僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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僕の役割は文化祭実行委員

12話

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俺は街中をゆっくりと歩く。
少し重みを感じ汗が出ていた。

そう、俺は先生を肩車して家まで送っているのだ。

「せ……先生……大丈夫ですか……!」
「らいじょうぶ!らいじょうぶ!生きてるよ~。」
「いや!質問の回答になってねえ!」

先生は、かなり不規則に歩いていて俺が押し出されてしまいそうだった。

「飲み過ぎですよ~。ほんと……帰り道あってるんですか?」
「あ?じゃあ私が住所教えてやんわよ!東京都新宿区のー。」
「ちょ、人前で住所公表しないでくださいよ!小学生YouTuberか!」
「へーい!ブンブンハローYouTube!」
「いや、それはレジェンドです!」

時刻は23時を回る。
多分帰れないかもしれない。
でも、流石に道路で女性を捨てる訳にも行かないだろう。

「……しょうがないですね。先生、おぶるからさっさと帰りますよ!」
「お、悪いわね。……すううううう!」
「人の背中を吸わないでください。ゾッとします。」
「はああああ!」
「いや、背中に息吹き掛けないでください。熱気と湿気を感じます。」
「クンクン……。くしゃい。」
「いい加減にしろよ!セクハラじみたことばっかしやがって。」

どうしよう。1回ビンタした方が……いや、お巡りさんかな?
先生は俺の背中で遊んでいる。
俺の頬から怒りの血管がビキッと立っているような気がした。

「へー、これが男の背中なんだ。」
「いや、先生なら男の身体なんて1人や2人、いくらでも触れてきたんじゃないですか?」
「いや?0よ?」
「え、そなの?」
「だって考えても見てよ……オタクでさ、ゲーム廃人とかしてた私よ?直輝くんぐらいの頃は告白されてもポケ〇ン厳選できないからって断り続けてきた喪女なのよ。」

あー、ちょっと納得してしまった。
たしかに美人でもあんまり受けが良くないかも知れない。

その後も先生の暴走を突っ込みつつ俺は東京の住宅街を歩いた。
東京というのは、無駄に高低差がある。
都会でも急に大きな坂道に出会うので意外とくたびれてしまう。

すると、先生はあるマンションを指さしきた。

「ここ~!私んち!」
「なかなかいいマンションですね。」

ただ、このマンション致命的な欠陥があった。
オートロックな所までは良いのだが、エレベーターがない。
俺は、その中を汗を流しながら階段を昇った。

「お……おも……。」
「んー?なんだね、重い女は嫌いー?」
「ああ!ちょっと揺らさないで!」
「軽い女よりはいいでしょ。ほーら、ムチムチしてるぞー。」
「やめろ!運搬してる条件下なら軽い方がいいですの!」

そういって、何とか先生の部屋に着いた。
時刻は……24時を回っていた。
まだ、ダッシュすれば間に合うかな?母ちゃん心配してるだろうし。

そして、マンションの一室を開けて役割が終わったかと思ったその時だった。

「がーっ!がーっ!」
「え、まだ玄関だぞ?」

先生は、スーツ姿のまま玄関で気持ちよさそうに寝ていた。
このままじゃ風邪を引いてしまいそうだ。

「ああもう、この人25年間どうやって生きてきたんだ。絶対教師の適正ないでしょ!」

そういい、先生を運んでベッドの位置まで持っていく。
ぐぬぬ……お姫様抱っこって腕力を相当使う。

電気を付けてみたら俺は青ざめてしまった。
部屋が致命的に汚い。
ローテーブルの上には無数の空き缶があって、服が無数に床に散らばっている。
ゴミも捨て忘れてるのか部屋の奥に縛ったままだった。

キッチンも目が当てられない。
食べ終わった食器が洗ってなかったり、カップ麺の容器が置いてあったりと無法地帯になっていた。

俺はとにかくベッドに先生を置く。

スーツはシワになるのでそれだけはハンガーにかけてあげた。

「ぐごご……ギリ……ギリ……。」

いや、いびきと歯ぎしりすげえな。
おっさんがいるよ。顔は化粧水のCMに出れそうなほどの綺麗な美人だけど。

俺はスマホを見て帰りの列車を探したけど、どうにも終電が終わったみたいで呆れてベッドに腰掛けてしまった。

……何やってんだろ、俺。
どうにも汚部屋が俺の精神を汚すようだった。
先生、こんなどこに床があるか分からないとこに住んでたら心も荒むよ。

すると、突然先生は俺を包むようにくっついてきた。

「私ぃ……頑張ってるのに……何がいけないんだろ。マッチングアプリは全滅だし、親からも結婚の圧がすごいし……生きずらいよ。」

明らかに寝言だけど、その時先生は切なそうな顔をしていた。
先生は、きっと誰かに見てもらいたい。それだけなのかもしれない。

少しだけ、孤独な先生が可哀想だと感じてしまった。
そして、俺は立ち上がった。

☆☆

私は、松本みなみ。
昨日は……生徒会に貢献してくれる天野くんと焼肉に行って……それからは覚えていない。

肌がべったりしている。
化粧を落とすのを忘れていたのだろう。
そして、服は昨日のシャツとスカートのままだったのでまた雑に帰ってきたのだと自己嫌悪してしまう。

そう思い、私は洗面台で顔を洗ってすっぴんになる。
あー、さっぱりした。なんで女ってこんな肌に油をべったり付けないとマナー違反なんだろ、理不尽だな。


さっぱりとしたので部屋を見渡すとある違和感に気がつく。

「あれ、わたしの家……こんなに綺麗だったっけ?」

溜めてしまった燃えるゴミ箱、空き缶などのゴミがなく、服は綺麗に畳まれてタンスに入っている。
明らかに誰か片付けてくれていたのだ。

そして、その犯人が判明する。

「すう……すう。」

天野くんがソファに腰掛けたまま眠っていたのだ。
や……やべぇ、未成年連れ込んじまった。
彼は彼女一筋だと聞いていたから間違った感じでもないし、善意で綺麗にしてくれたのかもしれない。

ああ、なんかいいな……もし私に奇跡的に彼氏が出来て同棲できたらこんな感じなのかもしれない。

「天野くんが彼氏でも……ありかも。」

明らかに不味いのは分かってるけど、もう少しこの子を寝かせることにした。
私は、お礼に彼に目玉焼きでも作ってあげよう。

私は朝の陽射しを浴び、鳥の音……そして、少しずつ喧騒に包まれる前の都会の音を聞きながらフライパンに油をかけて卵を割る。

しかし、不慣れな手つきで作った目玉焼きは、裏面は焦げているのに表面はまだ半ナマととてもお礼にならない粗末なものになってしまった。

……私もまだまだだな。
そう思い、私は彼を起こしてあげることにした。
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