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僕の役割は文化祭実行委員
16話
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文化祭の準備は無事終わり俺は久しぶりに一人で帰った。
本当にこの期間、色々あったと思う。
生徒会に関わることが出来たし、人生でやった事ないことばかりだった。
普段接しない人たちとも接することが出来たし、俺はこの1ヶ月本当に勉強になった。
やる事も特に無かったので明日に備えて17時に下校できた。
俺は少し伸びをする。
「ふーっ!なんか……久しぶりだな。こんなに早く帰るの。」
夕焼けに照らされる学校がむしろ新鮮に感じるほどだった。
去年までは当たり前の帰り道だったのに妙に懐かしい。
それだけ、俺の景色は変わったということだと思う。
他の様子を見ると、食材の仕込みもしてるクラスもいる。
明日は、インカムをつけながらだけど基本的には徘徊をするような動きになりそうだ。
「さて……今日はまっすぐかえ……。」
俺は足が止まった。久しぶりにみた、もうひとつ懐かしい景色だ。
「やあ、直輝くん……体調よくなった?」
「舞衣。」
舞衣が校門の前で待っててくれた。
表情も先日に比べてかなり柔らかい。
「一緒に帰ってもいい……?」
「ああ、もちろんだよ。」
夕焼けの下り坂道。
俺たちの帰路は夕日に照らされた竹林が竹の独特の香りを出しつつ、しなるように風に揺れていた。
緑とオレンジのコントラスト、それが今の俺たちの戸惑いを見事に彩るようだった。
「明日は文化祭だね。……どう?仕事は終わりそう?」
「ああ、なんか昨日から先輩たちやる気出しちゃってさ、気がついたら今日の仕事までやっちゃったんだよ。」
「そうなんだ、すごいね。」
「だよなー!あはははは!」
……妙に会話がぎこちない。
あれ、今まで俺は彼女と同接していたんだろう。
まる1ヶ月ほとんど一緒にいなかったから、何を話せば良いか分からない。
二人の間に沈黙が流れる。
俺は次の話題何を話そうかとばかり考えると、妙に思考がグラグラして気持ち悪くなってきた。
「そ、そういえばいつものみんなで集まることも最近なかったね!龍とか元気にしてる?」
「虎ノ門くん?うん、寧ろ彼が相談乗ってくれて背中押してくれたりしたんだよ。また、みんなで集まりたいね。」
「そ、そうだね!またみんなで勉強会でもしよっか!」
俺の乾いた笑いが住宅街を反響する。
それが、妙にお互いのぎこちなさを際立たせていた。
どうしよう、人前で指示や説明をするのは緊張しなかったのに、今がいちばん緊張してしまう。
「ねえ、直輝くん……私って……どう?」
そんな中、舞衣が話を切り出す。
とはいえ、主語がかけてるので読解が難しく感じる。
「どうって……?」
「私……いっつもさ、直輝くんに迷惑かけてる。感情が独り歩きして、迷惑かけて……時には痛い事をして。今回だって、ちゃんと直輝くんの話に耳を傾けられなくて、傷つけちゃったのは私の方だよ?」
「い……いやいや!流される俺がわりいって!そもそも、流されてなければラブホなんかいってねえし!」
「私……今、凄く自信が無いの。直輝くんの彼女として……相応くないかもとか、直輝くんの……足かせになってるんじゃないかなって……そんなこと……ばかり……うっ……うう。」
彼女は俺をまっすぐ見た。
いや、俺が彼女から顔を逸らしていたのかもしれない。
ちゃんと彼女の顔を見ると……とても悲しそうな顔をしていた。
俺も嫌われるかもしれないと怯えていたけど、彼女はそれ以上に怯えていたのだ。
「直輝くんが居ない日が……それでも苦しくて……でも、何すればいいかわからないから頑張る直輝くんを見ることしか出来なかった。」
「……舞衣。」
「でも、直輝くんは生徒会でも沢山の人を引っ張って輝いていく中で、私は何もできてない。直輝くんは、どんどん前に進んでいくのに、私はただただ取り残されてばっかで……もう訳わかんないの。」
彼女はそう言って泣いてしまった。
どうやら、彼女が離れた時に目の前のことに集中してた事が彼女にはプレッシャーになってたみたいだったから。
「私は、直輝くんを許したけど……直輝くんは、私をどう思ってる?正直でいい、もし直輝くんの重荷になるようなら……またただの友達に戻るから。」
