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これでようやく新米冒険者?
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「入金しましたのでこちらご確認下さい」
銅のギルドカードを手にとり魔力を流すと文字が現れた。
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Eランク
名前 イリヤ
職業 剣士
魔法 火・水・風・土
回復
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あっ、ランクがEになってる。これでようやく新米冒険者か。表面は普通だな…………、ん?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
100,000,000 G
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
裏返すと、一十百千万…………
「セ、セイ?」
「どうしましたイリヤ様」
「いち、いちおく……」
「白金貨十枚なので一億ガルドですね。……というより、それ以上にガル持ってるでしょうが」
少し呆れたように、しかも事も無げにしれっと……だって一億だよ、一億。新米冒険者らしからぬ金額にどっと疲れて片手でこめかみを押さえため息をつくと、その元凶が俺をダシにする。
あのさ、前から思ってたけどセイて可愛いのに結構イイ性格だよな。セツやセアラは、こうもっと、ふんわり柔らかいというかなんというか……
「イリヤ様がお疲れみたいなのでそろそろ宿と家の紹介をお願いしても良いかしら」
「は、はいっ。宿ですがこのギルドの通りにある噴水近くの銀のとまりぎ亭が冒険者が泊まれる最上級の宿となります。……貴族向けの方がよろしいですか?」
チラリと俺、というか俺のこのピカピカ輝く神銀の装備を見たお姉さんがなんかトラブルが降りかかりそうな貴族向けの宿の方が良いのかとセイに訪ねると、すかさずセイはそれを断った。厄介ごとには近付かないに限る。
「いいえ、冒険者用で大丈夫よ」
「それと物件ですが明日のご紹介となりますがご希望はございますか?」
「部屋は最低でも四部屋、使用人も雇いたいからもう少し欲しいわね。馬車を置けて、後は普通に揃っていれば良いかしら」
へぇ、使用人を雇うのか。お姉さんに部屋の要望を伝えているが、セイっ!肝心なものを忘れているぞ。
「風呂っ、俺は風呂が欲しいっ!」
「……イリヤ様、普通は無いのできっと部屋を改装して後付けとかになりますよ。ご自宅みたいにスイッチ一つでいつでも入れると思わないで下さい」
なんだその残念な子を見る目。
あっ、お姉さんまで……苦笑いしてるよ、おい。
だってクリーンじゃ物足りないんだよ、湯船につかりたい。役に立たない職業のすぐに城を出て行く人間だったのもあって、城では風呂なんて借りられなかったし。とは言っても猫足バスタブに魔石で湯を張るタイプみたいだったから微妙というか、足が伸ばせる肩までつかれる大きい浴槽が欲しい。
「お風呂、ですね。お風呂があるもしくは後付け可能な物件を明日ご紹介致します」
「よろしく。あ、お姉さん名前は?」
お姉さんの言葉に嬉しくなってテンションの上がった俺は気が大きくなったからか名前なんて聞いてしまう。
「は、はいっ。ルイーズです」
「じゃ、ルイーズさん。また明日」
調子にのってへらりと笑いながら名前まで呼んでしまったからか、ジト目のセイが俺の足を踏む。だけど素早くて誰も気づかなかったんじゃないか、これ。うん、言えるのはステータス高くて良かったと若干痛む足に愛想笑いをする。地味に痛い。
途中から痛みで苦笑になったけど、ルイーズさんに挨拶もしたし、少し依頼も覗いてみたいな……と、受付を後にして掲示板に向かった。
「…………イリヤ様」
「…………この天然人タラシが」
ちなみに掲示板へと歩きながらどっかの赤い配管工の緑の弟みたいな名前だな、なんて思っていたのは内緒だ。
「どうしたの、セイ?少し依頼を見てみよう」
ぜんぜん来ないセイに振り返り手招きすると、なんだか機嫌が悪そうで……いったい全体どうしたんだ?
銅のギルドカードを手にとり魔力を流すと文字が現れた。
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Eランク
名前 イリヤ
職業 剣士
魔法 火・水・風・土
回復
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あっ、ランクがEになってる。これでようやく新米冒険者か。表面は普通だな…………、ん?
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100,000,000 G
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裏返すと、一十百千万…………
「セ、セイ?」
「どうしましたイリヤ様」
「いち、いちおく……」
「白金貨十枚なので一億ガルドですね。……というより、それ以上にガル持ってるでしょうが」
少し呆れたように、しかも事も無げにしれっと……だって一億だよ、一億。新米冒険者らしからぬ金額にどっと疲れて片手でこめかみを押さえため息をつくと、その元凶が俺をダシにする。
あのさ、前から思ってたけどセイて可愛いのに結構イイ性格だよな。セツやセアラは、こうもっと、ふんわり柔らかいというかなんというか……
「イリヤ様がお疲れみたいなのでそろそろ宿と家の紹介をお願いしても良いかしら」
「は、はいっ。宿ですがこのギルドの通りにある噴水近くの銀のとまりぎ亭が冒険者が泊まれる最上級の宿となります。……貴族向けの方がよろしいですか?」
チラリと俺、というか俺のこのピカピカ輝く神銀の装備を見たお姉さんがなんかトラブルが降りかかりそうな貴族向けの宿の方が良いのかとセイに訪ねると、すかさずセイはそれを断った。厄介ごとには近付かないに限る。
「いいえ、冒険者用で大丈夫よ」
「それと物件ですが明日のご紹介となりますがご希望はございますか?」
「部屋は最低でも四部屋、使用人も雇いたいからもう少し欲しいわね。馬車を置けて、後は普通に揃っていれば良いかしら」
へぇ、使用人を雇うのか。お姉さんに部屋の要望を伝えているが、セイっ!肝心なものを忘れているぞ。
「風呂っ、俺は風呂が欲しいっ!」
「……イリヤ様、普通は無いのできっと部屋を改装して後付けとかになりますよ。ご自宅みたいにスイッチ一つでいつでも入れると思わないで下さい」
なんだその残念な子を見る目。
あっ、お姉さんまで……苦笑いしてるよ、おい。
だってクリーンじゃ物足りないんだよ、湯船につかりたい。役に立たない職業のすぐに城を出て行く人間だったのもあって、城では風呂なんて借りられなかったし。とは言っても猫足バスタブに魔石で湯を張るタイプみたいだったから微妙というか、足が伸ばせる肩までつかれる大きい浴槽が欲しい。
「お風呂、ですね。お風呂があるもしくは後付け可能な物件を明日ご紹介致します」
「よろしく。あ、お姉さん名前は?」
お姉さんの言葉に嬉しくなってテンションの上がった俺は気が大きくなったからか名前なんて聞いてしまう。
「は、はいっ。ルイーズです」
「じゃ、ルイーズさん。また明日」
調子にのってへらりと笑いながら名前まで呼んでしまったからか、ジト目のセイが俺の足を踏む。だけど素早くて誰も気づかなかったんじゃないか、これ。うん、言えるのはステータス高くて良かったと若干痛む足に愛想笑いをする。地味に痛い。
途中から痛みで苦笑になったけど、ルイーズさんに挨拶もしたし、少し依頼も覗いてみたいな……と、受付を後にして掲示板に向かった。
「…………イリヤ様」
「…………この天然人タラシが」
ちなみに掲示板へと歩きながらどっかの赤い配管工の緑の弟みたいな名前だな、なんて思っていたのは内緒だ。
「どうしたの、セイ?少し依頼を見てみよう」
ぜんぜん来ないセイに振り返り手招きすると、なんだか機嫌が悪そうで……いったい全体どうしたんだ?
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