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転生システムはこうなってたらしい。ややこしいと思いますわ。
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「俺毎回思うんだけどさあ。なんで悪役令嬢の身体に聖女級の良い子ちゃんの魂入れてんのに誰も気付かないの?おかしくない?」
「おかしくありませんわよ、別に。わたくしの家族も含めて、貴族なんて結局相手のうわべしか見てませんもの」
彼女は目の前の神とやらに悪態をつく。
「それよりも聞きたいことがあるのですけれど」
「なに?」
「…なんでわたくしの了承もなくわたくしの身体をあんな小娘に差し上げてますの!?」
彼女、シャネルがブチ切れるのも仕方がない。彼女の目の前の神とやらはやらかしていた。ただ、これが最初ではなく何回もやらかしていたので大体の会話の流れの持って行き方は心得ている。
「ごめんね、不甲斐ない神で。あの子の世界の神様との約束があって。聖女級の魂が不慮の事故や事件や自殺で寿命を迎えられなかったら、こっちの世界の悪い子の身体を貸してでも受け入れてあげて欲しいって。神にも上下関係があってさ」
「…その悪い子がわたくしですの?」
シャネルの機嫌がまた悪くなるが、神は無視。
「その代わり、君にもチャンスはあるんだ」
「…ふむ?」
「転生する瞬間、なんらかの理由で命を落とした人への転生。ある程度の条件は絞ってくれて良いから、僕はそれに従って君をその身体を借りる形で転生させる。記憶はそのままだよ。転生した身体の記憶も転生する時追体験できるから、その人の技術や知識も吸収できるね。それに君が生きているこの時代に転生できる」
シャネルはそれを聞いて、少しだけ気を持ち直した。
「条件はどうする?」
「そうですわね…歳はわたくしと近くて、美しい女性がいいですわ」
「…わかった、じゃあいってらっしゃい!」
「え、待ってまだ条件が…」
「問答無用!」
問答無用で神に送られたシャネル。彼女は失意の内に死んだ女性の記憶を追体験した。目を覚ますと、すぐさまその場を離れる。
「…控えめに言って、最悪でしたわ」
その女性が、ストーカーに襲われて殺されたのを知ったシャネルはストーカーが戻ってこないかドキドキしながら身を隠す。
「記憶の通りなら、この身体は魔力のないはずですけれど。わたくし、魔力は国一番でしたのよね。合体した今のわたくしは?」
魔力をそっと出してみる。結果前世と同じ魔力を出せた。
「…ふむ。わたくし、神様が割と憎めませんわ」
ということで転移魔法で『シャネル』のいた国に転移した。その国は今いるこの国とは大陸ごと違うので、あちらに移ればストーカーも追いかけては来ないだろう。かなり距離があるが、彼女にとっては朝飯前である。
「…さて」
考えなければならないことは多い。まず自分は何と名乗るか。前世の名前はあの『シャネル』の体を使う小娘の手前使えない。
今世の体の名前は大陸ごと違うとはいえ同じ世界だし使うと面倒。新しい名前が必要だ。
「うーん…シャルリーヌ。うん、わたくし、平民の孤児のシャルリーヌですわ」
一応見た目も魔法で変えることにする。偽装や目眩しではなく、ガチガチの人体改造魔法で髪や目の色だけ変えておく。顔立ちはそのままにしておいた。元々可愛いし。スタイルもいいのでそのままで。
服装などは、平民の孤児の設定には向くのでぼろぼろのままにしておく。
取り敢えず色も変えたところで近くの村に入る。この辺は亡くなった田舎のお祖父様の家の近くだから、まあ、道はわかる。
「あ、ノアだ」
彼女は偶然幼馴染を見つけた。しかし今はもう話しかけられないと、掛けようとした声を飲み込む。
「随分とイケメンに育ったのね」
小さな頃の初恋が胸を燻る。
「…成長した彼を見られただけで、転生した甲斐があるわ」
切ない気持ちになって、胸が苦しいけれど。
「ということで、我が家に泊まることになった村の救世主のシャルリーヌちゃんよ!」
