世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう

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VS熊

決着③

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ハク「じゃ残党は臨機応変て事で、見張りによると
残り5匹だそうだし行きますか」

「クリスと誠、そして……御堂さん僕と共に戦って
くれますか?」

御堂父「その為に来ました」
父の迷う事のないその言葉に健の顔がほころぶ。
また奥さんも旦那さんに対して今までの彼と違う
面、いや元々惚れていた男の真っすぐな姿勢に
感心した、またその子供である健は2人の
関係を最も喜ぶ人物だったろう。

子供が幸せに思う一番の出来事は物を与えられる
ものでも無く甘やかされる事でもない
夫婦が仲良くする姿なのだから。

ハク「頼りにしてます、僕は車の運転苦手
だったりしてw」

健「お父さん頑張って!」

口では父を励ます健ではあったが不安は
拭えなかった。

「ハクさんお父さんの事よろしく
お願いします……」

ハク「まっ!なんていい子なんでしょ!大丈夫
任しといて!隠し球残してるからフフフ」

不気味な笑いをするハクの頭を誠が肘を乗せ
誠「コイツがこう言う笑いをした時は安心だぞ健」
(ホントいい奴だな本当は
行かせたくないだろうに……)

御堂母「あんた……ごめんね言い過ぎた」
御堂父「俺も今までわがままだった……すまん
お前も立派に健を守ってる現実を知った
俺は健が大事だと言いながらそれを利用し
自らのプライドを捨てきれなかった……
俺のプライドは……此処に」

