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「じゃあな、剣聖さん」
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「何度言ったら理解できるの?」
「あなたじゃもう隣には並べないわよ」
「…うわ」
「嫌な夢見たな。というか別に今も現実か。」
小さい頃、子供ながらに幼馴染のリディアとの力の差、剣聖の力を感じたあの日。あの日からずっと最悪ままだ。
時間は朝5時。ベッドを降りて水を1杯飲む。その後朝食の支度をする。朝はパン、少なめの卵サラダ、飲み物は暖かいミルク、量は少なめ。ひとつでも間違えたら怒られる。
作り終わったらリディアを起こしに行く。
「…朝だよ」
「zzz」
こういう時ほんとに困る。無理やり起こせば不機嫌だし、起こさなきゃそれはそれで怒る。
避けようのない不機嫌が確定したところで目の前で寝ている銀髪の絶世の美少女を揺する。
「んっ」
「はぁ…朝か、てか触んないでよ。声掛けたら起きるって」
想定内の理不尽を飲み込み、
「ごめんなさい」
反抗したらどうせまたグチグチと言われるだけだからこの言葉に留め、テーブルに向かう。
「…なんで私の向かい座ってんのよ」
はぁ…別にどこ座っても良くないか?と思いつつ
「すみません」
適当な謝罪を吐き捨て自室で食事を取る。食事を取り終わったら食器を洗って、シーツの洗濯、自分の部屋とリディアの部屋の掃除、そして…
「ねぇ」
「…はい」
「街に買い物行くから荷物持ちに来なさい」
「まだ家事が終わって…」
「そんなの後でいいから」
「…分かりました」
有無を言わさず自分の意思だけを突き通す。そうだこんな人間だったな。
リディアの逆鱗に触れないように急いで着替える。なるべく目立たない色、格好にしないとあの女にまた怒られる。邪魔になるほど伸びた前髪も下ろさないと…
「お待たせしました。」
「本当に長いこと待ったわ」
「すいません」
えらく高そうな装飾が施された馬車に乗り込み街へと駆け出す。
座る位置は向かい側。狭い馬車ではしょうがないとはいえ朝のことを思い出すな。
「暇ね。何か喋って頂戴」
えぐい無茶振りが飛んできた。こういう時はどうでもいいであろう自分の話ではなく、有益な事…最近の来客の話でもするか。
「最近家に来られたユウナ様がまた機会を伺って訪問したいと仰ってました。次は」
「どうでもいいわそんな話」
「すみません…」
「はぁ」
地獄のような雰囲気のまま馬車に揺られ小一時間。
王都ベルドに到着。少し田舎の家とは雰囲気が違い、屋台や道化など様々なもので賑わっている。
普段、あまり王都には来ないので自分には少し眩しい。
「お目当ての品は~♪」
上機嫌なリディアに着いていく。前髪が邪魔してあまり見えない。
「え!?」
思わず声が出た。それは世間から見れば何の変哲もない日常の1部なのだろう。しかし自分にはあまりにも大きかった。
それは奴隷商だった。別に奴隷が存在するというのは本で読んで知っていた。しかし目の前の奴隷は隷属の証である首輪を付けている。その姿を見た時にこう思ってしまった。
俺はなんなんだ?リディアの奴隷のような存在が「当たり前」になっていた自分に問いかける。
馬鹿みたいじゃないか。なんの理由もなくリディアに従い、怒りの衝動の矛先を一手に引き受け続けた俺。
俺の首にはクソッタレな輪っかなんて無い。あるのは昔植え付けられただけの「自分はリディアの奴隷であるという」認識だけ。そんな物…
「もう終わりだ」
恐らくリディアも後ろを見ていなかったんだろう。なんの考えもなく裏路地に走り出したにも関わらず追ってこない。
「はは…」
「こんなにも簡単なのかよ」
この世に生まれて17年。最も高い壁だと思っていたリディアの支配からの脱走の決め手は決意だったらしい。
「はははっ」
俺には行き過ぎたものだと思っていた「自由」を手にした反動か、笑いが止まらない。
俺は歩みを進める、より街の奥へ。これで…これで本当に…
「じゃあな、剣聖さん」
--------------------------------------------------------------------------------------
リディア・シューハ lv17
ジョブ:【剣聖】
戦闘スキル【剣術7】
体力:130/130
筋力:115
防御力:95
魔力:25
魔法防御力:75
素早さ:85
運:65
装備:特筆無し
アレク lv17
ジョブ:【無し】
戦闘スキル【剣術6】
体力:110/110
筋力:85
防御力:75
魔力:115
魔法防御力:75
素早さ:95
運:75
装備:特筆無し
--------------------------------------------------------------------------------------
リディア・シューハ
アレクの幼馴染。成人の義を待たず天啓としてジョブ【剣聖】を授かった。【剣聖】は100年に1人しかおらず貴重なので早くから貴族となっている。
【剣聖】のせいで周りと実力があわず、周りに馴染めなかった。唯一着いてきたアレクに好意を抱き、監禁まがいの事をしている。しかし本人は合意の上だと思っており、なんなら同棲くらいだと思っている。
アレク
