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生まれて初めて、本当に美しいと思えるものを見たわ
「フォル、今日は少しお出かけしようか」
「あら、珍しい。どうしたの?」
「フォルに見せたいものがあるんだよ」
そう言ってクリオは私を連れ出して、馬車に乗せる。馬車の窓から見える景色に、少しだけ心が踊った。
家にいた頃は外になんて出してもらえず暴力を振るわれたし、クリオに拾われてからはわざわざ外に出る必要もなかったから。
外というのは、最高に興味をそそられる。
けれどアルビノの私にとっては外は危険地帯。魔術師に見つかったら怖い思いをするのは分かりきっている。
でも、だからこそわからない。そんな危険を冒してまで私に見せたいものってなんだろう。
「わあ…!」
しばらくすると、花畑についた。
窓の外の景色に思わず声が出てしまう。
馬車はそこで止まって、クリオは私を馬車から降ろした。
「綺麗な景色だろう?」
「ええ。生まれて初めて、本当に美しいと思えるものを見たわ」
「そうか、それは良かった」
「お花畑って、こんな感じなのね。青空から日の光が優しく差し込んで、キラキラ輝く白い花が風に揺られて綺麗だわ」
「この花は天の雫という、我が領でしか栽培されていない特別な花なんだ。他領で育ててもうまく咲かないらしくてね。希少で美しいから高値で売れるし、採取する直前のこの時期はこうして観光地としても使われるよ。この花は花の中でも特別に長く花が咲き続けるから、採取は少ししてからだね」
クリオの説明になるほどと頷く。
こんなに美しくて希少なものを見せてくれることに、心から感謝する。
「クリオ、そんなに希少なものを見せてくれてありがとう」
「いいんだよ。ほら、せっかくの花畑だ。好きにしていいんだよ」
「うん…!」
私は花畑に近寄って、匂いを嗅いだり花をよく観察したりする。
白い花は日の光を反射してキラキラしていた。香りは甘い香りの中に爽やかさもあって、ずっと嗅いでいられるほど芳しい。
さすがに、この後採取するなら勝手にとってはいけないと思うのでこの間習得した魔術を使う。
構築魔術。魔力を使ってイメージしたものを作り出す魔術。この魔術はたくさん魔力を消費するから使い勝手が悪いというか、コスパを考えると使う人も少ないらしい。そもそも魔力不足で使えない人が大半。
けれど私はアルビノ、魔力はたくさんあるしそもそも自分が触媒になるので全然苦労なく使える。
「…よし」
「おや、構築魔術だ。天の雫のレプリカかい?」
「ええ、見た目と香りをそのまま写した造花よ」
「すごい技術だね。さすがはフォル」
頭を撫でて褒められる。
なんとなく、心の奥の深い部分がじんわり温まるような気持ちになった。
「あら、珍しい。どうしたの?」
「フォルに見せたいものがあるんだよ」
そう言ってクリオは私を連れ出して、馬車に乗せる。馬車の窓から見える景色に、少しだけ心が踊った。
家にいた頃は外になんて出してもらえず暴力を振るわれたし、クリオに拾われてからはわざわざ外に出る必要もなかったから。
外というのは、最高に興味をそそられる。
けれどアルビノの私にとっては外は危険地帯。魔術師に見つかったら怖い思いをするのは分かりきっている。
でも、だからこそわからない。そんな危険を冒してまで私に見せたいものってなんだろう。
「わあ…!」
しばらくすると、花畑についた。
窓の外の景色に思わず声が出てしまう。
馬車はそこで止まって、クリオは私を馬車から降ろした。
「綺麗な景色だろう?」
「ええ。生まれて初めて、本当に美しいと思えるものを見たわ」
「そうか、それは良かった」
「お花畑って、こんな感じなのね。青空から日の光が優しく差し込んで、キラキラ輝く白い花が風に揺られて綺麗だわ」
「この花は天の雫という、我が領でしか栽培されていない特別な花なんだ。他領で育ててもうまく咲かないらしくてね。希少で美しいから高値で売れるし、採取する直前のこの時期はこうして観光地としても使われるよ。この花は花の中でも特別に長く花が咲き続けるから、採取は少ししてからだね」
クリオの説明になるほどと頷く。
こんなに美しくて希少なものを見せてくれることに、心から感謝する。
「クリオ、そんなに希少なものを見せてくれてありがとう」
「いいんだよ。ほら、せっかくの花畑だ。好きにしていいんだよ」
「うん…!」
私は花畑に近寄って、匂いを嗅いだり花をよく観察したりする。
白い花は日の光を反射してキラキラしていた。香りは甘い香りの中に爽やかさもあって、ずっと嗅いでいられるほど芳しい。
さすがに、この後採取するなら勝手にとってはいけないと思うのでこの間習得した魔術を使う。
構築魔術。魔力を使ってイメージしたものを作り出す魔術。この魔術はたくさん魔力を消費するから使い勝手が悪いというか、コスパを考えると使う人も少ないらしい。そもそも魔力不足で使えない人が大半。
けれど私はアルビノ、魔力はたくさんあるしそもそも自分が触媒になるので全然苦労なく使える。
「…よし」
「おや、構築魔術だ。天の雫のレプリカかい?」
「ええ、見た目と香りをそのまま写した造花よ」
「すごい技術だね。さすがはフォル」
頭を撫でて褒められる。
なんとなく、心の奥の深い部分がじんわり温まるような気持ちになった。
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