妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

私の境遇

私はとってもダメな子なのです。

ご機嫌よう。私はエレオノール・セヴランと申します。このリュシアン帝国の序列第一位、セヴラン公爵家の長女です。

といっても、私はお父様が手篭めにした侍女の子供…妾の子なのです。母が生きていた頃には正妻の子であるお兄様同様に可愛がられていましたが、母が幼い頃に亡くなると正妻であるお義母様から元々住んでいた別邸で監禁されるようになりました。大好きなお兄様にもお会い出来ず、お父様が急に冷たくなり、お義母様からは監禁され、使用人達や家庭教師の先生からは虐待を受ける日々。

それでも私は、いつか政略結婚をさせるためだけに生かされてきました。対外的には妾の子だということは伏せられ、病弱なため外に出せないということにされつつ、ほとんど休みなく公爵令嬢としての教育を受ける日々。お兄様は度々別邸に訪れて「エレナに会わせろ！」と言ってくださいましたが、お嬢様はご病気ですのでと使用人達から強制的に本邸に連れ戻されていました。それでも閉じ込められた部屋の中からお兄様の声を聞けることが嬉しくて、お兄様が私を心配してくれることが嬉しくて、大きくなってもそれが変わらないことが嬉しくて、それを心の支えに生きてきました。

家庭教師の先生はとても厳しく、少しでも何か失敗するとすぐに、傷が見えない背中に鞭や杖が飛んできます。とても怖かったですし痛かったですが、私がダメな子だから仕方がないのです。

また、私は幸か不幸か妾だった母に似て見目は悪くないようで、見た目も使用人達に磨き上げられました。しかし、家庭教師の先生から付けられた傷以外に傷が出来ると罵倒されます。私は先生や使用人達からもダメな子だと叱責されてしまういけない子なのです。

そんな私の心の支え、お兄様との大切な記憶。今日も先生との勉強でくたくたになった身体をベッドに横たえて、眠りにつけるまで懐かしい記憶に潜ります。