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静岡編
2人のゾンビ
しおりを挟むハクは先ず本屋に移動、本屋の中に、2体。
ハク「ゾンビって本屋には必ずいる気もするなぁ……本を読む訳で
も無いのに、この匂い落ち着くもんなぁ……まぁ人によりケリか」
(人間の生理機能と何か関連があるのか、もしくは落ち着く雰囲気
から何か関係があるのか?もしくは水分を失わない為に?)
まぁ其処は考えても仕方ない、背後から近づくと足をビリボ君に
引っ掛け、転ばすその音に反応し起き上がるゾンビ計三体。
「あちゃ……慣れは怖い、仲間と居た時のようには行かないから注
意を怠らない様にしないと」
【初心忘れるべからず】
反省する猿である。
一体を速かに退治退治、2体目は、もう血で汚したく無いので、
女性ゾンビである事もあり、ビリボ君で押し出す。
「ホイホイホーイ」
転かさない様に押す力を加減する様に、コツはコチラ向きに襲っ
てくる時にお腹を押す感じ、後ろ向きで移動させるので、慎重に慎
重に、そうこうしている間に本屋の列の隣に居たゾンビもコチラと
並行する様に歩くゾンビ、棚の隙間から顔を見ると、結構なイケメ
ンゾンビだった。
何気無く押す女性ゾンビの指を見ると指輪がイケメンゾンビを見
ると同じ様な指輪を見てしまった……
「……見てしまった」
複雑な顔をするハク
「……」
首を振り自分のホッペを叩き気合を入れる。
「だが、しかし、まぁ何と言うか、その……あの、えーと」
肩を落とし溜息を一つ……
女性ゾンビを転ばせ、隣の列のゾンビに駆け寄り、素早く転ばし
た、棚の本を素早散乱させたと思うと直ぐにそれを倒しゾンビを閉
じ込める、同じ要領でもう一体の女性ゾンビも閉じ込める、虫でや
った事がある人もいるのではないだろうか触れずに閉じ込め外に逃
す作戦をーー
「小さい店だけど耐震用の棚配置しとかないと危ないよ……」
なんて呟きながら、棚の上に本を置き重しにして、取り敢えず鍵
を閉め、外から見えない配置で本を物色する。
「静岡……静岡……と」
旅行ガイドマップを棚から発見嬉しそうに手に取り、少し立ち読
み、いや座り読み、いや隠れ座り読み。
「茶、みかん、苺、メロン……」
「……」
いきなり躓く、果物等、人間の手が無い現状で実がなる可能性は
極めて低い。
「お茶……か、可能性があるなら、これか」
「お肉……お肉食いたいなぁ」
「牛、自然放置されて生き延びて無いかな?しかし1人で食べ切れ
る物でも無いし、生き残りの集団がいた時の為にやめておこう」
勿体無い上に腐食がヤバイ、ゾンビも寄ってきそう……いやでも、
冷蔵庫か干し肉、でも塩とか……あんもー」
ブツクサ言いながら仕方なく諦めた、此処でも公民館等探せば人
は居て、ある程度生活に潤いが取り戻せてる可能性もあるが人とあ
まり出会いたく無い、リスクもかなり大きい、少ない食料を他人に
与える余裕も、あるかどうかも解らない現状で、安易な行動は出来
ない。
ターゲットはお茶!
店を出る前にゾンビ2体を紐で縛り、運搬用の台車に乗せて近く
の公園へーー
恐らく傷のない状態、そして痩せ細り方からして、あの異星人襲
撃を乗り切り、ゾンビに追われ、本屋に逃げ込んだのだろう。
年は20代と言うところか……
ーー情景ーー
太一(男)カナ(女)
太一「カナ!頑張れ!」
カナ「ハァハァ……もう歩けない」
太一「背中に乗れ!もうすぐ後ろにゾンビが来てるんだ!」
オンブし早歩きでゾンビから逃げる太一達、しかし、襲撃後のゾ
ンビは足が早くオンブ状態の彼等には振り切る事が出来なかった。
もう少し早く移動出来れば、近くの公園にまで行ければ、緊急避
難の放送があった自衛隊が待機し、無事逃れたはずだった。
『しかし現場はゾンビにグリマンの襲撃を受け自衛隊はおろか、生
存者0、ゾンビが大量に発生する地獄であった』
追われ商店街を走る、ゾンビ集団との距離は2メートル程、太一の
目にいつも立ち寄る本屋が見えた、店主は余程慌てたのか鍵もかけ
ず店舗は開戸であった。
太一「空いててくれ!」
カナ「もういいよ……太一だけでも逃げて」
太一「バカ!できる訳ないだろ!」
カナ「でも他の人は彼女らしき人を置いて行ったり、中には彼女を
犠牲にして走り去った人が殆どだったじゃない!」
災害、襲撃、それは同時に起きた、人を狂わせるには充分なイン
