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直輝と決意とクリスマスイブ
2話
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ピピッ!
タイマーが鳴り俺は机に突っ伏して力尽きてしまう。
時刻は21時を回っていて、本当にずっと勉強していたんだなと後から疲労の感覚だけがそれを物語っている。
「よし!終わりだな……どうだ?俺の医学部向けドラゴン塾は!」
「な……名前にツッコミどころ満載だけど、いつか学習塾開けるよ、龍。」
龍はずっとハイテンションで罵倒……もとい叱咤激励をしながら俺はひたすら勉強をしていた。
相変わらず彼は勉強のロジックを熟知していて医学部の入り方もしっかりと捉えている。
「にしてもよ~、偏差値60でこの学習度はちょっときびいよな。」
「え、医学部ってそんなに高いのか?」
「なおっち!夢はキチンとハードルを確認してから走った方がいいぞ?日本最低でも65はないとほぼ無理だ。」
「65!?」
うちの学校で成績が良い方になっていたから可能性あるかなと思ったけど完全に井の中の蛙だった。
本当に1年であげることができるのだろうか?
すると、龍は笑っていた。
「おい!簡単にはその夢諦めさせねえからな!俺にどうしてもなりてえっつったんだからよ!ビシバシいくぞ!」
「……うん、それくらいで頼む。」
「んじゃあ、俺はそろそろ帰るわ……お疲れさん!」
そういって龍は家を出ていく。
急に緊張が解れたのか俺は天井を一点に見つめていた。
すると、突然ドアをノックする音が聞こえた。
「お疲れ様~!ご飯作ったけど、食べる?」
「ああ……うん、食べるよ。」
そう、この人は俺の母ちゃんの天野遥香。
相変わらずの童顔と金髪で天真爛漫な雰囲気を出している。
つい先日までガンを発症して、手術したとは思えないほど母ちゃんはいつも通りまで戻っていた。
俺は1階に降りては晩飯を食べる。
今日の晩飯は野菜炒めと麻婆茄子だった。
ナスはしっかりとトロトロになるまで煮込まれているので食欲を掻き立てられる。
「……うまい。」
「いやー!すごい頑張ってたね!どう?医学部行けそう?」
「我ながら結構難しい目標を立てた気がする。」
そう言うと、母ちゃんはちょっと苦笑いしていた。
直人はなぜ学校にいなかったのかやっとわかった。
本当に頭がいいやつって学校じゃなくて独学で勉強に充てた方が効率がいいのだ。
「まあ、母ちゃんは直輝を応援してるから……やりたいようにやっていいからね!こちとら金はいくらでもあるんだから!」
金という単語で母親がAVで稼いだお金で留年して浪人ルートとか傍から聞くとド屑に聞こえて来たので絶対阻止しなきゃいけない気がしてきた。
「……よし、ちょっとやる気出たからもう少し勉強しようかな。」
「おお!その調子!」
俺は食事を平らげ、シャワーを浴びてから勉強机に向かったのだが、既にエネルギー切れの俺にとってはそこまで勉強することは出来ず、気がついたら眠っていた。
☆☆
翌日、俺は休みの日なので図書館で勉強することにした。
今日は龍は用事があるとの事だったので、とにかく集中できそうなところを探して、気がついたら図書館へとたっていた。
久しぶりに入ると、そこには静かな空間が広がっている。大学生や大人の人……いわゆる老若男女が至る所で勉強しているのだ。
俺は変わらなきゃ行けない。
龍の力を借りなくても、1歩でも進むべきと図書館で一人机と戦っていた。
