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紆余曲折の末幸せを掴んだ
「このアホがぁ!!!」
「グハァっ…!!!」
私はとある辺境伯家の五女。
今、婚約者となったばかりの第三王子をぶん殴ったところ。
「だ、第三王子殿下!」
使用人達に駆け寄られる第三王子。当の本人はぽかんとしてる。間抜けめ。
「誰が!いつ!あんたが好きだなんて言った!私は一言もそんなこと言ってないわよ!」
「え、だ、だって…」
「私があんたを拒絶しなかったのは!お嬢様が!あんたの婚約者だったマリアお嬢様が!あんたが私を気に入っているようだから仲良くしてあげてとおっしゃったからよ!そのマリアお嬢様のご好意をよくも無駄にっ…」
マリアお嬢様は、公爵家のおっとりとしたお姫様。人の善性を信じ、人々に尽くす優しいお方。我が辺境伯家の次男が大規模な魔獣との戦闘で大怪我をした際も、無償で類い稀なる治癒魔法を施してくださった。その時から私はマリアお嬢様を信奉している。
マリアお嬢様は優しい。そのお力と性格から、まるで伝説上の聖女のようだと評される。
そのマリアお嬢様の愛を一身に受けたはずのこの男は!こともあろうに!マリアお嬢様に嫉妬して蔑ろにした挙句!辺境伯家のただの小娘を愛してると宣いマリアお嬢様との婚約を一方的に破棄して!そして今!
私に求婚してきたのだ!!!
「私はあんたみたいな恩知らず、死んでも受け入れないわ!」
「恩知らず…?」
「…あんた、まさか聞かされてないの?有名な話なのに?…あんたは昔病弱だった。せっかく生まれてきたのに、もって十年の命だった。そこをマリアお嬢様が、治癒の力でそこまで回復させた。マリアお嬢様とあんたの婚約は、それが縁だったのよ」
「え…?マリアが勝手に言ってた嘘じゃなく?」
「…はぁ!?本当に、本当に信じられない!ぶちのめしてやる!」
私は止める使用人たちごとなぎ倒して、第三王子をその内面に似合わない美しい顔面が崩壊するまで殴り倒し続けた。
結果、第三王子は全ての歯が折れ顔がパンパンに腫れ上がり恐ろしい形相になった。
結果から言うと、私はお咎めなしになった。
第一に、あのボンクラが勝手に公爵家の娘…しかも恩人との婚約を破棄したこと。
第二に、私がマリアお嬢様を信奉しているのは有名な話で王家の一族にすらさもありなんと思われたこと。
第三に、王家に貸しのあるマリアお嬢様が私のことを庇ってくださったこと。
そのおかげで第三王子を殴ったことを無罪放免にしてもらえた。
「一方で、第三王子殿下は治癒もろくにされないまま放逐されたけれどね」
そう言って笑うのはマリアお嬢様。
その表情はどこか憑き物が落ちたよう。
「彼の方に捨てられた時はこの世の終わりのように感じていたけれど、貴女が仕返しをしてくれてスカッとしたわ。目も覚めた。百年の恋もね」
そう笑うマリアお嬢様の表情は明るい。
「それに、わたくしにとって本当に必要なのが誰がわかったわ」
そうして、マリアお嬢様は私の左手を取ると薬指に指輪をはめた。
「この国では、貴族同士のアレコレで同性婚も認められているわ。どうか、わたくしと結婚して」
こうして、紆余曲折はあったが私は幸せを掴んだらしい。
「グハァっ…!!!」
私はとある辺境伯家の五女。
今、婚約者となったばかりの第三王子をぶん殴ったところ。
「だ、第三王子殿下!」
使用人達に駆け寄られる第三王子。当の本人はぽかんとしてる。間抜けめ。
「誰が!いつ!あんたが好きだなんて言った!私は一言もそんなこと言ってないわよ!」
「え、だ、だって…」
「私があんたを拒絶しなかったのは!お嬢様が!あんたの婚約者だったマリアお嬢様が!あんたが私を気に入っているようだから仲良くしてあげてとおっしゃったからよ!そのマリアお嬢様のご好意をよくも無駄にっ…」
マリアお嬢様は、公爵家のおっとりとしたお姫様。人の善性を信じ、人々に尽くす優しいお方。我が辺境伯家の次男が大規模な魔獣との戦闘で大怪我をした際も、無償で類い稀なる治癒魔法を施してくださった。その時から私はマリアお嬢様を信奉している。
マリアお嬢様は優しい。そのお力と性格から、まるで伝説上の聖女のようだと評される。
そのマリアお嬢様の愛を一身に受けたはずのこの男は!こともあろうに!マリアお嬢様に嫉妬して蔑ろにした挙句!辺境伯家のただの小娘を愛してると宣いマリアお嬢様との婚約を一方的に破棄して!そして今!
私に求婚してきたのだ!!!
「私はあんたみたいな恩知らず、死んでも受け入れないわ!」
「恩知らず…?」
「…あんた、まさか聞かされてないの?有名な話なのに?…あんたは昔病弱だった。せっかく生まれてきたのに、もって十年の命だった。そこをマリアお嬢様が、治癒の力でそこまで回復させた。マリアお嬢様とあんたの婚約は、それが縁だったのよ」
「え…?マリアが勝手に言ってた嘘じゃなく?」
「…はぁ!?本当に、本当に信じられない!ぶちのめしてやる!」
私は止める使用人たちごとなぎ倒して、第三王子をその内面に似合わない美しい顔面が崩壊するまで殴り倒し続けた。
結果、第三王子は全ての歯が折れ顔がパンパンに腫れ上がり恐ろしい形相になった。
結果から言うと、私はお咎めなしになった。
第一に、あのボンクラが勝手に公爵家の娘…しかも恩人との婚約を破棄したこと。
第二に、私がマリアお嬢様を信奉しているのは有名な話で王家の一族にすらさもありなんと思われたこと。
第三に、王家に貸しのあるマリアお嬢様が私のことを庇ってくださったこと。
そのおかげで第三王子を殴ったことを無罪放免にしてもらえた。
「一方で、第三王子殿下は治癒もろくにされないまま放逐されたけれどね」
そう言って笑うのはマリアお嬢様。
その表情はどこか憑き物が落ちたよう。
「彼の方に捨てられた時はこの世の終わりのように感じていたけれど、貴女が仕返しをしてくれてスカッとしたわ。目も覚めた。百年の恋もね」
そう笑うマリアお嬢様の表情は明るい。
「それに、わたくしにとって本当に必要なのが誰がわかったわ」
そうして、マリアお嬢様は私の左手を取ると薬指に指輪をはめた。
「この国では、貴族同士のアレコレで同性婚も認められているわ。どうか、わたくしと結婚して」
こうして、紆余曲折はあったが私は幸せを掴んだらしい。
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