僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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遥香と秘境の吊り橋物語

11話

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湯気が視界をほんのりと揺らぎ周りを岩肌が囲っている。

中には木々が植えられていて、その先に竹の塀があり、その先には寸又峡流域の山並みが山並みに萌えていた。

「うっわぁー!すげぇ露天風呂!」

今日は私たち以外はまだ誰も入って居ないみたいで軽い貸切状態になっていた。
ある意味この瞬間も強い贅沢である。

体を洗ってから温泉に入っていく。
すると、足を湯に入れただけで疲れが湯に溶ける感覚があった。

そして、ゆっくりと肩まで浸かる。

「あぁ~気持ちよすぎる~。」
「……確かに、あれだけ疲れたあとだと格別ですね。」

私たちはあまりの気持ちよさに感嘆を漏らす。
今日だけの疲れじゃない、今週……いや、下手すれば今月中の疲れが溶けてしまいそうだった。

「ねえ、ことねさん?」
「……はい、遥香さん。」
「歳を取ればとるほど……温泉が身に染みるわね。」
「……なんか分かります。体の芯まで湯の気持ちよさが響き渡るような、そんな感覚あります。」

私たちは、もう世間では平成1桁ババアなんて言われるけど、こうやって歳をとっていくのを実感する。
でも、それも悪くないような……そんな気持ちが背中を押すような感じがした。

「ちょっとー2人とも……まだまだ歳を受け入れるには可愛すぎると思いますけどね。」
「あはは、ありがとう彩奈ちゃん。」

彩奈ちゃんがフォローを入れてくれる。
とはいえ、彼女も温泉の気持ちよさにご満悦のようだった。

「それにしても、彩奈ちゃん体が引き締まってて羨ましいわね!身体鍛えてるの?」

彩奈ちゃんの身体を見ると、クビレができていて全身スレンダーである。
お腹も引き締まり、むしろ若干腹筋が割れかけているし何か運動をしてないとこうはならないだろう。

「ああ、ちょっとホットヨガを……。」
「「ホットヨガ!?」」

私の知らない世界だ……今の子達って美意識ほんと高いわね……。
私もホットヨガすればこの二の腕とか……お腹とか引き締まるかな。
経産婦になると、どうしても産んだ時の後遺症でお腹が垂れてしまくし女には悩みは尽きないものである。

「もしあれなら、今度みなさん体験でもどうです?」
「だって、どうする?ことねさん。」
「……私も、身体が硬いし……正直デトックスしようかな。」

どうやら彼女は彼女なりに悩みがあるようだった。

「ちょっと!私を置いて話しないでください。」
「え、舞衣これ以上綺麗になる必要ある?めちゃくちゃ身体細いし肌綺麗じゃない。」

それこそ舞衣ちゃんは文句の付けようがなかった。
彼女は一体何を求めているのだろうか。

「……最近、体重死ぬほど増えたんですよ。」
「え、何キロ増えたのよ。」
「5kgです。」

「「「……。」」」

一同に沈黙と納得が響き渡る。
そ……そりゃああんだけ食ってれば、体重は増えるんだけど。

「た、食べるのすこし減らしたら?ほら……一度に減らしすぎるとストレスが溜まるって言うし。」
「それは無理です!お腹が空くんですよ!」

どうやら食べる量は特に関係ないらしい。
んー、かと言って……お腹も出てないからな。

「……。」
「あれ、どうしたの?彩奈ちゃん。」

すると、彩奈ちゃんは少し怖い顔付きになり、舞衣ちゃんの胸を鷲掴みにした。

「ちょ!?なにするの、やめて!」
「……舞衣、あんた胸と尻がでかくなったんじゃない?」
「え、彩奈……顔怖いんだけど……。」
「あのね舞衣……持たざる者としては、これは見過ごせないわよ。あなた2~3カップここ数年で増えてるし。」
「あ~確かに……彩奈に比べたら成長して……あ!ちょ……そんなに触らないでよ!あん!」

どうやら、太ったと言うよりも成長したというのが正しいらしい。
でも、彩奈ちゃんの胸も含めてスレンダーな身体が妙に哀愁を感じた。

程よく芯まで温まり、肩や首筋からも汗が出るのを感じる。
これが疲労物質が出るデトックスというものだと身体が理解する。
そして、温泉は普通のお風呂と違って毛穴をキュッと閉めてくれるのか温泉の温かさが身体の熱を保っている感じがした。

静かに……ただ時だけが過ぎていく感覚があった。
夕焼けに染まった山並みは日が沈むとやけに暗く感じて、東京と違ってあかりの少ない景色は少し不気味な暗黒に変わっていった。

