164 / 369
学校のマドンナはおとこの娘
12話
しおりを挟む
翌日、俺たち3人は土曜日ということで渚の最寄り駅に集まった。
渚の最寄りは二子玉川駅だった。
ここは駅の開発が進んでおり、大きな商業施設であったり、オシャレな庭園や映画館まで搭載してある以下にも高級住宅街の中心であるようなところだった。
「すげーな…こんなところに住んでるんだな。」
「いいな~、少し都会の喧騒から離れた感じ……。でも程よく栄えてるし、庭とかあって綺麗ね。」
「うん!とは言っても少し歩くと落ち着いた住宅街ばっかだけどね。」
駅周辺には大きな河川敷があったり、高級志向の某デパートもある。
こんなところに住んでるなんて、渚の家はさぞ金持ちなのだろう。
だから気品のあるお嬢様のような立ち振る舞いができるのかもしれない、男だけど。
さて、本題だ。
今日は渚と母親が面と向かって話をするのだ。
内容はシンプル、渚の性自認は男だということ。
これ以上の干渉は金輪際やめて頂きたいということ。
これだけなのに渚はとても重いことを言うように少しだけ居心地が悪そうだった。
「……こわいか。」
「うん、流石直輝くんだね。母さんは本当に怖いんだ。ヒステリック起こすし、選択を間違えれば去勢される。」
渚が母親と関わる度に冷や汗をかいていた、きっと逆らえないのだろう。
でも、渚は変わりたいと考えている。
きちんと自立して、男として今後の人生を歩みたいと思ってるのだ。
「大丈夫よ、もしなんかあったらサポートする!私たち…友達だもの!」
「舞衣さんまで……ありがとう。もし、僕がパニックになったら助けて欲しい。」
「当たり前だ、力になるよ。」
俺たちは渚の家へと向かった。
渚の家は俺の家に近いような一軒家だった。
車も1台停めてあるので、本当にお金があるようだった。
「入って、どうぞ。」
家を入ると、少しどよめいてるような湿気のようなものを感じる。
一見、一般的な家庭に見えるけど妙にブランド品もあったりして、金持ちなのか見栄っ張りな母親の性格が垣間見えるようだった。
リビングに入ると、男性がいた。
少し疲れたような顔をしていて、もみあげにはほんのりと白髪が生えている男性だ。
心なしか覇気を感じられない顔立ちをしていた。
「ただいま、父さん。」
「ああ…渚、おかえり。珍しいね……2人は友達かい?」
「はい、天野直輝といいます。」
「私は佐倉舞衣っていいます。」
俺たちがお辞儀をすると渚の父親もそれに合わせて礼儀正しくお辞儀をした。
「父さん……母さんはどこ?」
「彩子は……買い物に行ってるよ。今日は仕事休みだからね。なんかあったのか?」
「そう、今日……母さんときちんと話そうかと思ってる事があってね。丁度いいからお父さんにも話すよ。」
空気が一変する。
渚の父親は何を話すんだろうと少しだけ不安な表情をしていた。
ガッツリと家を引っ張ってく亭主関白ではなくかかあ天下の父親なのか、少しだけ怯えてるような感じもした。
「父さん……ボク、性自認は男なんだ。だから今後は母さんの干渉を辞めてもらおうかと思ってる。」
渚の父親は仰天していた。
どうやら、あまりに衝撃的に見えていたらしい。
「そうなのか?母さんの方針は……違ったのか?」
「うん、ボク……それまで直輝くんと会うまでは女でいようとしていた。メイクも楽しいし、何より僕の容姿を素敵だと言ってくれる人がいたからね。」
「そうか?今は違うのか?」
「全く違う…むしろ違和感だらけで気持ち悪いくらいなんだよ。ボクは男だ、どうせなら父さんとキャッチボールをしてたかったくらいだよ。」
すると、父親は渚を強く抱き締めた。
そして、すすり泣いているような感じがあった。
「すまなかった…俺は全然渚の事を見てやれなかった。母さんに、メイクをされて、女ものの服を着ている時も……母さんに女性ホルモンを投与されてから、嘔吐する渚を見ても俺は見ているだけだった。」
「ううん、父さんは悪くないよ。母さんに圧をかけられながらも…ちゃんとボクを見ててくれたし。それにグローブを2個買ってあったから……ボクを息子として見てくれようとしてたんだよね。」
渚が指差すと、2つグローブが下げられていた。
片方は右利き用のやつと……もうひとつは左利き用のグローブがあった。そういえば渚は左利きだった。