模試の過去問を解いては苦手なところをピックアップしている。とりあえず偏差値60でしっかりと正解できるくらいになろうと俺はとにかく問題を解き続けていた。
「あれ?直輝くん……直輝くんだよね?」
俺は傾向で苦手なところがある。
例えば物理とかは法則や数式すら分かってないものもある。
応用と数字のところがとにかく苦手な傾向にある。
それは龍にも指摘されてきてる。
「おーい、聞いてる?」
さて、もう一度同じ範囲を復習をして、確実に頭に入れていこう。まずは基礎固めからスタートだ。
「こうなったら……えい。」
すると、俺の左手が誰かの右手で覆い被さっていた。
指を絡ませ、少し低い体温が手の甲を冷やす。
「うわあああ!?」
俺がびっくりして声あげると、周りの視線が一気にこっちに向いたので俺は右手で口を抑える。
横を見ると、少し見慣れた140cm台の小柄な黒髪の女の子がイタズラを楽しむようにこちらを見ていた。
彼女は石川愛……以前彼女のトラブルを助けたことはあったけど、彼女のこのからかい癖が苦手だったのもあり、俺はここ数ヶ月疎遠になっていた。
そうだった、この図書館……彼女の行きつけの場所だった。
「久しぶりだね……ひどいよ、私の連絡いつも3日後に来るんだから。」
「あ……愛さんか……。」
いかん、彼女は昔から俺をいじるのが好きだった。
勉強に集中したいから俺は少し距離を取る。
「すまん、ちょっと今集中してて。」
「うん、知ってる。」
「だからさ……その、隣で座ってると……気が散るというか。」
「嫌?」
「いや!?そんなことはないんだけど……。」
「じゃあ、隣で見ててあげる。」
いや、どうして上から目線なのだろう。
まあいい。ここは我慢比べだ。
俺は彼女を無視してとにかく筆をすすめた。
1時間……いや、2時間も経った。
彼女はずっと楽しそうに俺を眺めている。
少し目が合うと、俺は直ぐに目を逸らして必死に勉強していた。
変化は無いかと言われたら時折こんな場面がある。
「直輝くん……この範囲苦手なんだね。こう考えてみて?」
妙にアドバイスをくれるのだ。
俺は、少しプライドが邪魔しつつもその数式をやると、すんなりと解けてしまって、少し驚いたけど……その様子ですらも楽しんでるようだったのでまたひたすら勉強していた。
4時間が経った。
もう椅子に座って同じ体勢でいるのさえも苦痛だった。
少しめまいがして、俺はあっさりとギブアップしてしまった。
「ごめん、もう限界……。」
「あはは!私の勝ち!」
なんの勝負だよ!なんて突っ込む気力もなかった。
本当に彼女は4時間余裕の表情でこちらを見ていた。
「ねえ、直輝くん?すぐ隣にティラミスの美味しいイタリアンカフェあるからさ、行こうよ!」
「……分かりました。」
彼女の少しアニメ声のような甘い声で鼻歌を歌っている。
俺はいつもの猫背に戻っては彼女の背中を追いかけていた。
妙に調子が狂うから苦手だったんだよな。
でも、彼女はそれすらも楽しんでいる。
カフェに行くと、彼女はティラミスを頼んで俺はカフェラテを頼んで向かい合って座っていた。
妙に居心地が悪い。
何を話せばいいのかすら分からなかった。
「なんというか……久しぶりだね、元気にしてた?」
「うん、あれから彼とは別れて……今は楽しくやれてるよ。」
「そっか!色々悩んでたもんね……楽しそうで」
「特に今がいちばん楽しい!」
相変わらず彼女の心情が読めなかった。
4時間勉強してる姿を見てるだけなのに?
