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012☆婚約者は第二王子のはずですが?!
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「なる程、ね……。うん、まぁ、良いよ」
うほ?!な、何がなる程で、何が良いの???
私がシャルムの魔導具師だと言ったら——正確には日曜大工的な物は得意じゃないから魔石への付与魔法だけだけど——満面の笑みで王太子殿下は何かを勝手に了承した。
「後ほど王宮への通行証を届けさせよう」
は?なんで王宮への通行証?
「あー、こんな所で何なんだけど僕から説明するね。本当はアリーを王宮に連れて行ってから伝える予定だったんだけど……」
何か言いにくそうな、そしてこちらを探るように視線を漂わせたギルバート様は爆弾発言を投下した。
「あのね、今日の議会でアリーの婚約が決まったんだ…………しかもウィルとの」
「はぁぁああ゙?!」
……婚約者は第二王子のはずですが?!
うふふ、こんな中途半端になんかを回収しちゃったよ。
一体全体どうしてこうなった?!
********************
「……ですからやはり第二王子殿下との」
「慣例で王太子殿下の」
「うちのアリシアは一人娘なのでクロレンス公爵家としては婿をとりますから殿下方の婚約者にはなれませんよ」
うん、安定でクラウス殿の笑顔が怖い。よっぽどアリーを殿下方に渡したく無いんだろうな。
「年齢的にイースラウド辺境伯の……」
「でしたらサウスフィール侯爵は……」
その日の議会は殿下方の婚約者問題で荒れに荒れていた。成人してはいないものの既に公務をこなす王太子殿下と共に僕はこの会議への参加を余儀無く……つまり強制されているが、現在居たたまれない思いをしている。
殿下方の婚約者問題。
一見大した問題ではなさそうだが重大事項なんだよね。そもそもウィルの年齢で婚約者がいない方がおかしいし、アルフレッド殿下の婚約者としてならクロレンス公爵家のアリーより跡継ぎがいるイースラウド辺境伯やサウスフィール侯爵の所から出るのが本来だろう。
それが両陛下の意向でアリシア・クロレンス公爵令嬢が筆頭候補になっている。
ちなみに僕の婚約者はルクソール公爵家の遠縁でカルナック侯爵家のリナリー嬢現在十二歳。婚姻は僕が二十歳、リナリー嬢が十六歳の四年後の予定だったりする。
閑話休題
殿下方の婚約者は王妃殿下がグレスティターナ王国の王族から嫁いでいるからグレスティターナ王国からはナシ、グリンフィールド帝国の王族に皇女がいれば良かったけどあそこは皇子のみだからナシ、グリンフィールド帝国の公侯爵からならバランス的にやはりグランフォード王国国内からになる。
それにしても好き勝手まくし立てる老害共にため息がでそうになるよ。ウィリアムと同年代のグランフォード王国内の令嬢は既に王太子妃候補から外れて軒並み婚約者がいるからね。
「発言しても?」
そんな喧騒の中、よく通る声が室内に響いた。
「どうしたウィリアム」
陛下の是の言葉に一瞬場は静かになる。
「では……ウィリアム・ウィルフレッド・グランフォードは婚姻を成すまでクロレンス公爵令嬢アリシアの純潔を守る事をここに誓う」
「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」
何をトチ狂ったのかウィリアムは完璧王太子を返上するような暴挙に出たんだ。
やらかしたのは真名の宣誓……それはとても神聖で命を掛ける誓いなのに、ウィリアムは肝心なことを敢えて指定しなかった。
クラウス殿が婚約期間中にエリシア夫人を隣国からかっ攫う為に誓ったものに近いけどそれは全く違う。
正真正銘頭がおかしくなったとしか思えない。
『クラウス・ライオット・クロレンスはクラウン公爵令嬢エリシアの純潔を婚姻を成すまで私は守る事をここに誓う』
そう、クラウス殿が誓ったのは自分の指定を入れているからクラウス殿がエリシア夫人の純潔を奪わなければ良いだけだったが、ウィリアムが誓ったそれは"婚姻までの純潔を守る"事になる……そして自分を指定しなかったから全てから守るという事だ。
つまり万が一にもアリーの純潔が奪われる様な事があれば、ウィリアムは死ぬ。
てか、ちょっと!ウィルってば、何してんのさーー!!!
「クラウス殿、アリシアは私の婚約者で良いですね?私の命を賭して婚姻までの身の安全を保障しましょう。そして私の身の安全の為にもアリシアには今日から王太子宮で暮らして貰います。良いですね?」
「っ、」
クラウス殿の射殺さんばかりのその視線を涼しい顔で受け流した。
王妃殿下とお茶をするエリシア夫人になんて伝えるべきか……
そう、その昔クラウス殿のした宣誓を逆手にとり、ウィルはアリーをアルフレッド殿下の婚約者候補から王太子妃(ほぼ確定)にしてしまった。
しかもこれから先、自分の手元に留める事に異論さえも出させない形で……
********************
「……と、言うわけでアリーは今日から王太子宮で暮らす事になりました~」
「◎$&?#×△¥●$!」
アリーってば驚きすぎて言葉にさえなって無いよ……
うほ?!な、何がなる程で、何が良いの???