パクトを与えて刃物を持った通り魔、銃を乱射する海外の犯罪、更
には地震、洪水状態にホラー映画さながらの同時多発の状況に人は
人でなくなり、パニックが起きた。
我先に逃げる人々は邪魔な人を押し除け、その相手が転けようが
振り返りもしない本能のみで自分の身を守るのが精一杯だった。
離れ離れになった子供が泣いてようが、気に止める他人は居らず、
ひたすらに逃げ惑う、逃げる場所ですら検討のつかないと言うのに、
その場所で人の波は渦を巻く。
東へ逃げたものはゾンビを見てUターンし西へ、西にグリマンを
見て我先へと北へーー
中には人を救おうとする人も居た、しかしこうゆう状況に優しさ
は危険と隣り合わせだ論理的に考えると、優しさこそ命の危険を伴
う、しかし同時に人を救う事が出来る矛盾。
そして逃げる渦の中にいつの間にか『存在するゾンビ』
パニックは加速し、やがて暴動が起きる、AはBを疑いBはCを疑う、
不用意に近づけば命は無い、しかし人がひしめき合った状況でソレ
を判断するのは至難の技である。
すぐ隣にいる『かも』しれない存在に、人は人でなくなりやがて
力の弱い女性や子供が次々と犠牲になって行く、元々、生まれ持っ
た男としての力の強さは女性や子供に向けられる事もなく自分を守
る為のものとして暴力と言う名の力が横行、建前や倫理等無い、培
われた裏の顔を人は曝け出す、果たして何人もの人が人間で居られ
るというのだろう……
太一「他人はどうあれ僕は君を助ける!」
太一の第一の願いである本屋の鍵は空いていた。
太一「こっちだ!」
強引に彼女を中に押し込め急ぎ自分も本屋へと入る、ギリギリの
タイミングでゾンビの侵入を防ぐ事は出来た、ガラスがゾンビの体
重で押しつぶされそうだ急ぎ太一は側にあった粘着テープでドアの
窓を封鎖、割れたとしても簡単に侵入できない様に細工をした後、
近くの重しになりそうな物でドアを封鎖した。
カナ「怖い……」
声にならない様な声でカナが震えていた、太一もそれ以上何をして
いいか解らず、ただ右往左往とするばかり、深呼吸をし、呼吸を整
えカナの横に座ると頭を抱える様に2人は抱きしめ合いそして震えた。
太一(どうしよう……)
ゾンビの徘徊は3日経ってもおさまる事はなく、蠢く影は日中問
わず見えた、声に怯え影に怯え過ごす2人、特にカナは衰弱状態が
酷くなっていた、トイレは完備されて居らず垂れ流し状態、本屋の
角で用は足すものの、羞恥心から神経も使う。しかし外へ出る事も
出来なかった。
太一「……俺、食料と水、取ってくるよ」
カナが太一に飛びつく、
カナ「いや!いやいやいや!側にいて!」
太一「……」
錯乱状態のカナを見て悩んだ、このまま此処にいても、明らかな
人生の終わりは確定だ、しかし最早、病的なカナの精神状態を放っ
て行くのも心配であった。
無理もない、人の軽薄さ、異星人の映画しか想像しなかった現実、
ゾンビ、肉、血、全てが世界の終わりを告げていた、しかし彼女に
は太一がいる、太一と言う光にカナの精神は依存し、ギリギリの精
神を保てる唯一の存在。
意識はもう夢なのか現実なのかさえ半分解らないでいた、暗闇に
幻覚を見る、日は登っていても、本屋には電気も付かず窓から入る
僅かな光など気に止める余裕もなかった。
友達と遊んだ日々、楽しかった日々、ソレらを自らの意思で脳か
ら無理やり引き摺り出す様に、脳を思い出で掻き混ぜる。
自分の世界に閉じ籠るカナに飛び出していまうような突発的行動
に走りかねないカナを見て、太一はどうしたらいいか?
その問いに悩む、しかし、時間は刻々と過ぎて行く……
人は立ち止まり何もせずに居ても時間は待ってくれはしない……
刻々と2人の本来の寿命平均90歳を今、大きく削り、残された時間
は時にして2日が限界を迎えようとしていた。
【今日のポイント】
時間は待ってくれない、サバイバル状態と
なった時、効率や冷静な判断が出来ないと
なにも出来ない時間だけが過ぎて行く。
時間は緩やかにも急ぎ過ぎて行く様にも
感じるが『常に一定』しかない事を考える。
下手をすると水を確保するのに毎日かかり
食料調達も出来ずアウト、最初の水でも
アウト、更に寝床を増やす時間も費や
さねばならない、感染症や毒虫、はい
アウト、今までと違う環境に適応する
平和な時代だけだぞ!
時間が一定で無く感じるのは
by誠
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