこの屋敷も売却…
      文字通り何もかも失くしてしまった!
      
      それだけしても返済しきれなかったんでね、
      悪いけど、自分が作った借金は
      自分でなんとかしてもらうことにしたんだよ…君自身の身でね』

レミル『冗談、でしょう?ね、お父様、悪い冗談はやめて』


ラクレス男爵『………もう顔を見ているのも苦痛だなぁ…。
      悪いけど君達、書面は交わしたのだから屋敷も彼女も、
      後をお願いできないかい?
      僕はもう……疲れたよ』

見知らぬ男性『ええ、それはもう!
      お屋敷も娘さんも、高値で売らせてもらいますよ!!』

ラクレス男爵『ああ……やっと小煩い妻からも我が儘娘からも解放される…。
      さっさと貴族章と印を陛下に返上して、
      平民としての人生をやり直すんだ……は、あはは!!』


バタバタバタ……バタン!!(足早に駆け去り、扉が閉まる音)


見知らぬ男性『さぁてお嬢さん!!
      君もすぐに私の店へと移動してもらわなければ!!
      は早い方がいいですからねぇ……』

レミル『嫌よ!!
   お父様が何をしたか知らないけど私には関係ないんだから!!
   絶ッッ対に行かない!!』

見知らぬ男性『やれやれ、聞きしに勝る我が儘振りだ。
      仮にも実の親にあれだけ分かりやすく説明を受けたのに、
      聞き分けのない……。
      強引なのは嫌いなんですがね、致し方ない。
      ………おい』

部下(複数)『『へい』』


レミル『ちょっ!っやめてっ……離しなさいよー!!……っむぐ』


見知らぬ男性『はいうるさいので静かに。
       では早速君のに行きましょうかねぇ!!』


レミル『んんーーーーっっ!!!』



ギィィィィ………バタン



こうして一つの男爵家は潰え、
そこの主人だった男とその娘だった女は、二度とその屋敷を訪れることはなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

※次回は本編の方に戻ります!!
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