「さて、私早めに出ますね!」
「もういいの?」
「はい!この後色々あるので!」

彩奈ちゃんが立ち上がる。身体から疲れを絞り出すようにして露天風呂から部屋に入り、3人になるのだけど……そこからは雑談をしては時間を贅沢にすごしていた。

その後ことねさんも出ては、舞衣ちゃんと二人きりになる。
いつもは直輝を挟んで話すから2人きりになるのは新鮮である。

「……なんか、珍しいね。この2人になるなんて。」
「確かにそうですね!」
「私は最後まではいるけど、舞衣ちゃんは?」
「私も最後まで入ります!」

再び2人に沈黙が走る。
彼女は直輝の彼女である。
時折直輝を振り回してはいるけど、時に支えたりしていいコンビである。
正直、あの日私がAVやってた事が直輝が成長したけど、彼女なしでは今の直輝はいなかったと思う。

「舞衣ちゃん、いつもありがとうね。直輝は舞衣ちゃんと居てから頼もしくなってる気がするよ。」
「あはは、それは良かったです。私もいつも直輝くんには感謝してます!」

どうやら、本当に仲が良いみたいである。
まあこうして家族ぐるみで接することもあるんだし、私としても嬉しい。

「それに、遥香さんも本当の私のお母さんのように優しく接してくれるのも……嬉しいんです。私、同居してるお父さんとは一緒にいるけど血が繋がってないし、私の本当の両親は今どこで何をしてるのかもわかんないから。」

彼女の心情を強く察する。
あれだけ過剰に直輝を縛るのも、彼女が寂しく居場所がないという孤独感があるのかもしれない。
彼女は、正直尖っているとは思うけど本質は酷く脆い一人の女の子なのだ。

「……1回、直輝くんと浮気で揉めたことあったんですけどね。」
「え、そなの!?」

ちょっと!何やってるのあの子!
……あ、でも私も仕事とはいえ色んな男性と行為に及んでるから人のこと言えないか。

「でも、ちょっとした誤解とかが重なっただけだし、私は直輝くんの優しさを知ってたから許したんです。
むしろ、誤解してから直輝くんに酷いこと言っても彼が許してくれたんですよ。」

それを聞いて、改めて息子の良さを思い出した。
私がAVしてた時も……彼は最後は受け入れて許してくれた。
直輝の良さって、ちゃんと別の方向からみて「許す」所が彼の良いところなのかもしれない。

「舞衣ちゃん、重く捉えたら申し訳ないんだけど……これからも直輝と仲良くしてね?もし、直輝が本当に嫌いになっても私は…………。」
「何言ってるんですか、遥香さん!」

私の言葉を、彼女は強く遮った。

「もう私決めたんです!直輝くんのこと……本気で愛そうと!何があっても今度は許す側になろうと思ったんですよ!だって……そんだけ直輝くんのこと、好きですから!!!」

彼女は、まるで宣言するかのように私に気持ちを伝えた。
彼女の縦長の黒い瞳が強く瞳孔を開き、不敵な笑顔を彼女は見せる。
私も、彼女を信じよう。そんな、不安が確信に変わる気持ちが私の心を熱くさせた。

熱いというか……最早熱すぎてのぼせてしまいそうだった。

「そろそろ……出ましょ。あなたと話せてよかった。」
「私もです!」

そう言って、私達も温泉を後にする。

火照った身体を浴衣が包み、湯冷めしないように程よく湿気を吸収してくれる。

脱衣所には既に着替えたことねさんや彩奈ちゃんも待っていたので、直輝と待ち合わせのロビーにむかった。

「直輝!お待たせ!」
「お、母ちゃん達……結構ゆっくり入ったね。」
「もう最高だったわよ!どう?私たち……美女になれたかな?」

直輝は「お……おう。」と若干引きつつもみんなの様子をみていた。
私たちは温泉に入り、肌から老廃物が排出されたので肌がツルツルになっている。
これだけでも効果は抜群だろう。

「あの……彩奈が温泉入ったあととは思えないほど化粧バッチリなんだけど。」

私たちは彩奈ちゃんの顔を見ると……入る前の崩れた化粧は見事に流れ落ちて、出発前と遜色ない化粧をしていた。

「び……美女の湯の……効果だよ。」
「嘘つけぇ!!」

少し暗くなり、雰囲気が不気味になったロビーは人気が少なくこれから夜になるのを示唆するようだった。
私たちは湯気を少しずつ排出し、ほんのりと温泉の香りを楽しんでいる。

程よくリラックスして、気がついたら私たちは空腹に胃が喘いでいた。
さて、この後はディナーである。

どんな夜が待っているのだろう。
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