カフェラテの味もよく分からないほど俺はどこまでも彼女が苦手だった。
「なんか、直輝くんいい目をするようになったね。なんかあった?」
…………。
俺は言葉を失ってしまった。
全てを見られている気がする。
俺の周りはものすごく察しがいい友達が多いけど、彼女はその奥の奥まで見ている気がする。
「医者をやりたくなった。」
「なるほど!だから結構難しい問題を……でもなんで?」
「母ちゃんがガンになって、何も出来ない自分がいやだったからだよ。」
「本当に?前の君はもっとなよなよしてたのに、何かもっと強い理由を持ってた気がした。今の君は必死すぎるよ?」
そう言われると、俺は固まってしまった。
確かに、母ちゃんのガンは治っている。
それなのに必死に医学部行くってなるには動機はあまりにも弱いのだ。
相変わらず、彼女は本質が好きだった。
「……変な事、言っても笑わない?」
「うん、だって変な直輝くんが面白くて好きだから……教えて?」
俺は、ここらの中の檻をあけるかのようにゆっくりと息を吸った。
どうせ彼女は俺の人生にはそこまで関係しないから、言っても大丈夫……そんなノリで言ってみた。
「神隠しにあった。」
「うん。」
え、ノーリアクション?結構でかいこと言った気がするけど。
「沖縄の心霊スポットにいったら……16年前の沖縄にいた。」
「うんうん。」
「そこで、今は亡き父親に会って助けようと思ってけど……目の前で死ぬところを見てしまった。」
「うん。」
「最後に、父親の夢が医者になることだって言われた。俺は……彼を助けられなかった後悔と彼の夢を聞いて、目の前の命を助けられる医者になりたい……そんなところだ。」
ぶっちゃけ自分でも何を言ってるのか分からなかった。
中二病もいい所である。
そんなファンタジー、普通は起こるわけがない。
しかし、愛さんは静かに頷いて考えた。
「なるほどね……。」
「ほら!俺はそんな変なことを言う男だ!別に信じなくてもいい!」
「信じるよ。むしろ……その方が納得するから。」
俺は、固まってしまった。
皮肉にも、今の俺を1番理解出来るのは……1番苦手な彼女だった。
突然俺は少しだけ目頭が熱くなり、初めて自分のことを言った解放感と疲れが重なり泣いていた。
少しだけ、背負いすぎたのかもしれない。
「ごめん……ちょっと分かんないけど、涙が……出てきた。」
「ううん、大丈夫。」
彼女はいつまでも俺を観察していた。
楽しんでるようでもあったけど、どこか俺の本心に少しだけ共感するように。
「ねえ、直輝くん?今日……私とデートしない?」
カフェのコーヒーマシンがなる音や、静かな雰囲気、そして、たまに通る自動車の揺れだけが感じるこの静かな空間で……彼女はそんな提案をする。
俺は、どうしたらいいのだろう。
タイマーが鳴り俺は机に突っ伏して力尽きてしまう。
時刻は21時を回っていて、本当にずっと勉強していたんだなと後から疲労の感覚だけがそれを物語っている。
「よし!終わりだな……どうだ?俺の医学部向けドラゴン塾は!」
「な……名前にツッコミどころ満載だけど、いつか学習塾開けるよ、龍。」
龍はずっとハイテンションで罵倒……もとい叱咤激励をしながら俺はひたすら勉強をしていた。
相変わらず彼は勉強のロジックを熟知していて医学部の入り方もしっかりと捉えている。
「にしてもよ~、偏差値60でこの学習度はちょっときびいよな。」
「え、医学部ってそんなに高いのか?」
「なおっち!夢はキチンとハードルを確認してから走った方がいいぞ?日本最低でも65はないとほぼ無理だ。」
「65!?」
うちの学校で成績が良い方になっていたから可能性あるかなと思ったけど完全に井の中の蛙だった。
本当に1年であげることができるのだろうか?
すると、龍は笑っていた。
「おい!簡単にはその夢諦めさせねえからな!俺にどうしてもなりてえっつったんだからよ!ビシバシいくぞ!」
「……うん、それくらいで頼む。」
「んじゃあ、俺はそろそろ帰るわ……お疲れさん!」
そういって龍は家を出ていく。
急に緊張が解れたのか俺は天井を一点に見つめていた。
すると、突然ドアをノックする音が聞こえた。
「お疲れ様~!ご飯作ったけど、食べる?」
「ああ……うん、食べるよ。」
そう、この人は俺の母ちゃんの天野遥香。
相変わらずの童顔と金髪で天真爛漫な雰囲気を出している。
つい先日までガンを発症して、手術したとは思えないほど母ちゃんはいつも通りまで戻っていた。