私がシャルムの魔導具師だと言ったら——正確には日曜大工的な物は得意じゃないから魔石への付与魔法だけだけど——満面の笑みで王太子殿下は何かを勝手に了承した。
「後ほど王宮への通行証を届けさせよう」
は?なんで王宮への通行証?
「あー、こんな所で何なんだけど僕から説明するね。本当はアリーを王宮に連れて行ってから伝える予定だったんだけど……」
何か言いにくそうな、そしてこちらを探るように視線を漂わせたギルバート様は爆弾発言を投下した。
「あのね、今日の議会でアリーの婚約が決まったんだ…………しかもウィルとの」
「はぁぁああ゙?!」
……婚約者は第二王子のはずですが?!
うふふ、こんな中途半端になんかを回収しちゃったよ。
一体全体どうしてこうなった?!
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「……ですからやはり第二王子殿下との」
「慣例で王太子殿下の」
「うちのアリシアは一人娘なのでクロレンス公爵家としては婿をとりますから殿下方の婚約者にはなれませんよ」
うん、安定でクラウス殿の笑顔が怖い。よっぽどアリーを殿下方に渡したく無いんだろうな。
「年齢的にイースラウド辺境伯の……」
「でしたらサウスフィール侯爵は……」
その日の議会は殿下方の婚約者問題で荒れに荒れていた。成人してはいないものの既に公務をこなす王太子殿下と共に僕はこの会議への参加を余儀無く……つまり強制されているが、現在居たたまれない思いをしている。
殿下方の婚約者問題。
一見大した問題ではなさそうだが重大事項なんだよね。そもそもウィルの年齢で婚約者がいない方がおかしいし、アルフレッド殿下の婚約者としてならクロレンス公爵家のアリーより跡継ぎがいるイースラウド辺境伯やサウスフィール侯爵の所から出るのが本来だろう。
それが両陛下の意向でアリシア・クロレンス公爵令嬢が筆頭候補になっている。
ちなみに僕の婚約者はルクソール公爵家の遠縁でカルナック侯爵家のリナリー嬢現在十二歳。婚姻は僕が二十歳、リナリー嬢が十六歳の四年後の予定だったりする。
閑話休題
殿下方の婚約者は王妃殿下がグレスティターナ王国の王族から嫁いでいるからグレスティターナ王国からはナシ、グリンフィールド帝国の王族に皇女がいれば良かったけどあそこは皇子のみだからナシ、グリンフィールド帝国の公侯爵からならバランス的にやはりグランフォード王国国内からになる。
それにしても好き勝手まくし立てる老害共にため息がでそうになるよ。ウィリアムと同年代のグランフォード王国内の令嬢は既に王太子妃候補から外れて軒並み婚約者がいるからね。
「発言しても?」
そんな喧騒の中、よく通る声が室内に響いた。
「どうしたウィリアム」
陛下の是の言葉に一瞬場は静かになる。
「では……ウィリアム・ウィルフレッド・グランフォードは婚姻を成すまでクロレンス公爵令嬢アリシアの純潔を守る事をここに誓う」
「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」
何をトチ狂ったのかウィリアムは完璧王太子を返上するような暴挙に出たんだ。
やらかしたのは真名の宣誓……それはとても神聖で命を掛ける誓いなのに、ウィリアムは肝心なことを敢えて指定しなかった。
クラウス殿が婚約期間中にエリシア夫人を隣国からかっ攫う為に誓ったものに近いけどそれは全く違う。
正真正銘頭がおかしくなったとしか思えない。
『クラウス・ライオット・クロレンスはクラウン公爵令嬢エリシアの純潔を婚姻を成すまで私は守る事をここに誓う』
そう、クラウス殿が誓ったのは自分の指定を入れているからクラウス殿がエリシア夫人の純潔を奪わなければ良いだけだったが、ウィリアムが誓ったそれは"婚姻までの純潔を守る"事になる……そして自分を指定しなかったから全てから守るという事だ。
つまり万が一にもアリーの純潔が奪われる様な事があれば、ウィリアムは死ぬ。
てか、ちょっと!ウィルってば、何してんのさーー!!!
「クラウス殿、アリシアは私の婚約者で良いですね?私の命を賭して婚姻までの身の安全を保障しましょう。そして私の身の安全の為にもアリシアには今日から王太子宮で暮らして貰います。良いですね?」
「っ、」
クラウス殿の射殺さんばかりのその視線を涼しい顔で受け流した。
王妃殿下とお茶をするエリシア夫人になんて伝えるべきか……
そう、その昔クラウス殿のした宣誓を逆手にとり、ウィルはアリーをアルフレッド殿下の婚約者候補から王太子妃(ほぼ確定)にしてしまった。
しかもこれから先、自分の手元に留める事に異論さえも出させない形で……
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「……と、言うわけでアリーは今日から王太子宮で暮らす事になりました~」
「◎$&?#×△¥●$!」
アリーってば驚きすぎて言葉にさえなって無いよ……
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