俺は、少しだけ考える。
思えば俺から好きなんて言葉をほとんど与えたことがなかった。
それが無意識に傷つけてしまったのかもしれない。
彼女をこれからも愛するということは、それだけ彼女の良くない部分を受け入れる事への覚悟であり、約束なのだ。
たかが高校生の恋愛かもしれないけど、俺はいま彼女に試されてる。
そんな思いが垣間見えてる気がする。
ただの友達もいいかもしれない。
でも、おれの答えはひとつだった。
「俺には……舞衣が必要だよ。」
「え。」
「俺もさ……舞衣がいない時すごく考えた。早乙女とかに相談乗ってもらってさ……きちんとこうやって向き合うために俺は文化祭実行委員を本気でやってきたんだよ。」
そうだ、彼女は俺を前に進むきっかけをくれた。
だからこそ、今俺がいる。
話しながら、自分の本音を整理する。
「俺、確かに今年から色々あったけど、その中で舞衣が俺のことを好きになったから前に進めたんだと思う。今まで行ったことないところに行ったりとか、初めて自分の足で前に進めたのは舞衣がいたからだと思う。」
俺は息を吸う。
彼女に一番伝えたいことメッセージは至ってシンプルだ。
「舞衣、好きだ。これからも……不器用な俺だけど一緒にいて欲しい。」
そう言って、俺は彼女の肩を強く掴んだ。
目を真っ直ぐみて、きちんと想いを伝えることを全身で表現していた。
彼女は……それを聞いて嬉しそうに微笑んだ。
「もう……バカ。」
そう言って、俺たちは久しぶりの接吻を交わす。
その様子は竹林の影が俺達をカモフラージュしていて、その様子に気がつく人は誰もいなかった。
彼女の体温、彼女の吐息……全てが愛おしかった。
抱きしめられ、全身が安心してこの時間を永遠に求めてる……そんな気がした。
「もう……少し積極的になったんじゃない?」
「あ、ごめん……。」
「ううん、嬉しい。」
俺たちは湧き上がる欲を1度抑えて、また帰り道を歩く。
無意識に彼女は俺の左手をとって、誰も見てない中手を繋ぐ。
「ねえ、直輝くん……明日はせっかくの文化祭だし、一緒に回ろ?文化祭デート!」
「うん、明日は楽しもっか。」
夕陽は完全に落ちきっている。
外の気温は昼間の灼熱とは打って変わってコンクリートジャングルは不気味に俺たちを冷やしている。
でも、寒さに怯える必要はなかった。
だって、彼女の温もりが俺を温めているのだから。
本当にこの期間、色々あったと思う。
生徒会に関わることが出来たし、人生でやった事ないことばかりだった。
普段接しない人たちとも接することが出来たし、俺はこの1ヶ月本当に勉強になった。
やる事も特に無かったので明日に備えて17時に下校できた。
俺は少し伸びをする。
「ふーっ!なんか……久しぶりだな。こんなに早く帰るの。」
夕焼けに照らされる学校がむしろ新鮮に感じるほどだった。
去年までは当たり前の帰り道だったのに妙に懐かしい。
それだけ、俺の景色は変わったということだと思う。
他の様子を見ると、食材の仕込みもしてるクラスもいる。
明日は、インカムをつけながらだけど基本的には徘徊をするような動きになりそうだ。
「さて……今日はまっすぐかえ……。」
俺は足が止まった。久しぶりにみた、もうひとつ懐かしい景色だ。
「やあ、直輝くん……体調よくなった?」
「舞衣。」
舞衣が校門の前で待っててくれた。
表情も先日に比べてかなり柔らかい。
「一緒に帰ってもいい……?」
「ああ、もちろんだよ。」
夕焼けの下り坂道。
俺たちの帰路は夕日に照らされた竹林が竹の独特の香りを出しつつ、しなるように風に揺れていた。
緑とオレンジのコントラスト、それが今の俺たちの戸惑いを見事に彩るようだった。
「明日は文化祭だね。……どう?仕事は終わりそう?」
「ああ、なんか昨日から先輩たちやる気出しちゃってさ、気がついたら今日の仕事までやっちゃったんだよ。」
「そうなんだ、すごいね。」
「だよなー!あはははは!」
……妙に会話がぎこちない。
あれ、今まで俺は彼女と同接していたんだろう。
まる1ヶ月ほとんど一緒にいなかったから、何を話せば良いか分からない。
二人の間に沈黙が流れる。
俺は次の話題何を話そうかとばかり考えると、妙に思考がグラグラして気持ち悪くなってきた。
「そ、そういえばいつものみんなで集まることも最近なかったね!龍とか元気にしてる?」
「虎ノ門くん?うん、寧ろ彼が相談乗ってくれて背中押してくれたりしたんだよ。また、みんなで集まりたいね。」
