世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう

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evil

クリス29 バイオ兵器③

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ドロア「西に迎えと言った筈じゃぞ!」

興奮するドロアの言葉にクリスは冷静に、
そして強く言葉を発した。

クリス「理解はしている、武器の事も
そして……お前の意図もな、シルブァが逝く寸前、
俺に詳細を語ってくれた」

ドロア「そうか知っていたか……
だが私の考えは変わら無い」

クリス「今それを使えばゾンビや試験体は愚か
此処にいる全員を殺す事になる、そうだな」

ドロア「……だが試験体を出すわけにも行かぬ、
目的はお前達の無事ではなく
その資料を外へ持ち出し他国への警鐘を
鳴らすのが目的だった、だがそれも絶望的だ、
こうなっては試験体を外に出さぬ事、
それが最も重要で且つ最優先なのだ!」

クリス「安心しろ、お前の目的は果たしてやる、
だがシルブァやボルド2人が背負った役割に心、
お前の望んだ結果、全て俺が纏めて果す!」

彼にも譲れないものがあった、故に彼は此処に
立っているのだから、その強い意思を感じる
ドロアもまた譲れぬ目的の為諭す様に語る。

ドロア「駄目だ……そのバイオ兵器とて奴に
勝てぬのだ、奴の素早さに再生能力は蜥蜴の尻尾
の様に体自体を再生する、クマムシやベニクラゲの
様に内臓を作り替える事すら可能なのだ……
外へ逃した時点で終わりなのが何故わからない、
隔壁のドアも最早、出口付近に居る奴への警戒から
決して開ける事は出来ぬのだ」

素早くクリスの目から己が姿を見失わせる様に
素早く移動を繰り返す影を見つめるクリス
ドロアの□言う事は理解していた、あまりにも早いその動きは
彼自身が戦うのでも反応出来るかわからない
更に彼の搭乗するゾンビの反応スピードは脳が体の
指令を出し動く誤差が人2人分遅れるからだ、
限界まで反応を早めても攻撃先の場所には
既に蜥蜴はいないだろう。

「パワー重視のその体では勝てぬのだ、現実をみろ
シルブァの様なスピード重視ならまだ勝つ可能性は
あった、パワーのみのソレでは多少怪我を
負わせた位で勝てる見込みは無いのだ、
それに知能が高い奴の事だ
それ相応に素早く対処してくるぞ」

通信越しでもドロアの焦りが垣間見える、
言葉の節々から聞こえるデスクを叩く音が鳴り響き
語る口調はドロア自身に決断を固める為に自分に
言い聞かせている様でもある。
彼の選択肢は完全封鎖への一択へと心が
傾いている事に気付いたクリスはその心を止める。

クリス「まぁ待て……俺に考えがある」

「武器が保管されている場所は当然それなりの強度
そしてその武器に対する保護隔壁で
覆ってあるんだろう」

ドロア「そうだ物が物だけにな」

クリス「そしてそれは今いる場所からすぐ下だ」

今いる場所はそれほど大きく無いドーム状の
場所だった、だがクリスが視線をやった場所は窓も
一切ない分、厚い壁が見えるだけだった。

ドロア「確かにその壁を壊せば武器庫までは落下
すれば直ぐだ、だがお前の搭乗するその肉体では
壊すことが出来る物ではないぞ」

会話するクリスに向かい猛然とゾンビの群れが
襲いかかる、だがその無尽蔵のパワーを誇る
バイオ兵器の一振りでゾンビ数体をまとめて
吹き飛ばした。

巨軀に無駄のない黒光りするような肉体、
一振りで周りに居るゾンビ達すら転倒や風圧で
まともに立ってはいられなかった、それ程の
力があったとしても蜥蜴の肉体はわらかく、
そして突起物が拳の当たる衝撃を直接ぶつける事が
出来ず肉体を守る役割もあった。

無闇に攻撃すれば搭乗型の拳だけを痛めつける
結果となる、意志のない操られるゾンビとて生きる
肉体である事には変わらない、大量出血は避けて
戦わなければならない。

ドロア「この馬鹿者め!」

選択に策があると言った言葉は彼に迷いを与える
普段なら科学的根拠の無い策に載ることなど決して
ない彼だがシルブァの想いもあった今のドロアには
その自身の決断で割り切れないものが
あったからこその怒号であり諦めだった。

「こうなって仕舞えば最早手立てはない……
お前の策にかけてやるわ、いいか、駄目だと
ワシが判断すれば最早結果は問わぬ、
その時は全ての隔壁を閉じ当初予定しておった
この施設の完全封鎖をする、いいな」

クリス「ははっ、ようやく話に乗ったか
了解だ、ゲームはクライマックスの方が難度が
高いのは常識なんだぜ!」

ドロア(勢いだけの若造め……無知故の無謀さと
愚かさを兼ね備えた愚者としか言いようが無い
シルブァお前が命と引き換えにして助けた若僧は
今破滅への道を選んだぞ)

(……だが)

クリス「よし、心が無いゾンビなんて俺は
お前の事は思わない、今俺と繋がっているお前は
俺でもある、俺の心が高ぶればお前の肉体もそれに
呼応する筈だ、なぁ兄弟?」

クリスは壁に取り付けてある配管に手をやると
力を込めた、コンクリートにヒビが入り
爆発する様な音をたてソレを引き抜いた、
先には不格好なコンクリート片が残り、あたかも
ハンマーの様な形状になり、それを武器にした、