そう言うと健と奥さんを見つめ言った。

「此処にあったのに……」

「2人の子だ、これからも2人で健を守ろう」

御堂母「……ごめん愛してる」
御堂父「おっ……俺もだ」
御堂父は照れ臭そうな顔をした。
健は2人に駆け寄り言った心からの言葉

健「僕もお父さんもお母さんも愛してる!」
御堂父「本当の気持ち言葉に出す事がこんなに
嬉しい事だったなんて……」

健を母が抱きしめそれを父が抱きしめる
そしてまた健も2人に手を伸ばし抱きしめようと
踏ん張る。

ハク「その手がいつか2人を包めるくらいに大きく
なり、また健の子がそれを引き継いでいくんだね」

皆が守り合う姿を他の者も見ていた。
そしてそれは伝染していく

沖高先生「……これが私が医者として人を
守りたいと思わせる原因だよ……」

誠「クッソ!泣けるわ……」

クリス「困難がより絆を深めるか終わるかは
正直さと心の在り方なんだな」

誠「またお前は難しい事を言う……」

クリス「……後でタイマンな」

誠「あははっ!よしやろうやろう!お前との喧嘩は
楽しいからな!」

クリスの顔も真っ赤になり逆に照れた。
「お前は普通に平気で恥ずかしい事を言うな……」

誠「真実に恥ずかしいとかあるのか?」

クリス「……いやもういい」
決してやめろとは言わない所がクリスらしい

誠「俺も新しい武器作ったんだぜ?見てくれよ」

それはバットに切り込みを入れ中にノコギリを
仕込んだ物だった。

ハク「エゲツない武器だね……」

誠「……安心しろ、きっとハクの隠し球の方が
エゲツないから」

ハク「……あぁそうですね、すいませんねぇ」

クリス(これが最後の戦いか……コイツらとも
もう少しでお別れか)
寂しげな表情を皆に見せない様クリスはバイクに
跨った。

クリス「誠いくぞ」
誠「ほいほい」

2人はエンジンをかける、そして誠がビルの
見張りに手を振り、見張りは熊の居る位置を指で
示した。

方向を指で刺し、次に距離を8本の指を立て示す。
クリス「800mね」

手を頬にキツく自らビンタをし気合いを入れる。

誠もまた同じ行動で気合いを入れた。
「よし!いくぜ!」
颯爽と走り去る彼等を見つめる健に声をかけるハク

「終わったら皆でゾンビ以外の熊で鍋しようね
照子さん達に話しといて、後はみんな保存して
豪華な冬を皆で越そうね」

健「肉なの!ねぇ肉なの!いっぱいお肉食べられる
やたー!」

御堂母「忙しくなるわね!健、お父さん達の為にも
美味しいご飯作らなきゃね、手伝ってもらうよ」

健「任しといて!コレからの男は料理も
出来ないとね!」
御堂母「まっ!この子ったら……でもソレ
有り難いわよ」

普段の生活が、当たり前だった毎日を予感させる
何気ない話が皆の談笑を誘った。

こうしてハクも出発するのであった。

集会所裏に行き御堂父に車を披露する。

ハク「ジャジャジャーン!」
子供の様な目で御堂父を見つめるワクワクしている
ハクにどう声を掛けていいか困惑する。

御堂父「車の一台使わなかったのは
コレの為ですか……」

ハク「えぇコレのためです!」

御堂「……色々考えますねぇ」

□誠・クリス□

誠「居たぞ……3匹だ」

クリス「だな……面倒だ2人のバイクの先の杭で
2匹同時に殺ろう、あの3匹目が赤い」

誠「そうだな……はぐれてたのは倒れてたからか
ゾンビに転移したって事か」

クリス「しかも全部ボスクラスの大きさだ、
あの出血量から言ってそう長くは持たないだろう、
ほっといても5時間位で動けなくなるだろうが」

誠「近いな」

クリス「あぁ……近い、
やはり此処で倒しておこう」

誠「なら3匹相手にマトモに勝負は出来ねぇ、
お前の言う通りさっさと2匹倒して1匹に的絞るぜ」

『ブォォォォォォオォォォォオオオオオオオン』
『ブォォォォォォオォォォォオオオオオオオン』

言うが早いか2人は同時に一気に攻めた
3匹並ぶ両端の2頭目がけ突進する。

不意を突かれた熊2匹は彼等のバイクを横腹
にマトモに喰らい吹き飛んだ。

当然2人も吹き飛ぶ。

誠「イテェ!」
「何度目だよ今日……クリス無事か?」

クリス「あぁ無事だ……しばらくバイクには
乗りたくねーな」

誠「……あぁその意見には同意するわ」
「さて残り1匹だ」

2人は立ち上がり再び熊を前後で囲む
先程と同じ前後の陣形を取る。

誠「NEWバットの威力、たらふく
喰らわしてやるぜ」

クリスもマチェットを二刀流で構える。

誠「行くぞ!クリス!」

クリス「了解」
激突する誠にクリスそしてゾンビ熊、転移したての
熊は動きが素早かった。

誠「おいおい!早いぞコイツ!」

クリス「気を抜くなよ!パワーありきのスピードだ
一撃でも喰らえばゲームオーバーだ!」

そして10分……経過

誠「ハァハァ……クソ芸がねぇな
まったく同じ状況じゃねぇか」

クリスが叫ぶ
「誠!背後にもう一頭いる!」

ラストと思い込んだ油断が招いた事態だった。
時に獲物を狙う動物は物陰に隠れて隙を伺う
隠密にかけては動物の本能に勝るものは無い
生きてきてすぐに過酷な生存競争の中で毎日
鍛えられた牙に爪……そしてしたたかさである。

誠「何っ!」

振り向くと既に仁王立ちになった熊が誠目掛け
鋭い爪を振り下ろそうとした瞬間だった。

誠「ヤベェ!避けれない!」

『ドゴォン‼︎』
その瞬間交通事故の様な凄じい衝撃音と風圧が
誠の髪を荒々しくなびかせ通り過ぎて行った。

風圧で身体がもっていかれそうになる誠
状況が解らず腕で防御する仕草から静かに目を
開けたその目に映ったのはハクと御堂父が乗る
ワゴンだった。

誠「おい……何だこりゃ」

『ブウォオオオ……』
車体の前に絡み付く様に熊が壁際に
一気に引きずる様に追い込まれて行く。

ヒョコッと助手席から呑気に手を降り回すハク
ハク「お待たせぇモグモグ……」

其処にあったのはバンを改造した車だった。

その車には後部ドアが外され車を覆う様に
四角い形状の丸太が取り付けてあった。

衝突は衝撃で車が壊れる、それを補う為に
四角い枠型に作られた骨組みを取り付け、それを
均等に固定するのにはゴムチューブがいくつも
張り巡らされていた。

□説明

ーーーーーーーーーーーーーー
I   ーーーーーーーーーーーーー I土台柱
I                         車本体     I    
I   ーーーーーーーーーーーーー I土台柱
ーーーーーーーーーーーーーー
外骨格

