妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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お友達が駆けつけてくれました

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クリス様に付き添ってもらって、しばらく頬を冷やしながら横になっていると保健室のドアが勢いよく開きました。

「エレナ様、ご無事ですの!?」

「エレナ様ぁ!皇太子殿下にお姫様抱っこされて保健室にって、なにがあったんですかぁ!?」

どうやらジェシー様とティナ様が駆けつけてくださるほどに、私がクリス様にお姫様抱っこされて保健室に来たことは噂になってしまったようです。噂が回るのが早すぎます…。

「オーギュスティナ嬢、ジェシカ嬢。今日は先生と僕達しかいないとはいえ、ここは保健室だ。もう少し静かに」

「でもぉ、エレナ様のピンチにぃ、生徒会長としての尊厳を捨てて廊下を走って駆けつけたと聞きましたぁ」

「それはまあ…エレナのことが心配だったからね」

「私達だって同じ気持ちですわ」

「…まあ、それもそうか。でも、エレナは怖い思いをしたんだから僕達こそ落ち着かないとね」

「…わかりましたわ」

「エレナ様ぁ、何があったか聞いていいですかぁ?」

皆様が私を心配してくださった。それがただただ嬉しいです。皆様の優しさに、心が打たれます。

「はい。実は、名前も知らないのですが…あるご令嬢に空き教室に連れ込まれて、泥棒猫と呼ばれて突然頬を平手打ちされて。その後魔法で攻撃される直前にクリス様が来てくださって助けていただいたんです」

「平手打ちですの!?しかも魔法!?」

「ふーん…許せませんねぇ…」

「皇太子殿下、エレナ様を助けていただいてありがとうございます。魔法が当たっていたらと考えると…私…」

「なに。僕がそんなこと許すはずもないだろう?これからも必ずエレナは僕が守るさ。安心しておいで」

ティナ様が震え、ジェシー様がその背をさすります。クリス様はその様子にウィンクを投げて茶化します。

「本当にぃ、皇太子殿下がいてくれて良かったですぅ」

「あはは。まあね」

「まあでも、どうせある意味では皇太子殿下のせいなんでしょうけどぉ」

「んー。それは言い返せないなぁ。僕がエレナを選んだこと、こんなに直ぐに噂になるなんてねぇ」

「これからはもっと噂になるはずですぅ。なんたって皇太子殿下直々のお姫様抱っこですからぁ」

「まあねぇ。ま、これからも守るだけさ」

「信じてますよぉ」

「お任せあれ。僕はこれでも皇太子だからね!」

皇太子殿下の心強いお言葉のおかげで、ティナ様の震えも収まって、私も正直安心しました。

言ってしまえば、平手打ちされた時は〝ああ、学園でも私はこうなるのか〟と落ち込んだものの別に特に何も感じなかったのです。

怖かったのは魔法を打ち込まれそうになった時。魔法を受けるのなんて初めてで、しかも知識もありません。一般的な貴族の令嬢には本来必要とされない知識ですし。だから、すごく怖かった。もしかしたら死んでしまうかもと覚悟もしました。

クリス様が駆けつけてくれて、本当に良かった…。
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