「そ、そうだね!またみんなで勉強会でもしよっか!」
俺の乾いた笑いが住宅街を反響する。
それが、妙にお互いのぎこちなさを際立たせていた。
どうしよう、人前で指示や説明をするのは緊張しなかったのに、今がいちばん緊張してしまう。
「ねえ、直輝くん……私って……どう?」
そんな中、舞衣が話を切り出す。
とはいえ、主語がかけてるので読解が難しく感じる。
「どうって……?」
「私……いっつもさ、直輝くんに迷惑かけてる。感情が独り歩きして、迷惑かけて……時には痛い事をして。今回だって、ちゃんと直輝くんの話に耳を傾けられなくて、傷つけちゃったのは私の方だよ?」
「い……いやいや!流される俺がわりいって!そもそも、流されてなければラブホなんかいってねえし!」
「私……今、凄く自信が無いの。直輝くんの彼女として……相応くないかもとか、直輝くんの……足かせになってるんじゃないかなって……そんなこと……ばかり……うっ……うう。」
彼女は俺をまっすぐ見た。
いや、俺が彼女から顔を逸らしていたのかもしれない。
ちゃんと彼女の顔を見ると……とても悲しそうな顔をしていた。
俺も嫌われるかもしれないと怯えていたけど、彼女はそれ以上に怯えていたのだ。
「直輝くんが居ない日が……それでも苦しくて……でも、何すればいいかわからないから頑張る直輝くんを見ることしか出来なかった。」
「……舞衣。」
「でも、直輝くんは生徒会でも沢山の人を引っ張って輝いていく中で、私は何もできてない。直輝くんは、どんどん前に進んでいくのに、私はただただ取り残されてばっかで……もう訳わかんないの。」
彼女はそう言って泣いてしまった。
どうやら、彼女が離れた時に目の前のことに集中してた事が彼女にはプレッシャーになってたみたいだったから。
「私は、直輝くんを許したけど……直輝くんは、私をどう思ってる?正直でいい、もし直輝くんの重荷になるようなら……またただの友達に戻るから。」
俺は、少しだけ考える。
思えば俺から好きなんて言葉をほとんど与えたことがなかった。
それが無意識に傷つけてしまったのかもしれない。
彼女をこれからも愛するということは、それだけ彼女の良くない部分を受け入れる事への覚悟であり、約束なのだ。
たかが高校生の恋愛かもしれないけど、俺はいま彼女に試されてる。
そんな思いが垣間見えてる気がする。
ただの友達もいいかもしれない。
でも、おれの答えはひとつだった。
「俺には……舞衣が必要だよ。」
「え。」
「俺もさ……舞衣がいない時すごく考えた。早乙女とかに相談乗ってもらってさ……きちんとこうやって向き合うために俺は文化祭実行委員を本気でやってきたんだよ。」
そうだ、彼女は俺を前に進むきっかけをくれた。
だからこそ、今俺がいる。
話しながら、自分の本音を整理する。
「俺、確かに今年から色々あったけど、その中で舞衣が俺のことを好きになったから前に進めたんだと思う。今まで行ったことないところに行ったりとか、初めて自分の足で前に進めたのは舞衣がいたからだと思う。」
俺は息を吸う。
彼女に一番伝えたいことメッセージは至ってシンプルだ。
「舞衣、好きだ。これからも……不器用な俺だけど一緒にいて欲しい。」
そう言って、俺は彼女の肩を強く掴んだ。
目を真っ直ぐみて、きちんと想いを伝えることを全身で表現していた。
彼女は……それを聞いて嬉しそうに微笑んだ。
「もう……バカ。」
そう言って、俺たちは久しぶりの接吻を交わす。
その様子は竹林の影が俺達をカモフラージュしていて、その様子に気がつく人は誰もいなかった。
彼女の体温、彼女の吐息……全てが愛おしかった。
抱きしめられ、全身が安心してこの時間を永遠に求めてる……そんな気がした。
「もう……少し積極的になったんじゃない?」
「あ、ごめん……。」
「ううん、嬉しい。」
俺たちは湧き上がる欲を1度抑えて、また帰り道を歩く。
無意識に彼女は俺の左手をとって、誰も見てない中手を繋ぐ。
「ねえ、直輝くん……明日はせっかくの文化祭だし、一緒に回ろ?文化祭デート!」
「うん、明日は楽しもっか。」
夕陽は完全に落ちきっている。
外の気温は昼間の灼熱とは打って変わってコンクリートジャングルは不気味に俺たちを冷やしている。
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