僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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松本みなみの婚活日記

3話

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「あーー!もう!ムカつく!」

私は今日が給料日だったのでむしゃくしゃしながら家の近くのコンビニでたくさんのツマミとビール缶を6缶も買いヤケ酒に酔っていた。

しかし、怒りの矛先が行き場を無くしているので酒を飲んで自分を痛め付けることしか出来なかった。

「なにが35万円で化粧品セットを買って儲けるですか!こんなの儲かるわけないじゃない!馬鹿なんじゃないの!ほんと!!」

自宅のマンションで騒ぐ私。
幸いにも壁の厚いマンションなのでどれだけ叫んでも誰にも聞かれることがないので心置きなく私は怒りの叫びをあげていた。

しかし、その怒号すらもマンションの壁が反響して空虚さをより一層強めていた。
いかん……沈黙が耐えられない……。

なにか見よう……サブスクでもYouTubeでも……。
そう思い、私はスマホを見る。

こんな時に限っておすすめが恋愛ドラマばかりで吐きそうになってしまった。
やめて!なぜ私を世界はこんなにも攻撃するのよ!

とにかく私はスマホをいじると……あるチャンネルの生配信が目に入ってしまった。

「あ……ひろ〇きの配信だ。」

そう、目に入ったのはフランス在住の論破王だった。
いつも相手を見下しながらもきちんと事実を伝えて論破していく配信がたまたまやっていた。
私は、藁にもすがる思いでその配信をつけてみる。

しばらくすると、見慣れたひとつの部屋で画面を見ながらビールを片手に持つ論破王の姿がそこにはあった。

「いやぁー、女はね……30越えると価値って下がるもんなんすよ。だって高齢出産にもなるから……子供を作りたいと思う男にとってもリスクじゃないっすか~。」

いきなり耳が痛いことを笑顔で話すひろ〇きをみて心がグサグサと刺さる。
いや確かに26にはなったけど……まだ大丈夫じゃない?

「てか、〇〇さん、30で結婚出来てないってことは……おそらく理想が高すぎるか何かしら問題があるから残ってるんじゃないですか?自分で上の下の見た目とか言ってますけど、恐らくそうだったら結婚してると思うんすよね……。」

私のことを言われてる訳じゃないのに妙に私にも刺さることを論破王は酒を飲みながら笑顔で伝える。
妙に腹が立つけど、下手に煽てられるよりは今の私にとっては良薬口に苦しもいいところだった。

今日の配信は女性の話のようだった。
もしかしたら、私のことも論破して解決策が見つかるのかもしれない?
そんな事を思いつつ配信を聞く。

「あ~30でイケメンに抱かれたとしてもそれはぶっちゃけ穴モテです!男は穴があればいい生き物なんすよ!結婚したいってカテゴリーには入れず食い散らかされるだけです!」

いや何気にすごいこと言う………。
でも妙に炎上するどころかコメントは妙に穏便だった。
きっとこれを見てる人って答えが欲しいのかもしれないな。

私だって今日は金として見られた訳だし……男ってそういうとこがあるのかもしれない。

思い切ってコメントをしてみる。

「あー、次は……。」

しかし、ひろ〇きはスパチャを優先してコメントを拾うので私の無料のコメントは届くこともなかった。
少し待ったがスパチャばかりが拾われるので私は痺れを切らす。

……奨学金やらで金がないけど、これで答えが見つかるのなら安いものだ!
今の私の気持ちをぶつけてやる!

私は金を払いコメントを書いて拾ってもらうのを願った。
さて……どうか見て貰えますように。
神……いやひろ〇き縋る思いで私は恐る恐る送信を押す

「あ、次は……低所得ティーチャーさん。」
「きた!私だ!」

つい声を上げてしまった。
それだけ答えが欲しいのかもしれない。
ドキドキしながら私は耳を立てた。

「えー……仕事ばかりで出会いもなく、何とかしようと婚活の一環でマッチングアプリをはじめました。ですが今日初めて会ったイケメンでしたがマルチ商法の勧誘でした……ぷっ!ははは!ある意味レアっすね~。」

ちょ、笑わないでよ!
もうそれだけで泣きそうだった。

「えー失礼しました……、私は男性というのがよく分からず恋愛感情も特にないまま生きてきました。私は結婚向いてないのでしょうか?」

全てを読み上げてくれて心臓がバクバクとして耳が暑くなり、妙に声がクリアに聞こえた。
さて、どんな論破が待っているか……。

「えっと……諦めるにはまだ早いんじゃないっすかね?」

何と最初に来た言葉は優しい言葉だった。

「そりゃあね……マッチングアプリなんてヤリモクが多いわけだし、中にはそういう悪い人だっている訳なんですよ。でも……それだけで向いてないと決めつけるのは早すぎます!もっと他にも人と会ってみて検討材料増やせばいいんじゃないですか?」

た……たしかに。
私は向いてないと言うよりかはたまたまハズレを引いただけなのかも。

「でね……気になったのが低所得ティーチャーさん……結構余裕が無いようにも見えるんですよね。忙しくて頭が悪くなってるからそう決めつけちゃっただけで…………もう少し広い視野で考える方がいいと思いますよ。
まずは~周りの事もきちんと見てコミュニケーションを幅広くやるべきです!こんなおじさんに金使ってるより。」
「広い……視野……。」

確かに仕事でいっぱいいっぱいだったからひとつの失敗で全て否定された気になっていた。

「例えば……初めて自転車で乗れる人っていないじゃないですか!低所得ティーチャーさんは初めて自転車に乗ったら転んだに過ぎないんすよ!でも…………何度も転んでるから今無意識に乗れるようになってると思うんすよね!今日の失敗をつぎに活かせばいいんすよ!」

返す言葉もない……見事な論破だった。
分かりやすく迅速で的確な論破……それだけで私は膝を着いて、ははは……なんて乾いた笑いをしてしまう。


「それに、低所得ティーチャーさんはまだ若いと思いますけど……一番若いときは今です。だからできる限り経験した方がいいっすよ。」

そう言って、男はビールをのんでぷはぁと美味しそうに飲む。

論破王に私はあっさりと論破されてしまった。
コメントを見ると低所得ティーチャーさん頑張ってのコメントに溢れていて、それだけで胸が熱くなり涙が出そうだった。

「ちょ……お前ら頑張れって言う側じゃなくて、言われる側になってください。ここでコメントするな!」

私はその言葉を最後に配信を閉じてビールを一気飲みした。
諦めるな……松本みなみ。
まだ間に合う、まだできることはある。

私は、ビールを飲み干して身体に酔いが回って自身の言葉を高らかに宣言することにした。

「やってやる!何がなんでも……幸せゲットしてやる!今日の私は頑張った!!寝る!」

そう言って妙に酔いで軽くなった肩や腰を回してベッド・インをする。
すると、妙に安心すると同時に眠気が襲ってきてぐっすりと眠れる気がした。

論破王に見事に論破された私には心のドロドロしたものさえも打破してくれたような気がした。
壁が妙に冷たくなり……少しずつ冷えていく部屋の中私は布団に入り少しずつ、意識を遠のかせていった。

今日の天気は……月明かりが激しく照らす満月の夜だった。
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