ペンを使う時も化粧をする時もほとんど左利きだった。
この父親は……渚の細かいところを見ていて、男として生まれたことを否定する母親に反して、渚の存在そのものを受け入れてたのかもしれない。
「こんな……弱い父を許してくれるのか?お前もこんなに身体が変わってしまった。なりたくもない姿にさせてしまった。」
「うん。だからこそ……今日母さんと決着をつけるんだ。」
「そうか、渚がそうなら…俺もきちんとあいつに話をしなければならないな。なあ、渚……それまで少しだけキャッチボールしていいか?」
「うん、ボクも怖くて震えそうだから気が紛れるからやってみたい。」
そう言うと、渚と父親は外に出た。
俺達もそれを見守るように眺める。
父親は元々野球部だったのか、フォームはとても綺麗だった。
球をゆっくりと投げると見事に渚の右手にスパンと入る。
「いいキャッチだ。」
「ボク……投げれるかな。」
「大丈夫だ、父さんの息子だからな!」
「じゃあ……えい!」
渚も本能的に手だけでなく全身を使って綺麗に投げる。
父親の左手から少しズレたとこに投げたが父親はキャッチをして笑っていた。
「いい球だ!やるじゃないか!」
高校生と、父親が庭でキャッチボールをしている。
何気ない景色なのに俺はそれがものすごく羨ましく感じた。
俺も……父親がいたらこんなことできたのかな、なんて思ったりする。
「直輝くん……こういうの、いいね。」
「そうだね。ちょっと渚が羨ましく感じるようだよ。」
父親は渚の少し外れた球を見事にキャッチする。
渚はどんどん上達して球のコントロールが上手くなっていった。
まるで、少しずつは隔てていた壁が壊れるかのように……そして、2人の気持ちが重なるようにキャッチボールはスムーズになっていく。
すると、突然後ろからハイヒールのコツ…コツ…という音が聞こえた。
「なに…してるの……?」
後ろを振り返ると少し青筋を立てた、厚化粧の綺麗な女性が立っていた。
顔立ちも上品さも全て渚に似ている。
そう、彼女こそが渚の母親だと気がつくには……そう時間を要することはなかった。
渚の最寄りは二子玉川駅だった。
ここは駅の開発が進んでおり、大きな商業施設であったり、オシャレな庭園や映画館まで搭載してある以下にも高級住宅街の中心であるようなところだった。
「すげーな…こんなところに住んでるんだな。」
「いいな~、少し都会の喧騒から離れた感じ……。でも程よく栄えてるし、庭とかあって綺麗ね。」
「うん!とは言っても少し歩くと落ち着いた住宅街ばっかだけどね。」
駅周辺には大きな河川敷があったり、高級志向の某デパートもある。
こんなところに住んでるなんて、渚の家はさぞ金持ちなのだろう。
だから気品のあるお嬢様のような立ち振る舞いができるのかもしれない、男だけど。
さて、本題だ。
今日は渚と母親が面と向かって話をするのだ。
内容はシンプル、渚の性自認は男だということ。
これ以上の干渉は金輪際やめて頂きたいということ。
これだけなのに渚はとても重いことを言うように少しだけ居心地が悪そうだった。
「……こわいか。」
「うん、流石直輝くんだね。母さんは本当に怖いんだ。ヒステリック起こすし、選択を間違えれば去勢される。」
渚が母親と関わる度に冷や汗をかいていた、きっと逆らえないのだろう。
でも、渚は変わりたいと考えている。
きちんと自立して、男として今後の人生を歩みたいと思ってるのだ。
「大丈夫よ、もしなんかあったらサポートする!私たち…友達だもの!」
「舞衣さんまで……ありがとう。もし、僕がパニックになったら助けて欲しい。」
「当たり前だ、力になるよ。」
俺たちは渚の家へと向かった。
渚の家は俺の家に近いような一軒家だった。
車も1台停めてあるので、本当にお金があるようだった。
「入って、どうぞ。」
家を入ると、少しどよめいてるような湿気のようなものを感じる。
一見、一般的な家庭に見えるけど妙にブランド品もあったりして、金持ちなのか見栄っ張りな母親の性格が垣間見えるようだった。
リビングに入ると、男性がいた。
少し疲れたような顔をしていて、もみあげにはほんのりと白髪が生えている男性だ。
心なしか覇気を感じられない顔立ちをしていた。