リディアの幼馴染。剣術の師範の元に生まれ剣を振るってきた。努力は才能に勝ると信じリディアに勝負を挑んだが破れ、それ以来リディアからの貴族としての命令に逆らえず数年後、監禁まがいの状況に抗った。
「あなたじゃもう隣には並べないわよ」
「…うわ」
「嫌な夢見たな。というか別に今も現実か。」
小さい頃、子供ながらに幼馴染のリディアとの力の差、剣聖の力を感じたあの日。あの日からずっと最悪ままだ。
時間は朝5時。ベッドを降りて水を1杯飲む。その後朝食の支度をする。朝はパン、少なめの卵サラダ、飲み物は暖かいミルク、量は少なめ。ひとつでも間違えたら怒られる。
作り終わったらリディアを起こしに行く。
「…朝だよ」
「zzz」
こういう時ほんとに困る。無理やり起こせば不機嫌だし、起こさなきゃそれはそれで怒る。
避けようのない不機嫌が確定したところで目の前で寝ている銀髪の絶世の美少女を揺する。
「んっ」
「はぁ…朝か、てか触んないでよ。声掛けたら起きるって」
想定内の理不尽を飲み込み、
「ごめんなさい」
反抗したらどうせまたグチグチと言われるだけだからこの言葉に留め、テーブルに向かう。
「…なんで私の向かい座ってんのよ」
はぁ…別にどこ座っても良くないか?と思いつつ
「すみません」
適当な謝罪を吐き捨て自室で食事を取る。食事を取り終わったら食器を洗って、シーツの洗濯、自分の部屋とリディアの部屋の掃除、そして…
「ねぇ」
「…はい」
「街に買い物行くから荷物持ちに来なさい」
「まだ家事が終わって…」
「そんなの後でいいから」
「…分かりました」
有無を言わさず自分の意思だけを突き通す。そうだこんな人間だったな。
リディアの逆鱗に触れないように急いで着替える。なるべく目立たない色、格好にしないとあの女にまた怒られる。邪魔になるほど伸びた前髪も下ろさないと…
「お待たせしました。」
「本当に長いこと待ったわ」
「すいません」
えらく高そうな装飾が施された馬車に乗り込み街へと駆け出す。
座る位置は向かい側。狭い馬車ではしょうがないとはいえ朝のことを思い出すな。
「暇ね。何か喋って頂戴」
えぐい無茶振りが飛んできた。こういう時はどうでもいいであろう自分の話ではなく、有益な事…最近の来客の話でもするか。
「最近家に来られたユウナ様がまた機会を伺って訪問したいと仰ってました。次は」
「どうでもいいわそんな話」
「すみません…」
「はぁ」
地獄のような雰囲気のまま馬車に揺られ小一時間。
王都ベルドに到着。少し田舎の家とは雰囲気が違い、屋台や道化など様々なもので賑わっている。
普段、あまり王都には来ないので自分には少し眩しい。
「お目当ての品は~♪」
上機嫌なリディアに着いていく。前髪が邪魔してあまり見えない。
「え!?」
思わず声が出た。それは世間から見れば何の変哲もない日常の1部なのだろう。しかし自分にはあまりにも大きかった。
それは奴隷商だった。別に奴隷が存在するというのは本で読んで知っていた。しかし目の前の奴隷は隷属の証である首輪を付けている。その姿を見た時にこう思ってしまった。
俺はなんなんだ?リディアの奴隷のような存在が「当たり前」になっていた自分に問いかける。
馬鹿みたいじゃないか。なんの理由もなくリディアに従い、怒りの衝動の矛先を一手に引き受け続けた俺。
俺の首にはクソッタレな輪っかなんて無い。あるのは昔植え付けられただけの「自分はリディアの奴隷であるという」認識だけ。そんな物…
「もう終わりだ」
恐らくリディアも後ろを見ていなかったんだろう。なんの考えもなく裏路地に走り出したにも関わらず追ってこない。
「はは…」
「こんなにも簡単なのかよ」
この世に生まれて17年。最も高い壁だと思っていたリディアの支配からの脱走の決め手は決意だったらしい。
「はははっ」
俺には行き過ぎたものだと思っていた「自由」を手にした反動か、笑いが止まらない。
俺は歩みを進める、より街の奥へ。これで…これで本当に…
「じゃあな、剣聖さん」
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リディア・シューハ lv17
ジョブ:【剣聖】
戦闘スキル【剣術7】
体力:130/130
筋力:115
防御力:95
魔力:25
魔法防御力:75
素早さ:85
運:65
装備:特筆無し
アレク lv17
ジョブ:【無し】
戦闘スキル【剣術6】
体力:110/110
筋力:85
防御力:75
魔力:115
魔法防御力:75
素早さ:95
運:75
装備:特筆無し
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リディア・シューハ
アレクの幼馴染。成人の義を待たず天啓としてジョブ【剣聖】を授かった。【剣聖】は100年に1人しかおらず貴重なので早くから貴族となっている。
【剣聖】のせいで周りと実力があわず、周りに馴染めなかった。唯一着いてきたアレクに好意を抱き、監禁まがいの事をしている。しかし本人は合意の上だと思っており、なんなら同棲くらいだと思っている。
アレク
リディアの幼馴染。剣術の師範の元に生まれ剣を振るってきた。努力は才能に勝ると信じリディアに勝負を挑んだが破れ、それ以来リディアからの貴族としての命令に逆らえず数年後、監禁まがいの状況に抗った。
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