彼女はあの後、村で自分の魔力を売りに何でも屋として働かせてくれと願い出た。
村人達はそんな彼女に半信半疑でアレコレと頼み、彼女は規格外の魔力を使い全部叶えた。結果的に村の救世主とまで持ち上げられて、なんとノアの家に住まわせてもらうことになった。
ちなみにお代は初回価格ということでお安くしてあげたのだが依頼数が多くそれなりの収入になった。
「よろしくお願いします」
新しい身体の記憶の追体験から、自然と出た言葉。あの追体験にも、彼女にとっては意味があったらしい。
「シャルリーヌね。僕はノア。よろしくね」
「わたくしはシャルでいいわ。ノアと会えて嬉しいわ」
微笑むと、なぜかノアは止まった。そして。
「母さん、悪いけどこの子ちょっと借りるね」
「え」
「あらまあ、うふふ」
ノアは外に彼女を引っ張っていった。
「あの、ノア…?」
「君、こんなところにいたの!?ずっと心配してたんだよ!?」
「え」
「君が急に反省しだしたって聞いて!会いにいったら聖女様みたいになってて!もう僕の知ってる君はどこにも居ないのかなって、なんでみんな別人になってるのに気付かないんだろうって!でもよかった、やっと見つけた…」
「ノア、貴方わたくしが乗っ取られたのに気付いてたんですの!?今のわたくしにも気付けるんですの!?」
彼女はあまりの嬉しさにニヤニヤする。
「当たり前だよバカ!何年片想いしてると思ってるの!」
「バカは貴方ですわ!わたくしも貴方に片想いしてましたのよ!両片想いですわ!」
「ばっ…か!言いなよ!攫ってあげたのに!」
「今から両想いになってご両親にも公認していただくからいいんですわ!」
「…え?…そっか。そうだよね!今の君平民だもんね!」
二人が家に戻ってすぐにノアの両親に結婚の了承を得ようと説得し始めたところまで見て、神は微笑んで覗きをやめた。
シャネルの身体をもらったあの子も上手くやっているし、そんな新しいシャネルに喧嘩を売ってる平民の少女は…順調に破滅の道を辿っている。
きっと僕の世界に魂を押し付けてくるあの神もモニター越しに愉しんでいるのだろうと嗤いながら、次の魂が来るまで少し休むことにした。
「おかしくありませんわよ、別に。わたくしの家族も含めて、貴族なんて結局相手のうわべしか見てませんもの」
彼女は目の前の神とやらに悪態をつく。
「それよりも聞きたいことがあるのですけれど」
「なに?」
「…なんでわたくしの了承もなくわたくしの身体をあんな小娘に差し上げてますの!?」
彼女、シャネルがブチ切れるのも仕方がない。彼女の目の前の神とやらはやらかしていた。ただ、これが最初ではなく何回もやらかしていたので大体の会話の流れの持って行き方は心得ている。
「ごめんね、不甲斐ない神で。あの子の世界の神様との約束があって。聖女級の魂が不慮の事故や事件や自殺で寿命を迎えられなかったら、こっちの世界の悪い子の身体を貸してでも受け入れてあげて欲しいって。神にも上下関係があってさ」
「…その悪い子がわたくしですの?」
シャネルの機嫌がまた悪くなるが、神は無視。
「その代わり、君にもチャンスはあるんだ」
「…ふむ?」
「転生する瞬間、なんらかの理由で命を落とした人への転生。ある程度の条件は絞ってくれて良いから、僕はそれに従って君をその身体を借りる形で転生させる。記憶はそのままだよ。転生した身体の記憶も転生する時追体験できるから、その人の技術や知識も吸収できるね。それに君が生きているこの時代に転生できる」
シャネルはそれを聞いて、少しだけ気を持ち直した。
「条件はどうする?」
「そうですわね…歳はわたくしと近くて、美しい女性がいいですわ」
「…わかった、じゃあいってらっしゃい!」
「え、待ってまだ条件が…」
「問答無用!」
問答無用で神に送られたシャネル。彼女は失意の内に死んだ女性の記憶を追体験した。目を覚ますと、すぐさまその場を離れる。
「…控えめに言って、最悪でしたわ」
その女性が、ストーカーに襲われて殺されたのを知ったシャネルはストーカーが戻ってこないかドキドキしながら身を隠す。
