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パーヴィドとセンシビリタ
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僕はパーヴィド・リート。大国、アポカリッセの魔術師団長令息として生まれて、跡継ぎとして期待されて育った。けれども僕は、何故だか魔力の器だけ大きくて魔力は空っぽだった。それは魔力の第一次覚醒が来ても変わらなかった。けれども家族は僕に愛想を尽かすでもなく、きっと魔力の第二次覚醒が来れば偉大な魔術師になれると励ましてくれた。でも、それは僕にとってはプレッシャーでしかなかった。僕はそのプレッシャーを払拭したいが為にひたすら魔法学に打ち込み、魔法学の天才と称されるようになった。結果、あれで魔力があればと影で言われることも増え、余計にプレッシャーに打ちのめされる日々。そんなある日、僕の元に突然国王陛下が現れた。そしてお前の力が必要だと言って転移魔法で王宮に連れていかれた。家族も唖然としていたのを覚えている。そして、世界一可愛いお姫様、ジェンティーレ・プリンチペッサ・アポカリッセ王女殿下の魔力の暴走を知った。すぐに暴走した魔力を僕に移してもらったけど、これからは毎日王女殿下の魔力を移さないと、王女殿下はすぐに死んでしまうだろう。そうして僕は、王女殿下のお話相手になった。
王女殿下はとても無邪気な方で、僕にとってはちょっと眩しかった。でも、そんな王女殿下の魔力のおかげで僕は魔術師として活動できるようになって、しかも僕の魔力の第二次覚醒が起きる頃まではおそらく僕の中の王女殿下の魔力は持つ。ありがたいことだった。そんな中で、無邪気な王女殿下は僕の欲しい言葉をくれた。
『ヴィドは努力の天才だね!』
その言葉にどれだけ僕が救われたことか。きっと王女殿下は知らない。けれども、僕は涙を止められなかった。僕は王女殿下に生涯の忠誠を誓った。そして、仄かな恋心を抱いた。リト様がいるから、無駄なのはわかっていたけれど。そして、王女殿下から名前で呼ぶ栄誉を与えていただいた。ティーレ様。なんて綺麗な名前だろう。ティーレ様、ティーレ様。なんて幸せな日だろう。その日、家でもようやく僕の努力は認められてまた泣いた。
それから十年が経ったが、僕とティーレ様の関係は変わらず、仲良くさせて頂いている。だからこそ、僕はティーレ様への想いを断ち切れなかった。父から婚約の話をされたことも何度かあるが、好きな人がいるのに婚約者を持つなんて婚約者になる方に失礼だと言って躱してきた。おそらく家族も、僕の仄かな恋心に気がついている。だから許されていた。今日までは。
今日から学園は夏休み。僕ら生徒会執行部もそれぞれ実家に帰省している。夏休み中、生徒会執行部の『合宿』と称した遊びの約束はブルローネ先生の先導の元取り付けてあるけれど、それまではティーレ様に会いに行く口実もない。父もそれを知っているのだろう。いい加減に婚約者を決めなさいと言われた。だから、僕は婚約者候補の方と直接会うしかなくなった。
相手はセンシビリタ・インノ伯爵令嬢。金髪に蒼い瞳の綺麗な女の子。現金なもので、僕は彼女の美しい容姿に少しだけときめいてしまった。両家の親はすぐに席を外し、二人きりにしてくれた。
「はじめまして、ご機嫌よう。私、センシビリタ・インノと申します。伯爵令嬢ですわ。パーヴィド・リート魔術師団長令息様におかれましては、ご機嫌麗しく」
「…あ、は、はじめまして、ご機嫌よう。僕はパーヴィド・リート。…き、君には、謝らなければいけないことがあるんだ」
「…?いきなりですわね。なにかしら?」
ちょこんと首を傾げる彼女は可愛らしい。
「僕、す、好きな方がいて…む、報われない、恋なんだけど…」
「まあ…」
それは…と言い淀むセンシビリタ様。やっぱり嫌だよね…。
「私達、気が合いそうですわね!」
え?
「実は私も…スピリト様という公爵令息の方に想いを寄せているんです。王女殿下の婚約者ですから、決して報われない恋心ですわ」
リト様に!?
「私達、お互いにお互いの一番になれない者同士、仲良く出来ると思いませんか?」
「…あの、実は僕の好きな方はティーレ様。王女殿下なんだ」
思ったよりもするっと言葉が出て来た。
「まあ!なんて巡り合わせかしら!では、私達は是非とも婚約するべきですわ!そして二人で、お二人の幸せをお支えしましょう?」
なんてことだろう。なんて巡り合わせだろう。僕は彼女の言葉に素直に頷いた。
「私のことはリタで結構ですわ」
手を差し出される。
「僕はヴィドでいいよ」
お互いに固い握手をして、僕達は婚約という名の同盟を結んだ。
両家の親はとても喜んだ。僕はティーレ様にリタと二人で挨拶に行った。ティーレ様は我が事のように喜んでくれた。胸がちょっとちくっとしたけれども、嬉しかった。そして合宿にリタも連れてきていいと言ってくれた。
僕達はこれから、婚約して、結婚して、いずれは女王様となるティーレ様と、王配となるリト様をお支えする。僕達はすぐに仲の良い婚約者になった。…これはこれで、幸せな家庭を築いていけるように思う。ちょっと胸が痛いけど、僕は幸せだ。
王女殿下はとても無邪気な方で、僕にとってはちょっと眩しかった。でも、そんな王女殿下の魔力のおかげで僕は魔術師として活動できるようになって、しかも僕の魔力の第二次覚醒が起きる頃まではおそらく僕の中の王女殿下の魔力は持つ。ありがたいことだった。そんな中で、無邪気な王女殿下は僕の欲しい言葉をくれた。
『ヴィドは努力の天才だね!』
その言葉にどれだけ僕が救われたことか。きっと王女殿下は知らない。けれども、僕は涙を止められなかった。僕は王女殿下に生涯の忠誠を誓った。そして、仄かな恋心を抱いた。リト様がいるから、無駄なのはわかっていたけれど。そして、王女殿下から名前で呼ぶ栄誉を与えていただいた。ティーレ様。なんて綺麗な名前だろう。ティーレ様、ティーレ様。なんて幸せな日だろう。その日、家でもようやく僕の努力は認められてまた泣いた。
それから十年が経ったが、僕とティーレ様の関係は変わらず、仲良くさせて頂いている。だからこそ、僕はティーレ様への想いを断ち切れなかった。父から婚約の話をされたことも何度かあるが、好きな人がいるのに婚約者を持つなんて婚約者になる方に失礼だと言って躱してきた。おそらく家族も、僕の仄かな恋心に気がついている。だから許されていた。今日までは。
今日から学園は夏休み。僕ら生徒会執行部もそれぞれ実家に帰省している。夏休み中、生徒会執行部の『合宿』と称した遊びの約束はブルローネ先生の先導の元取り付けてあるけれど、それまではティーレ様に会いに行く口実もない。父もそれを知っているのだろう。いい加減に婚約者を決めなさいと言われた。だから、僕は婚約者候補の方と直接会うしかなくなった。
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「まあ…」
それは…と言い淀むセンシビリタ様。やっぱり嫌だよね…。
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え?
「実は私も…スピリト様という公爵令息の方に想いを寄せているんです。王女殿下の婚約者ですから、決して報われない恋心ですわ」
リト様に!?
「私達、お互いにお互いの一番になれない者同士、仲良く出来ると思いませんか?」
「…あの、実は僕の好きな方はティーレ様。王女殿下なんだ」
思ったよりもするっと言葉が出て来た。
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