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日常
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「おはようございます、院長先生」
花壇に水やりをしている老夫に朝一番の大きな声で挨拶をする
たっぷりと水分を受けた花たちは陽の光を浴びていきいきと輝いていた
いつも見る風景
代わり映えのない毎日
そしてそれが何よりの幸福
もうすっかり白に変わりつつある老夫の髪が穏やかな風に揺らされている
うっすらとあいた瞳で声の主に微笑みを返すとゆったりとした動作で歩き出す
「おはよう、ハル。今日もかわりないかい?」
柔らかな声と老夫の落ち着いた空気に毎朝心癒される
「ええ、今日も元気よ院長先生」
街の中心で朝を告げる鐘が鳴ると、
その音につられて建物から少女よりも幾分か小さな子どもたちが眠たそうな目をこすりながら現れた
「あ、ハルちゃんだ」
「わぁ、今日も来てくれたのね」
「おはよう」
「おはよう」
小さな子らに囲まれて彼らの視線に合わせるように腰をかがめる
「おはよう、皆。今日はどんな夢を見たのかな?」
彼らの純真な瞳に見つめられ愛おしく頬をゆるめる
彼らと毎朝こうして昨晩見た夢について語り合うのはもう何ヶ月も前から日課となっていた
身寄りのない子どもたちをこの園で保護している院長先生を心の底から尊敬している
数カ月前までは少女もこの場所で寝食をともにしていた
ここから出てもなお暖かく受け入れてくれるこの場所が、今の少女にとってこの上ない幸福だった
幼いころに親を亡くした少女は食べるものも雨を凌ぐ場所もなく、このまま消えてしまうんじゃないかと思っていた
そんな少女を見つけ、園に保護してくれた院長先生に返しても返しきれないほどの恩がある
一人暮らしを始めてもこの園のお手伝いとして院長先生がお給料をくれる
いつまでも少女のことを気にかけてくれる
そんな毎日に少女は心から満足していた
夜も更け皆が床に入り寝静まると、少女は本日の役目を終え静かに息を吐く
今日も平和で代わり映えのない一日だった
その嬉しさを噛み締めながら院長先生に見送られ自分の家へと帰る
また明日も今日のように平和でありますようにと、澄んだ星空に願いを込めて
花壇に水やりをしている老夫に朝一番の大きな声で挨拶をする
たっぷりと水分を受けた花たちは陽の光を浴びていきいきと輝いていた
いつも見る風景
代わり映えのない毎日
そしてそれが何よりの幸福
もうすっかり白に変わりつつある老夫の髪が穏やかな風に揺らされている
うっすらとあいた瞳で声の主に微笑みを返すとゆったりとした動作で歩き出す
「おはよう、ハル。今日もかわりないかい?」
柔らかな声と老夫の落ち着いた空気に毎朝心癒される
「ええ、今日も元気よ院長先生」
街の中心で朝を告げる鐘が鳴ると、
その音につられて建物から少女よりも幾分か小さな子どもたちが眠たそうな目をこすりながら現れた
「あ、ハルちゃんだ」
「わぁ、今日も来てくれたのね」
「おはよう」
「おはよう」
小さな子らに囲まれて彼らの視線に合わせるように腰をかがめる
「おはよう、皆。今日はどんな夢を見たのかな?」
彼らの純真な瞳に見つめられ愛おしく頬をゆるめる
彼らと毎朝こうして昨晩見た夢について語り合うのはもう何ヶ月も前から日課となっていた
身寄りのない子どもたちをこの園で保護している院長先生を心の底から尊敬している
数カ月前までは少女もこの場所で寝食をともにしていた
ここから出てもなお暖かく受け入れてくれるこの場所が、今の少女にとってこの上ない幸福だった
幼いころに親を亡くした少女は食べるものも雨を凌ぐ場所もなく、このまま消えてしまうんじゃないかと思っていた
そんな少女を見つけ、園に保護してくれた院長先生に返しても返しきれないほどの恩がある
一人暮らしを始めてもこの園のお手伝いとして院長先生がお給料をくれる
いつまでも少女のことを気にかけてくれる
そんな毎日に少女は心から満足していた
夜も更け皆が床に入り寝静まると、少女は本日の役目を終え静かに息を吐く
今日も平和で代わり映えのない一日だった
その嬉しさを噛み締めながら院長先生に見送られ自分の家へと帰る
また明日も今日のように平和でありますようにと、澄んだ星空に願いを込めて
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