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 車を走らせる、四駆を選んだ理由は舗装道路は、もう舗装されて
はいない(当然か)破壊された所も多々あるが主幹道路は異星人も
使用していたのだろう、意外と綺麗だ。

 しかし一般道はヒビ割れや、雑草が生い茂る、人が手入れしない
とこうなるんだ……と思い知らされる。

 そして悪路を行く訳だが、のほほんと走る事は危険極まり無い、
昭和ドラマでも、映画でもよく見る封鎖状態、待ち構え、食料等を
奪う輩に注意しての事だ。

 以前はバイクを使っていた、免許なぞ持ってはいないが、まぁ練
習すれば、すぐに覚える事ができた。なんせ初めはニュートラルが
真ん中なんて、思いもしなかったから大変だった。
で、いざ出発となればこの悪路、使い物にはならない、それでも田
舎の道は便利だったな、モトクロスバイクがあったとしても、あま
り使わないかな、ともかく悪路だ、お尻が爆発する……

 車は車で不便も多い、荷物は沢山積めるわ寝れるわ、雨は凌げる
わ、イザとなった時逃げる事も出来る、だが良い事ずくめって訳に
はいかないものなのだよ。

 まず目立つ、人にも異星人にも、音にも反応するゾンビは車の音
を聞きつけ集まる習性がある、目的地付近の途中で隠す、これが一
番安全だ。車のガラスには割れても大丈夫な様に強力接着剤で付け
た金物が牢屋の様に貼り付けてあるし、それは後方の窓も然りだ、
前は見にくいが鉄パイプを同じように取り付けてある。

 マッド○○○のようだ、あまりに怖いイメージが生存者に伝わる
と最初から怖い人も警戒し、武装もしてくる事から、ペンキで少し
可愛く絵が書いてある。

これも、考えてある。

 まずピンクは使わない、何故なら女と思い込み、結局は怖い奴ら
が現れるからだ、最早、文明と言う中で規律や法が崩壊するこの世
界の現状は人は知能を持った獣だね、理性を失うってのは恐ろしい、
どんな世界になろうとも人が人を見失い虐げ、奪い、破壊する、我
のみが良ければ世界の事なんかどうでも良くなる人があまりにも多
すぎる文明が人の心の裕福さを図る?僕にはわから無いな、人は人、
環境に左右される心はその世界に依存し人をカメレオンの様に心を
変えていく、その世界を見ている自分の目は世界は
常に変わろうが物質的に自分が変わる事はない。

 何が起ころうとも自分の映る景色や環境が変わろうが、その目に
映る自分の世界は自分しか見れないし感じる事が出来ない自分が作
っている物に他ならないからだ。

 他人の目から見た世界が同じ景色だとしても心で感じるその世界
は同じものなど一つも無い。

 環境で嘆くなら自分が変えれば良いだらけたいなら民家でただ何
もせず過ごせば良いどんな環境でも現代でもゾンビがいる世界でも
同じ姿勢で横になり同じダラダラ横になる事に周りの景色や状況が
自分だけの持つ世界を左右することなんて、動かない肉体の使うカ
ロリーにも変化なんぞありゃしないじゃん「同じじゃん……」呟い
てみる。

 という事で道路は出来るだけ使わない、故の四駆である、現地で
の行動はやはり徒歩か自転車に限る、ゾンビに追いかけられた時は
自転車はかなり有効だ、細い路地も何のその、対人の場合でも飛び
道具でもなければ走って追いつくにも困難だから、燃料も要らず、
日本は自転車が広く普及しているし手に入れるのも安易、鍵さえ開
けるコツを覚えればいいだけだ、綺麗に壊す必要はない、走ればい
いのだ、持ち主に感謝しつつ。

 と言いながら田舎から都会に出る主要道路を使い、外から見える
景色を眺めていた。世間は最早世紀末……だが足を漕ぐ度に変わり
ゆく緑の景色や空は何事もなかったかの様に……いや逆に本来ある
べき姿や変わらない空を僕の目に映し出して行く。

 頬に当たる風は心地いい……先の不安や、人や動物、異星人等に
囚われずありのままの自然を楽しむ心がありさえすれば心地いいも
のだ悲観した気持ちは常に心を支配し考えても答えの出ない恐怖や
不安は次第に本当になって行く考え尽くした先に答えはもう出ない、
後は閃きと運、イザって時、それに対応する体力や心の余裕が必要
なのだ。

 そうならない為にも人は癒しが必要、常に苦労と癒しは均等にっ
て事だね人の気持ちや環境はその人の考え次第で移り変わるものな
のだ……軽く音楽を聞きアガる音楽には速度を早く、ノレる曲には
蛇行しながら鼻歌まじりにそしていつもの様に、人口密度があまり
なさそうな地域へ到着した。

 車を農家の納屋に隠し、鍵を掛けず、何かあった時には直ぐに出
せる様に隠す盗られる時は鍵閉めても仕方ない、車にはかけるけど
ね、人がいそうなら鍵は基本つけたまま、リモートの場合も同じだ。

