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evil

会話

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ハク、誠、クリスは集会所を後に沖高先生の勧めも
あり滋賀へ足を運んでいた。

で……何故か一行の背後からずっと付いて来る
人物が1人、それは意外にも集会所で反対勢力派の
リーダー相葉だった。

しかもすこぶる不機嫌な顔で……片手に何に
使うのか解らないビデオを首からぶら下げていた。

クリス「おい何故お前が俺達の後をつけて来る?
それにお前には嫁と子供が居たはずだが」
警戒心を決して解こうとはしないクリスの冷たい
眼光が相葉を睨み付ける。

相葉「あん?俺の自由だろうが、
現実を知って挫けるお前達の姿をこのビデオに
撮って集会所での威厳を取り戻すしか俺に
あの集会所での居場所はないんだ
それもこれもお前らのせいだろうが!」
相変わらず口が悪い……

感心するかの様な顔で相葉をみる誠
誠「これが逆恨みと言うやつか……
おっさんも暇だなぁ」

相葉「暇だと?プライドかかってんだよ」

クリス「いいのか?このまま後を付いて来させて」

ハク「別にいいんじゃ無い?来るもの拒まず……
いや拒む時もあるけどw」

特に気に留める事もなく相葉に対し堂々と背中を
見せて歩く2人にやはり甘さを感じざるを得ない、

クリス「何を悠長な事を、コイツ野放しにしたら
寝首かかれるかも知れないんだぞ」

誠「俺はハクがいいなら別にだがな、それにクリス
お前が居るからな、俺も俺らしく
今後振る舞えるわ」

ハク「……誠らしくか、そいやさ、大人なったなぁ
って思った、集会所では」

誠「お前らが暴走するからだろうが、俺にはこう
バーと言って」

ハク「胸倉掴んで」

誠「そうそう……舐めてんじゃねーぞ!っておい!
いやまぁそうなんだケド……」

「臨機応変お前ら2人だと俺も立ち位置考えて
んだよっ!」

「でもまぁ……」
「クリスが居るからな俺も安心して自を出せるわ」

2人の能天気さに少し呆れ顔のクリスではあったが
相葉から目を離さない自分の気性から2人の安全は
確保出来る自信はあったクリスもハクの意思を
汲み取る事にした。

かつて自分がそうだった様に、あの時の自分を
客観視したい気持ち、ハクのあの時の気持ちが
知りたい事ももあったからだ。

4人は今晩の寝床を確保する為に森に入り
見つけたボロボロの空き家で一晩を過ごす事にした

ハク「はいどうぞ相葉さんも食べなよ」
手に持ったコーンビーフの缶詰の一つを差し出す。

ゾンビの世界でも静かな夜は訪れる……
3日かけて目的の町まではあと少しの所まで来た。

用心深いハクは目的の町に直ぐには入らず
辺りへの警戒に余念が無かった。

人口は多く50人程のコミュニティーが見える範囲
で2つ存在する。

だがハクは山の中腹辺りでその場から動こうとは
しなかった……

誠はいつもの事さと気にも留めずクリスもまた
ハクの行動に一切口出す事は無かった。
ただ相葉だけは口を開く度に愚痴をいっていた。

ーー夜ーー

ハク「様子が変だった、もう暫く様子を見よう」
その言葉に恐怖を感じ相葉も3人から時折り
離れての単独行動をやめ彼等の側から離れなかった

そのコミュニティの一つは異様な雰囲気が確かに
感じられ壁には血糊が辺りの壁一面に見え、
時折り見える武装した人間は妙な化粧をし、世紀末
に相応しい輩達であった。

そしてその中からはゾンビの声がしきりに聞こえた
つまり生きている人間との共存……
かつてクリス達が晴を襲った時の様にゾンビを飼育
している事は予想されたからだ。

もう一つのコミュニティの近くに更に接近する影も
確認したクリス、少数ながらもグリマン達であった

其処にも疑問は残る。
グリマン達は何故近くに存在するコミュニティを
襲わないのか、少数であっても言葉が通じない、
いや意思疎通を図ろうとしないグリマン達にとって
人間を襲いに来た筈の存在が何故行動にでないのか

憶測がハクの中で巡る……
ハクはその場での臨機応変さに長ける術で今まで
生き残って来た事もあるが、最大の長所は臆病さ
そして用心深さである、仲間がいる分余計に慎重に
なる彼であった。

ハクの憶測通りクリスはドラグノフライフルの
スコープでコミュニティの一つを監視していた、
用心深く外からは内状を悟られまいとする意思が
見える程の用心深い作りであった為、クリスも
日をかけて念入りに視界が良い場所を探す。

クリス「……此処なら何とか見えるな、しかし
用心深い、まるで野外コンサート会場並みだな。

彼が見たものは、予測通りゾンビ集団を飼う様に
設置してある物だった。
50体は軽くいるゾンビに定期的に鹿や
拐ってきたと思われる人間の処刑場としても
使用されている様であった。
だが眉間にシワを寄せ奥歯を噛み締める
クリスだった……その原因は
ゾンビ数体の姿であった。

其処に存在するゾンビ数体に施された武装
それは佐々木が行った武装ゾンビの姿を
進化させたようなものであった、
生きながらえる様に簡易な手術の中に武器を
仕込んだゾンビ……

元は人間に近いゾンビだ弱点である出血等の処置を
すれば生き長らえる事も可能だろう。

人が住む居住地は感染症を防ぐ為の隔壁で覆われ
一見外から見れば雑な作りと思われがちだが内部は
清潔に保たれていた。

動物の様に掃除の際はゾンビを肉で誘い別囲いに
誘導、清掃する人影も見る事が出来た。

クリス「動物園……人生を終えてまで兵器として
使うとは……外道め」

「しかし見た目と違いすぎる……この行き届いた
管理……まさか、いや此処は日本だ」

「だが……これは伝えた方が良さそうだな」

クリスは人間の処刑場にも使用されている事は
ハクと誠に伝える事は無かった。
知れば彼等は何とか救おうとするだろう……
だが装備も人も少ない今の現状では危険すぎる
誠に話せば直ぐにでも飛び込んで行くだろう……
そしてハクも後を追う、そして俺もハクと
誠が行くなら迷わず彼等と共に飛び込むだろう
それは終わりを意味する、それだけはさせる訳には
行かない……後で罵られようが俺は彼等の無事を
最優先する、そう決めたんだ、彼等の仲間になれた
あの日から……俺は彼等とは違う
だからこそ俺は俺のやり方で仲間を護りたい。

夜も更け午後9時を周り始めた頃薪を囲む4人

誠「ハク、お前記憶がまだ戻らないんだよな?
今から何があったか皆で話さねぇか?」

「知り合いが此処に居るなら尚更だ何か記憶が戻る
きっかけになるかも知れねぇ」

相葉「俺も聞きたい、この時代にどうやったら
そんな理想論がでるのか興味がある」

ハク「……」

クリス「……そうだな丁度良い俺も皆に話して
おきたい事がある」

誠「ほい決まりだなっと」
「じゃ先ずはクリスお前からだ」

そしてクリスの口からロシアでの話を聞く事になる
彼はここ日本に来る原因となった経緯の中で
ゾンビを作り出す組織の存在を明らかにした。

其れは恐らく国を挙げてのプロジェクトだと彼は
言う。

2020年日本でも未確認飛行物体に対する取り決め
の会議が行われ始めた、そしてそれは
アメリカもである。

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