其処に外骨格が浮く様に車体内部、外部問わず
ゴムが張り巡らされていた。
天井から支えるゴム、車の下からも張り
巡らせたゴム

前方には足の付いた頑丈なテーブルを設置
其処に補強で足部分を熊がはみでない様に
増やす、サイズは圧迫する事を念頭に少し短く
土台柱と外骨格をゴムで繋ぐ
ミニカーを想像してもらうとわかりやすいかも
知れない。

形はホイールローダ系である前方にアームバケット
が付いている重機

衝撃はゴムが緩和させ車体本体の破壊を避ける。
時速にして50キロ位までは一度、2度の衝撃に
本体を傷付けず衝突する事が出来た。

ハク「なんせ時間がないから簡素だけど……本当は
ホイールローダみたいにしたかったんだけどなぁ」

少し寂しそうな顔をするハク、だがシッカリと
おにぎりは噛み締めていた。

御堂父「このまま押し込みますよ、さっき同様」

ハク「お願いしますモグモグ」

時速がそんなに出せず追突による衝撃で熊を
倒すまでには行かないが、この形状の真価は
此処からだった。

壁にまで押し込んだ熊をそのままアクセルを
ユックリと踏む、車体は瞬間衝撃には弱いが
車のアクセル操作により車体が徐々にバケット部へ
密着する……

これにより車のパワーが車体を壊さず熊に圧を
かけ続ける事がこの形状の真の目的だった。

車体前の板には押し込みの際逃げ難い様に無数の
杭が張り巡らされていた。

もがく熊も車には勝てず……やがて肺呼吸が
出来ず熊の動きは徐々に小さくなる
そして……呆気なく倒れた。

御堂父「良し、後はあの一頭で終わりです」

クリス、誠が布陣を変えず御堂父達の乗るワゴン車
に行かさない様に立ち回っていた。

誠「終わったみたいだな……また早いな」
「……俺達頑張ってるよな?」

クリス「……その筈だが」

誠「……あっちはすぐ終わったなぁ」

クリス「言うな……」

おにぎりを食べながら戦闘状況を呑気に見ている
ハクだった。


□□御堂父談□□

彼は色々考えますね……
あの車に私なら長方形の車の形だからソレを
屋根も使い様は上からハリボテの様にかぶせる
感じにしてゴムをレッカーの際使う部分や背後の
外骨格の部分に仕込むと衝突の際、衝撃はゴムが
引っ張られる感じで避けれるし、ハクさん同様
押し潰す事も可能だしそうしますかね。

ハク「うーんその方が簡単だったですね!
さすが土木関係者!」

誠「車3台余ってたなら網で二つの車使って
そうだな……『車網網網車』だろ?
で真ん中に入ったら2台の車を横付けする様に並行
に走れば網は萎む、絡み合った網は早々外れる事も
ないだろうしそのまま引き摺り回すのも
いいんじゃないか?」

ハク「上手くいけばそれもありだね!時間も
無かったし、機動力が損なわれにくい分試す価値は
あるね!」

クリス「要はあるものを生かし考えるか、それは
時間や人数によって変化するから……
あ、そうか……どれが正しいかじゃなくて
どうすれば道は開けるか考えろってことだな」

御堂父「そうですね……考えればもっと色々
ありましたね、あの時何故行動できなかったか」

「視野が狭い、文句しか言わない事は考えてる事に
ならない、其々が得意分野があるのに纏めようとか
大人だから女だからとか行き着く答えから自らの
意思で解決策を見失ってたんですね」

誠「……御堂さんまで難しい事を言い始めた」
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