そして街中を探索する為に出発しようとしていた。

 この辺は長閑な風景、民家も相当数少なく田舎の言葉はピッタリ
な感じだった。民家と民家の間は視界に入る程度、所々に畑が広が
る農家の集落、聞き耳を立てると虫の鳴く声も聞こえてくる……ゾ
ンビの唸り声も少し混じっているけど……

 今の所、民間が破壊された形跡もなく人影も見え無い、無頼者の
被害は無いという事は地元の人は無事、大抵こういう集落は年配層
が多い事は想像にたやすい、比較的安全と言えるだろう、そして田
舎は公民館等で避難生活している場合も多いので人を求め地図を確
認「この道を左に行って……角に商店街」商店街は人影も無く、雑
草がシャッターを覆う位に荒れている店もあった、田舎の商店だ、
数は7つしかなかった。

(高田玩具店)

「おお!オモチャだ!」
 期待に胸躍らせ入った、シャッターは閉まっていたので、裏から
お邪魔しちゃう念の為、声を掛ける、なんせいきなり襲われたくな
い。

「お邪魔します~……」
返答は無し

 窓のガラスを持っているガラス切りでくり抜いて、出来るだけ静
かに中に入る、家屋の中でいつものゾンビ対策、ビリボ君に鈴をセ
ットしウロウロするも反応は無し。

 悪いけど靴は脱がず、靴裏の石を飛ばしてからお邪魔して行く、
どこか懐かしいビーズで出来た暖簾を潜り畳に足を着けた。

 電灯の紐を引っ張る、昔見た昭和のテレビそのもの寝転んだ状態
でもリモコンがなくても消せる紐部分が祝い事でもらったと思われ
るリボンを解いたカラフルな物を結び着け、畳に付きそうな位長い
……引っ張ってみるも予想通り電気は通っておらず、ただ何処か懐
かしいカチカチという音が和式の部屋に響き渡った……

 更に奥に行くと立派な仏壇があった。他の家も回ったが一家に一
つはあろうかと思う位置いてあった、時折来て線香を上げている後
があった、信心深い、指で埃の状態を確かめた。

 普段なかなか掃除しない棚の上からまず指でなぞる、そして次に
仏壇をなぞる指に着く埃から定期的に、そして週一位かと予測、と
なると人はバラバラで生活せずやはり公民館等で集団生活している
証拠だ。

静かに手を合わせる……

ぼうぼうに雑草が生えた庭に降り、小さな花を少し取り仏壇に供えた。
「少し何か頂いて行きます……」

表に回り込み、店内へーー
「ぬはっ、こここっコレは僕が以前から欲しかった玩具アイテム
【ドローン】を見つけた、カメラ付きだ!」

 田舎で荒らされなかったのだろう新品だ、ドローンの使い道は上
空からの偵察にはとても便利だ、地形から人影、ゾンビのいる場所
まで解る、勿論飛ばした事自体で、こちらに人がいる事を知らせて
しまう物でも有るが、使い方次第でかなり役立つ物なのだ、しかも
3体もある。

 持ち帰り用の大きいリュックにそれら数点を詰め込み、またゲー
ムができる場所でやろうとソフトを物色、それらに文明と平和だっ
た時代の香りが肌で匂う。

結構長い事、居てしまった、映画もチラホラあった、数点を手に取
った。田舎だから子供向けのばかりではあったが映像自体が見る事
が無くなった今ではコレもまた懐かしさに触れる物であったから。

「キャーっ!」
突然の叫び声が耳に飛び込んで来た。
「!」
 慌て、そして慎重に声のする方へと急ぐ視界に入った場所、其処
は公民館だった、そして5歳位の女の子がゾンビに追われていた。

 公民館から老人複数人がその様子にどうして良いかわからずオロ
オロしている様子も見えた、その内の1人がハクの姿を見つけ手を
ブンブン振りながら懸命に叫んだ。

公民館のおじいちゃん「そっ!其処の人!その子を……その子をた、
助けてやってくれ!私達では倒せ無いんじゃぁあ!」

 ゾンビの数は一体、頷いた僕はビリボ君を構え走り背後からゾン
ビの足にトンボ状の先で足を引っ掛け転かす、転げながらも少女に
向かい今だ近づこうとする姿に更に怯える少女だった。

 安堵感を与えようと勢いよくゾンビに跨がろうとするも腐りかけ
た皮膚がめくれて居て、少し気持ち悪い、いやかなりに訂正。

ハク「……」
静かに手拭いを出しそっとゾンビの背中に置いた僕は少年少女が大
好きな当時流行ったヒーローのポージングを決め、
「大丈夫、このビリボ君はとっても
とっても強おいのだ!もう大丈夫だ!お嬢さん」

だが彼女は安心する気配は微塵も無くハクはただ赤面しただけだっ
た。「言わなきゃよかった……」

 こうしてなんだかんだで少女を救ったハクは公民館へと招き入れ
られる事となった。


【今日のポイント】

溺れた人を助けると、同じく、要救助者は
錯乱状態にある事が前提だ。

背後に周り、安易に要救助者に近づくな
掴まれたりする危険があり2次災害を招く事
となる。
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