「ただいま、父さん。」
「ああ…渚、おかえり。珍しいね……2人は友達かい?」
「はい、天野直輝といいます。」
「私は佐倉舞衣っていいます。」
俺たちがお辞儀をすると渚の父親もそれに合わせて礼儀正しくお辞儀をした。
「父さん……母さんはどこ?」
「彩子は……買い物に行ってるよ。今日は仕事休みだからね。なんかあったのか?」
「そう、今日……母さんときちんと話そうかと思ってる事があってね。丁度いいからお父さんにも話すよ。」
空気が一変する。
渚の父親は何を話すんだろうと少しだけ不安な表情をしていた。
ガッツリと家を引っ張ってく亭主関白ではなくかかあ天下の父親なのか、少しだけ怯えてるような感じもした。
「父さん……ボク、性自認は男なんだ。だから今後は母さんの干渉を辞めてもらおうかと思ってる。」
渚の父親は仰天していた。
どうやら、あまりに衝撃的に見えていたらしい。
「そうなのか?母さんの方針は……違ったのか?」
「うん、ボク……それまで直輝くんと会うまでは女でいようとしていた。メイクも楽しいし、何より僕の容姿を素敵だと言ってくれる人がいたからね。」
「そうか?今は違うのか?」
「全く違う…むしろ違和感だらけで気持ち悪いくらいなんだよ。ボクは男だ、どうせなら父さんとキャッチボールをしてたかったくらいだよ。」
すると、父親は渚を強く抱き締めた。
そして、すすり泣いているような感じがあった。
「すまなかった…俺は全然渚の事を見てやれなかった。母さんに、メイクをされて、女ものの服を着ている時も……母さんに女性ホルモンを投与されてから、嘔吐する渚を見ても俺は見ているだけだった。」
「ううん、父さんは悪くないよ。母さんに圧をかけられながらも…ちゃんとボクを見ててくれたし。それにグローブを2個買ってあったから……ボクを息子として見てくれようとしてたんだよね。」
渚が指差すと、2つグローブが下げられていた。
片方は右利き用のやつと……もうひとつは左利き用のグローブがあった。そういえば渚は左利きだった。
ペンを使う時も化粧をする時もほとんど左利きだった。
この父親は……渚の細かいところを見ていて、男として生まれたことを否定する母親に反して、渚の存在そのものを受け入れてたのかもしれない。
「こんな……弱い父を許してくれるのか?お前もこんなに身体が変わってしまった。なりたくもない姿にさせてしまった。」
「うん。だからこそ……今日母さんと決着をつけるんだ。」
「そうか、渚がそうなら…俺もきちんとあいつに話をしなければならないな。なあ、渚……それまで少しだけキャッチボールしていいか?」
「うん、ボクも怖くて震えそうだから気が紛れるからやってみたい。」
そう言うと、渚と父親は外に出た。
俺達もそれを見守るように眺める。
父親は元々野球部だったのか、フォームはとても綺麗だった。
球をゆっくりと投げると見事に渚の右手にスパンと入る。
「いいキャッチだ。」
「ボク……投げれるかな。」
「大丈夫だ、父さんの息子だからな!」
「じゃあ……えい!」
渚も本能的に手だけでなく全身を使って綺麗に投げる。
父親の左手から少しズレたとこに投げたが父親はキャッチをして笑っていた。
「いい球だ!やるじゃないか!」
高校生と、父親が庭でキャッチボールをしている。
何気ない景色なのに俺はそれがものすごく羨ましく感じた。
俺も……父親がいたらこんなことできたのかな、なんて思ったりする。
「直輝くん……こういうの、いいね。」
「そうだね。ちょっと渚が羨ましく感じるようだよ。」
父親は渚の少し外れた球を見事にキャッチする。
渚はどんどん上達して球のコントロールが上手くなっていった。
まるで、少しずつは隔てていた壁が壊れるかのように……そして、2人の気持ちが重なるようにキャッチボールはスムーズになっていく。
すると、突然後ろからハイヒールのコツ…コツ…という音が聞こえた。
「なに…してるの……?」
後ろを振り返ると少し青筋を立てた、厚化粧の綺麗な女性が立っていた。
顔立ちも上品さも全て渚に似ている。
そう、彼女こそが渚の母親だと気がつくには……そう時間を要することはなかった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる