ちょっと歪んだ性格の公爵様が子供を拾った結果

下菊みこと

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ここでの生活は楽だけれど、この人が理解できないの

クリオに拾われてしばらくが経った。

美味しいものをたくさん食べられて、私は段々と肉付きが良くなって今は標準体型になったと思う。

背中の火傷の跡もだいぶ治ってきた。高い貴重な薬だけあるわね。

痛んでいた髪やボロボロだった爪も綺麗になった。肌の調子もいい。

そんな私に対して、クリオは満足そうに笑う。

「お嬢様」

「ピエタ、どうしたの」

ぼーっとしていた私に、私の専属侍女が話しかけてくる。

ここでの私の立ち位置はよくわからない。

養子にされたわけでも貴族籍に入れてもらえたわけでもない。

けれど庇護され、お嬢様と言われて侍女まで付けられている。

かといって特別何か教育を受けることもなく、クリオが執務で忙しい間は私はぼーっとして過ごすしかない。

「いえ、ぼーっとしていらしたのでなにかお悩みなのかと」

「…」

普段は本を読むくらいの暇つぶしはする。読み方はピエタから習った。

ピエタは教えてもらったらすぐに読み書き算数を覚えた私に驚いていたが、地頭がいいと言われても教育を受けるつもりもないのでどうでもいい。

けれど今日はそんな気分ではなかった。

理由は一つ。

ここでの生活は楽だけれど、いつまでもクリオが理解できないからだ。

「…ここでの生活は楽だけれど、いつまでもクリオが理解できないの」

私がそう言えば、ピエタは微笑む。

「ご主人様は変わった方ですから」

「そうね」

「ですが、お嬢様を大切にされていることは間違いありません」

「そうね、私はそれが理解できないの」

クリオが度を超えた善人だから、というよりもはや狂人レベルで己以外の人々を憐れんでいるから。

それはわかるのだけど、どうしても私が大切にされているこの状況がわからない。

というより、受け入れられない。

「もしどうしてもご主人様の考えがわからなくて不安なら、お勉強をして過ごして忘れてしまいましょう!」

そう言ってピエタは、いつの間に持ってきていたのか魔術書を渡してきた。

「お嬢様は一度教わったことはすんなりと己の知識に変えてしまう天才です!お勉強しないなんてもったいないです!」

「…わかったわ」

たしかに、時間を無為に過ごすこともない。

勉強をして暇つぶしをすれば、不安になることもない。

魔術書を読んだからってすぐに魔術が使えるわけではないだろうけれど、魔術を練習をする時間も暇つぶしにはなるだろう。

「魔術を私が学ぶなんてね」

魔術の触媒にされることが多いアルビノ。

けれど、自らが魔術を使えるようになるとかなり力ある魔術師になれるらしい。

そんな機会はそうそうないのだけど、せっかくの機会だし頑張ってみるのもいいかもしれない。
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