「記憶の通りなら、この身体は魔力のないはずですけれど。わたくし、魔力は国一番でしたのよね。合体した今のわたくしは?」
魔力をそっと出してみる。結果前世と同じ魔力を出せた。
「…ふむ。わたくし、神様が割と憎めませんわ」
ということで転移魔法で『シャネル』のいた国に転移した。その国は今いるこの国とは大陸ごと違うので、あちらに移ればストーカーも追いかけては来ないだろう。かなり距離があるが、彼女にとっては朝飯前である。
「…さて」
考えなければならないことは多い。まず自分は何と名乗るか。前世の名前はあの『シャネル』の体を使う小娘の手前使えない。
今世の体の名前は大陸ごと違うとはいえ同じ世界だし使うと面倒。新しい名前が必要だ。
「うーん…シャルリーヌ。うん、わたくし、平民の孤児のシャルリーヌですわ」
一応見た目も魔法で変えることにする。偽装や目眩しではなく、ガチガチの人体改造魔法で髪や目の色だけ変えておく。顔立ちはそのままにしておいた。元々可愛いし。スタイルもいいのでそのままで。
服装などは、平民の孤児の設定には向くのでぼろぼろのままにしておく。
取り敢えず色も変えたところで近くの村に入る。この辺は亡くなった田舎のお祖父様の家の近くだから、まあ、道はわかる。
「あ、ノアだ」
彼女は偶然幼馴染を見つけた。しかし今はもう話しかけられないと、掛けようとした声を飲み込む。
「随分とイケメンに育ったのね」
小さな頃の初恋が胸を燻る。
「…成長した彼を見られただけで、転生した甲斐があるわ」
切ない気持ちになって、胸が苦しいけれど。
「ということで、我が家に泊まることになった村の救世主のシャルリーヌちゃんよ!」
彼女はあの後、村で自分の魔力を売りに何でも屋として働かせてくれと願い出た。
村人達はそんな彼女に半信半疑でアレコレと頼み、彼女は規格外の魔力を使い全部叶えた。結果的に村の救世主とまで持ち上げられて、なんとノアの家に住まわせてもらうことになった。
ちなみにお代は初回価格ということでお安くしてあげたのだが依頼数が多くそれなりの収入になった。
「よろしくお願いします」
新しい身体の記憶の追体験から、自然と出た言葉。あの追体験にも、彼女にとっては意味があったらしい。
「シャルリーヌね。僕はノア。よろしくね」
「わたくしはシャルでいいわ。ノアと会えて嬉しいわ」
微笑むと、なぜかノアは止まった。そして。
「母さん、悪いけどこの子ちょっと借りるね」
「え」
「あらまあ、うふふ」
ノアは外に彼女を引っ張っていった。
「あの、ノア…?」
「君、こんなところにいたの!?ずっと心配してたんだよ!?」
「え」
「君が急に反省しだしたって聞いて!会いにいったら聖女様みたいになってて!もう僕の知ってる君はどこにも居ないのかなって、なんでみんな別人になってるのに気付かないんだろうって!でもよかった、やっと見つけた…」
「ノア、貴方わたくしが乗っ取られたのに気付いてたんですの!?今のわたくしにも気付けるんですの!?」
彼女はあまりの嬉しさにニヤニヤする。
「当たり前だよバカ!何年片想いしてると思ってるの!」
「バカは貴方ですわ!わたくしも貴方に片想いしてましたのよ!両片想いですわ!」
「ばっ…か!言いなよ!攫ってあげたのに!」
「今から両想いになってご両親にも公認していただくからいいんですわ!」
「…え?…そっか。そうだよね!今の君平民だもんね!」
二人が家に戻ってすぐにノアの両親に結婚の了承を得ようと説得し始めたところまで見て、神は微笑んで覗きをやめた。
シャネルの身体をもらったあの子も上手くやっているし、そんな新しいシャネルに喧嘩を売ってる平民の少女は…順調に破滅の道を辿っている。
きっと僕の世界に魂を押し付けてくるあの神もモニター越しに愉しんでいるのだろうと嗤いながら、次の魂が来るまで少し休むことにした。
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