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014☆資金?もちろんバラして売っぱらいました!
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「お嬢様、レ′スュクルリーのご予約のお時間となりますが……」
ウィルから剣呑な雰囲気が漂う中、この仲良し主従はそれにまったく気付かない。何故……
「そうね……ニコ、殿下とギルバート様の席も用意してもらって頂戴」
「畏まりました。製作が終わり次回分の魔石をご用意しましたらご連絡致します」
「あと、あの新しい魔導具の案も進めて頂戴。ニコが器用で助かるわ」
「ああ、あれですね。お嬢様の為にしっかり製作致します」
あー、きゃっきゃしながら気づかないのは今現在お互いしか見ていないのね~。なんか似たもの同士だわこの主従。そう、仲の良い兄妹みたいな……いや、姉弟っぽいのはなんでだ?
一方のウィルってばアリーにこの国の"王太子殿下"としてしか見て貰えてない。接点なんてほぼ無い筈なのに嫌……苦手とされているしな~。
僕もちょっと前までのウィルって苦手だったからしょうがないのかもだけど。やっぱさ終始死んだ目されてると、ね。今はとっても面白……イヤ今までよりは人間っぽいよね。
それで僕的に前回の押し掛けお茶会から今まで夜は寝ながらだけど考えてみて、思い当たるのはアリーが死ぬまでの未来視十三年分、つまり十八歳までの期間にウィルと何らかの接触があったのだろうと結論に辿り着く。
あ゙ー、てか、今までのウィルなら平然とやらかしてそうだし、これから何をして嫌われるのかを聞き出しておかないと駄目かなぁ、ほんと何したんだか……はぁ、前途多難ってヤツ?
「ねぇ、アリー。レ′スュクルリーって……」
「ギルバート様、こちらも他言無用ですがレ′スュクルリーも私の店です。本日は新作の試食と打ち合わせとなります」
おお、アリーってばなんか商魂逞しい?レ′スュクルリーといえば、今までにない珍しい食感の菓子の店だったよね、確か。
「ここもだけど、よく資金繰りができたね~」
どうもこの店ももう一つも公爵家の財を使っている形跡が無いんだよね。だから僕もノーマークだったんだけど、平民が買える家屋でもなしに資金力からニコラウス・ブルームは隣国の商人でもどこか傍流の貴族または私生児だろうとの認識だった。
それは認識不足だったのだけれどね。特に問題もなかった事から不明な出自は認知されていなければ隣国である事からも成人していない僕の手持ちの駒じゃそこまで調べようがなかった事もあり修業した場所くらいしか調べてなかったわけ。……父上はどこまで調べてるか謎だけど。
まぁそんなこんなで結果問題は無かったけど調べる時はもう少し方向性を変えても調べなくちゃと自分の甘さを噛み締める。……もう少し手駒が欲しい所だね。
シャルムもレ′スュクルリーも大通りから少し外れるものの立地もよければ建物も立派で、ニコラウス・ブルームだって隣国で魔導具士としてきちんと修業してきているみたいだし……魔力はあまり無いみたいだけど、そこはアリーがなんか変な文字を使って効果を書き込んでいるから成り立っているっぽい。
「……お恥ずかしいのですが、お父様が下さる宝石が重くて着けずらい宝飾品をバラして売っぱらいましたの!あ、お母様からいただいた可愛らしいものはちゃんと身に着けておりますよ」
アリーの髪飾りとか繊細で可愛らしいもんね。
なんか…………うん、クロレンス公爵ご愁傷様です。
「シャルムやレ′スュクルリーとやらも万が一の時の海の向こうへの国外逃亡の為の資金作りか」
「?そうですけど、何か?」
何か?じゃないよ、アリー!!!お願いだからっ!今のウィル死んだ目してる時より怖いからっ!
国外逃亡はんた~い!国外逃亡イコール駆け落ちみたいな意味合いにしか聞こえないからっ!
女の子というか人間に興味を持ってくれたのは良いんだけど、良いんだけどさ……なんで十歳も年下の幼女なんだろう。
確かに言ってる事もやってる事も大人みたいだけどどっからどう見ても幼女なんだよ、アリーは!
てかそのうち婚約破棄とかするつもりなんて無い癖に。宣誓まで持ち出して逃さぬ為の布石だよ、絶対。
……それにさ、ウィルってなんか今まで微塵も興味が無かった反動で拗らせそうだから、例えば将来アリーに好きな人とか出来たら間違いなく……うわっ、怖っ。
時勢を読むのは長けていても女の子の気持ちは読めてないからその辺残念王太子だよ、ほんと。
そして僕たちはレ′スュクルリーで新食感の菓子に舌鼓を打ちそのまま王宮へとアリーを連れて戻った。
馬車の中でやっぱりアリーが死んだ目をしていたのは言うまでも無く、王宮ではご機嫌が史上最悪なクロレンス公爵が悪鬼の如く待ち受けているとは……知っていたら僕は宰相にすべて投げてルクソール邸に歩いてでも帰ってたよ!