クリス「先ずはお掃除だ!雑魚から片付けて行くぞ
後、ドロア!反応速度を上げたい、この肉体の痛み
俺の神経につなげる事は出来るか?」

ドロア「何を言うか!肉体の苦痛は反応速度を
下げる結果になる、痛みは本能で避けたくなる
そして迷い、恐怖は試験体に繋がり
それは機能を鈍らせる結果になるから痛覚にによる
神経は遮断してある」

クリスは右手に噛みつき離れないゾンビを高々と
挙げ言葉にした。

クリス「今こいつは俺だ、痛みは共有しなければ
一体化は出来無い、無論精神論かも知れ無いが
人は痛覚があるから即座の反応も早い!
それに痛みをコイツだけに背負わせる訳には
いかねぇ、俺と戦うゾンビ共だってそうだ、
生身には生身、いいから繋げやがれ!」

ドロア「馬鹿が全て科学に反論しよるわ……」

そしてドロアは神経系の制御板のスイッチをオフに
した、その瞬間噛みつかれていた右手の痛覚が
クリスの脳へとダイレクトに繋がった。

クリス「グッ……強烈に痛ぇな」
「だがこれで良い、お前だけ痛い思いさせて、
全力で戦うなんて事は出来ねぇからな!」

モニターで戦う姿を見ているドロアも彼の乗る
試験体の動きが明らかなる違いを見せられた。

ロンド「教授、見てくださいこの数値を……」
機械制御を担当する試験体がドロアを呼んだ
そのモニターを見たドロアもまた驚きを
隠せなかった。

ドロア「何だこの数値は……」
ロンド「はい、にわかには信じられませんが
パワーだけでなく反応速度が格段に上がりました」

ドロア「……奴に恐怖や迷いは無いのか」
ロンド「興奮によるエンドルフィンの
加減でしょうか……
しかし私にも生前に経験があります、自分よりも
大切な人の為や理念、信仰等を持つものは恐怖と
言う感情よりも勝る事があります」

ドロア「確かに、第一次や第二、ベトナムや
湾岸戦争に於いても味方兵を守る為に破裂型手榴弾
から自らの命をとして身を捧げ犠牲になった者も
かなり実在しておったな……痛みや恐怖をも超える
力か……全ての感情を廃棄すれば痛覚は確かに真逆
伝わる速度は早い、それを利用、そして廃棄出来る
想いの強さが迷いや恐怖を力に変えていると
でも言うのか」

豪快な振りに心地よい程にゾンビが
宙を舞いそれは重量の重い大型ゾンビであろうが
そのパワーの前では答えは同じである。

棒を握り動きを止めようと複数の知能がある
大型ゾンビだったがクリスの乗るバイオ兵器は
またもそれを軽々とバットの代わりにした配管事
豪快に振り回し吹き飛ばした。

「配管はそこらじゅうにあるぜ、どんどん行くぜ」

ラル「何だ!コイツ!いきなり出て来やがった!
新たなゾンビか!」

黒兵「……だが常に背中をこちらに向けている、
まるで我等を守っている様にも見えるが」

放送が彼等のいる場所へと繋がれドロアの声が
ドームに響き渡った。

ドロア「巨軀のゾンビは搭乗型試験体に
乗るクリスだ、彼の声はお前達には届かない、
だが彼は無事だ、この隙に体制を立て直せ」

黒兵「……マジか」

ラル「バケモンかあいつは……」

黒兵「生きてたのか!全くしつこい奴だぜ
しかしゾンビになったんじゃなくて
乗り込むとは……」

「隊長!これで何とかなりそうですね!」

流石のイルガも驚嘆の表情を浮かべていた、
だがそれは巨軀のゾンビに乗り込み現れた事でも
クリスが生きていた事でもなかった。

イルガ「何故、戻って来た……
しかも我等を助けに」

言葉が思わず口から漏れるも直ぐに次の行動に移る

イルガ「よし、これで何とかなるかもしれん!
黒兵とラルは出口を確保しろ、俺とボルドは
クリスを援護しつつ近寄るゾンビを掃討する」

「各自役割を命をかけて実行せよ!」

蜥蜴型は既に姿を眩ませた、イルガは戦いながらも
それを探す、時折、ゾンビの影を縫う様に素早く
動くものを追うが、捉えることは叶わなかった、
そしてクリスがゾンビと戦う隙を突き鋭く尖った
爪を立て切り裂いてはまた姿を消した。

イルガ「蜥蜴の動きが見えない、
やつはゾンビの間を縫う様に移動している」

ラル「出口付近は掃討した!だがドロアがドアを
開けやがらねぇ!」

黒兵「安全を確保してからだろう、一瞬の隙に
あの蜥蜴の素早さだ、抜けられる可能性は
確かにある、隊長!こちらからも援護します、
我らはクリス左、隊長は右側で蜥蜴の隠れ蓑である
ゾンビを倒し剥がしていきましょう!」

イルガ「……いい判断だ、ボルド聞いての通りだ」

ボルド「了解しました」

血の雨が降る、巻き上がった肉片は血と共に
降り注ぐ……
人の体の大半は水分、それが粘度のある滑りやすい
血となり地面をやがて浅瀬の様に満たしていく……

それはラル達のいる方向に流れ彼らの援護は
移動しての攻撃を封鎖されつつあった。

またイルガ達も同様である、動きの
封じ込められた援護はやがてクリスを孤立
させていくのだった。

イルガ「聞け!既に我ら全員大量発砲により手や
指、傷のあるものばかりだろう、もう既に床は
血だらけだ、もう床に這いつくばることも感染を
意味する決して倒れるな!」
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