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皇太子殿下と仲良しなご令嬢方から泥棒猫と呼ばれてしまいました
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「この泥棒猫!」
パシンと音を立てて頬を打たれます。耳の鼓膜は無事でしょうか?
「貴女なんてね、皇太子殿下に相応しくないのよ!公爵家のご令嬢がなによ!こんな痩せこけた女の何処がいいの!?」
きいきいと声を荒げる目の前のご令嬢に、私は何も言えません。
ー…
「エレオノール様はいらっしゃるかしら?」
「あ、私です」
「…貴女が、エレオノール様?」
「はい」
「そう。ちょっとお話がありますの。一緒に来てくださいませ」
そして人気のない空き教室に連れ出され、今に至ります。
「…あの、泥棒猫とは?」
まずそこから理解出来ていないのですが。いえ、言葉の意味はわかっていますが。
「貴女が私から皇太子殿下を取ったのでしょう!?」
「え、誤解です、クリス様とはそういう仲ではありません!お友達になったんです!」
「あの皇太子殿下が〝お友達〟なんて作るはずないじゃない!ふざけないで!大体、クリス様なんて馴れ馴れしく呼んでおいてそういう仲ではないなんて言い訳通用しないのよ!」
「そんな言い方…っ、たしかにクリス様は孤独な方ですが、私やジェシー様、ティナ様などお友達が出来て楽しそうでした!お友達なんて作るはずないなんて、そんな勝手な事を言わないでください!」
「なっ…なによ!私の方がずっと前から皇太子殿下を好きなの!皇太子殿下を最も知っているのは私!知ったかぶらないでよ!」
「いいえ、表向きの皇太子殿下は知りませんが、素顔のクリス様はお友達とわいわい過ごすのが好きな楽しい方です!前言を撤回してください!」
「なによ!私はそんな皇太子殿下知らない!そんなのあり得ない!」
どんと突き飛ばされ、呪文を詠唱される。私は魔法学は学んでいないから、どんな魔法を使われるかもわからない。怖い!
目を瞑ると、どんっと音がした。しかし私は無事。目を開けるとそこには、クリス様が立っていた。
「クリス様…!?」
「皇太子殿下っ!」
「大丈夫だよ、エレナ。僕は無傷だ。ああ、頬を平手打ちされたね?真っ赤になって…医務室まで運ぶ。おいで」
「皇太子殿下っ!そんな子の何処が良いのですか!何故私ではいけないのですか!」
「…うるさいな」
クリス様は私をお姫様抱っこする。その時もびくりと震えてしまったけれど、あのご令嬢は気付いていないようで良かった。
「さあ、行こうか」
クリス様はご令嬢を無視して私を運ぶ。医務室のベッドに降ろされて、先生に一応怪我がないか見てもらって、頬を冷やす氷を貰う。一応、ということでベッドに横たわり頬を冷やしながら休む。
「迎えに行くのが遅くなってごめん、これからはちゃんと守る」
「いえ、そんな。むしろ来てくださってありがとうございました。どうしてわかったのですか?」
「いつもしつこいくらいに僕に絡んでくるあの女が、珍しく僕のところに来ないで帰っていったから。嫌な予感がして君の教室に行くと、君があの女に連れ出されたって聞いて。居ても立っても居られないから探した」
「クリス様…あの、あんまり虐めないであげてくださいね?」
私の言葉に、クリス様はただニコリと笑った。
パシンと音を立てて頬を打たれます。耳の鼓膜は無事でしょうか?
「貴女なんてね、皇太子殿下に相応しくないのよ!公爵家のご令嬢がなによ!こんな痩せこけた女の何処がいいの!?」
きいきいと声を荒げる目の前のご令嬢に、私は何も言えません。
ー…
「エレオノール様はいらっしゃるかしら?」
「あ、私です」
「…貴女が、エレオノール様?」
「はい」
「そう。ちょっとお話がありますの。一緒に来てくださいませ」
そして人気のない空き教室に連れ出され、今に至ります。
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まずそこから理解出来ていないのですが。いえ、言葉の意味はわかっていますが。
「貴女が私から皇太子殿下を取ったのでしょう!?」
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「あの皇太子殿下が〝お友達〟なんて作るはずないじゃない!ふざけないで!大体、クリス様なんて馴れ馴れしく呼んでおいてそういう仲ではないなんて言い訳通用しないのよ!」
「そんな言い方…っ、たしかにクリス様は孤独な方ですが、私やジェシー様、ティナ様などお友達が出来て楽しそうでした!お友達なんて作るはずないなんて、そんな勝手な事を言わないでください!」
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どんと突き飛ばされ、呪文を詠唱される。私は魔法学は学んでいないから、どんな魔法を使われるかもわからない。怖い!
目を瞑ると、どんっと音がした。しかし私は無事。目を開けるとそこには、クリス様が立っていた。
「クリス様…!?」
「皇太子殿下っ!」
「大丈夫だよ、エレナ。僕は無傷だ。ああ、頬を平手打ちされたね?真っ赤になって…医務室まで運ぶ。おいで」
「皇太子殿下っ!そんな子の何処が良いのですか!何故私ではいけないのですか!」
「…うるさいな」
クリス様は私をお姫様抱っこする。その時もびくりと震えてしまったけれど、あのご令嬢は気付いていないようで良かった。
「さあ、行こうか」
クリス様はご令嬢を無視して私を運ぶ。医務室のベッドに降ろされて、先生に一応怪我がないか見てもらって、頬を冷やす氷を貰う。一応、ということでベッドに横たわり頬を冷やしながら休む。
「迎えに行くのが遅くなってごめん、これからはちゃんと守る」
「いえ、そんな。むしろ来てくださってありがとうございました。どうしてわかったのですか?」
「いつもしつこいくらいに僕に絡んでくるあの女が、珍しく僕のところに来ないで帰っていったから。嫌な予感がして君の教室に行くと、君があの女に連れ出されたって聞いて。居ても立っても居られないから探した」
「クリス様…あの、あんまり虐めないであげてくださいね?」
私の言葉に、クリス様はただニコリと笑った。
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