ウィルから剣呑な雰囲気が漂う中、この仲良し主従はそれにまったく気付かない。何故……
「そうね……ニコ、殿下とギルバート様の席も用意してもらって頂戴」
「畏まりました。製作が終わり次回分の魔石をご用意しましたらご連絡致します」
「あと、あの新しい魔導具の案も進めて頂戴。ニコが器用で助かるわ」
「ああ、あれですね。お嬢様の為にしっかり製作致します」
あー、きゃっきゃしながら気づかないのは今現在お互いしか見ていないのね~。なんか似たもの同士だわこの主従。そう、仲の良い兄妹みたいな……いや、姉弟っぽいのはなんでだ?
一方のウィルってばアリーにこの国の"王太子殿下"としてしか見て貰えてない。接点なんてほぼ無い筈なのに嫌……苦手とされているしな~。
僕もちょっと前までのウィルって苦手だったからしょうがないのかもだけど。やっぱさ終始死んだ目されてると、ね。今はとっても面白……イヤ今までよりは人間っぽいよね。
それで僕的に前回の押し掛けお茶会から今まで夜は寝ながらだけど考えてみて、思い当たるのはアリーが死ぬまでの未来視十三年分、つまり十八歳までの期間にウィルと何らかの接触があったのだろうと結論に辿り着く。
あ゙ー、てか、今までのウィルなら平然とやらかしてそうだし、これから何をして嫌われるのかを聞き出しておかないと駄目かなぁ、ほんと何したんだか……はぁ、前途多難ってヤツ?
「ねぇ、アリー。レ′スュクルリーって……」
「ギルバート様、こちらも他言無用ですがレ′スュクルリーも私の店です。本日は新作の試食と打ち合わせとなります」
おお、アリーってばなんか商魂逞しい?レ′スュクルリーといえば、今までにない珍しい食感の菓子の店だったよね、確か。
「ここもだけど、よく資金繰りができたね~」
どうもこの店ももう一つも公爵家の財を使っている形跡が無いんだよね。だから僕もノーマークだったんだけど、平民が買える家屋でもなしに資金力からニコラウス・ブルームは隣国の商人でもどこか傍流の貴族または私生児だろうとの認識だった。
それは認識不足だったのだけれどね。特に問題もなかった事から不明な出自は認知されていなければ隣国である事からも成人していない僕の手持ちの駒じゃそこまで調べようがなかった事もあり修業した場所くらいしか調べてなかったわけ。……父上はどこまで調べてるか謎だけど。
まぁそんなこんなで結果問題は無かったけど調べる時はもう少し方向性を変えても調べなくちゃと自分の甘さを噛み締める。……もう少し手駒が欲しい所だね。
シャルムもレ′スュクルリーも大通りから少し外れるものの立地もよければ建物も立派で、ニコラウス・ブルームだって隣国で魔導具士としてきちんと修業してきているみたいだし……魔力はあまり無いみたいだけど、そこはアリーがなんか変な文字を使って効果を書き込んでいるから成り立っているっぽい。
「……お恥ずかしいのですが、お父様が下さる宝石が重くて着けずらい宝飾品をバラして売っぱらいましたの!あ、お母様からいただいた可愛らしいものはちゃんと身に着けておりますよ」
アリーの髪飾りとか繊細で可愛らしいもんね。
なんか…………うん、クロレンス公爵ご愁傷様です。
「シャルムやレ′スュクルリーとやらも万が一の時の海の向こうへの国外逃亡の為の資金作りか」
「?そうですけど、何か?」
何か?じゃないよ、アリー!!!お願いだからっ!今のウィル死んだ目してる時より怖いからっ!
国外逃亡はんた~い!国外逃亡イコール駆け落ちみたいな意味合いにしか聞こえないからっ!
女の子というか人間に興味を持ってくれたのは良いんだけど、良いんだけどさ……なんで十歳も年下の幼女なんだろう。
確かに言ってる事もやってる事も大人みたいだけどどっからどう見ても幼女なんだよ、アリーは!
てかそのうち婚約破棄とかするつもりなんて無い癖に。宣誓まで持ち出して逃さぬ為の布石だよ、絶対。
……それにさ、ウィルってなんか今まで微塵も興味が無かった反動で拗らせそうだから、例えば将来アリーに好きな人とか出来たら間違いなく……うわっ、怖っ。
時勢を読むのは長けていても女の子の気持ちは読めてないからその辺残念王太子だよ、ほんと。
そして僕たちはレ′スュクルリーで新食感の菓子に舌鼓を打ちそのまま王宮へとアリーを連れて戻った。
馬車の中でやっぱりアリーが死んだ目をしていたのは言うまでも無く、王宮ではご機嫌が史上最悪なクロレンス公爵が悪鬼の如く待ち受けているとは……知っていたら僕は宰相にすべて投げてルクソール邸に歩いてでも帰ってたよ!
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