俺は1階に降りては晩飯を食べる。
今日の晩飯は野菜炒めと麻婆茄子だった。
ナスはしっかりとトロトロになるまで煮込まれているので食欲を掻き立てられる。
「……うまい。」
「いやー!すごい頑張ってたね!どう?医学部行けそう?」
「我ながら結構難しい目標を立てた気がする。」
そう言うと、母ちゃんはちょっと苦笑いしていた。
直人はなぜ学校にいなかったのかやっとわかった。
本当に頭がいいやつって学校じゃなくて独学で勉強に充てた方が効率がいいのだ。
「まあ、母ちゃんは直輝を応援してるから……やりたいようにやっていいからね!こちとら金はいくらでもあるんだから!」
金という単語で母親がAVで稼いだお金で留年して浪人ルートとか傍から聞くとド屑に聞こえて来たので絶対阻止しなきゃいけない気がしてきた。
「……よし、ちょっとやる気出たからもう少し勉強しようかな。」
「おお!その調子!」
俺は食事を平らげ、シャワーを浴びてから勉強机に向かったのだが、既にエネルギー切れの俺にとってはそこまで勉強することは出来ず、気がついたら眠っていた。
☆☆
翌日、俺は休みの日なので図書館で勉強することにした。
今日は龍は用事があるとの事だったので、とにかく集中できそうなところを探して、気がついたら図書館へとたっていた。
久しぶりに入ると、そこには静かな空間が広がっている。大学生や大人の人……いわゆる老若男女が至る所で勉強しているのだ。
俺は変わらなきゃ行けない。
龍の力を借りなくても、1歩でも進むべきと図書館で一人机と戦っていた。
模試の過去問を解いては苦手なところをピックアップしている。とりあえず偏差値60でしっかりと正解できるくらいになろうと俺はとにかく問題を解き続けていた。
「あれ?直輝くん……直輝くんだよね?」
俺は傾向で苦手なところがある。
例えば物理とかは法則や数式すら分かってないものもある。
応用と数字のところがとにかく苦手な傾向にある。
それは龍にも指摘されてきてる。
「おーい、聞いてる?」
さて、もう一度同じ範囲を復習をして、確実に頭に入れていこう。まずは基礎固めからスタートだ。
「こうなったら……えい。」
すると、俺の左手が誰かの右手で覆い被さっていた。
指を絡ませ、少し低い体温が手の甲を冷やす。
「うわあああ!?」
俺がびっくりして声あげると、周りの視線が一気にこっちに向いたので俺は右手で口を抑える。
横を見ると、少し見慣れた140cm台の小柄な黒髪の女の子がイタズラを楽しむようにこちらを見ていた。
彼女は石川愛……以前彼女のトラブルを助けたことはあったけど、彼女のこのからかい癖が苦手だったのもあり、俺はここ数ヶ月疎遠になっていた。
そうだった、この図書館……彼女の行きつけの場所だった。
「久しぶりだね……ひどいよ、私の連絡いつも3日後に来るんだから。」
「あ……愛さんか……。」
いかん、彼女は昔から俺をいじるのが好きだった。
勉強に集中したいから俺は少し距離を取る。
「すまん、ちょっと今集中してて。」
「うん、知ってる。」
「だからさ……その、隣で座ってると……気が散るというか。」
「嫌?」
「いや!?そんなことはないんだけど……。」
「じゃあ、隣で見ててあげる。」
いや、どうして上から目線なのだろう。
まあいい。ここは我慢比べだ。
俺は彼女を無視してとにかく筆をすすめた。
1時間……いや、2時間も経った。
彼女はずっと楽しそうに俺を眺めている。
少し目が合うと、俺は直ぐに目を逸らして必死に勉強していた。
変化は無いかと言われたら時折こんな場面がある。
「直輝くん……この範囲苦手なんだね。こう考えてみて?」
妙にアドバイスをくれるのだ。
俺は、少しプライドが邪魔しつつもその数式をやると、すんなりと解けてしまって、少し驚いたけど……その様子ですらも楽しんでるようだったのでまたひたすら勉強していた。
4時間が経った。
もう椅子に座って同じ体勢でいるのさえも苦痛だった。
少しめまいがして、俺はあっさりとギブアップしてしまった。
「ごめん、もう限界……。」
「あはは!私の勝ち!」
なんの勝負だよ!なんて突っ込む気力もなかった。
本当に彼女は4時間余裕の表情でこちらを見ていた。
「ねえ、直輝くん?すぐ隣にティラミスの美味しいイタリアンカフェあるからさ、行こうよ!」
「……分かりました。」
彼女の少しアニメ声のような甘い声で鼻歌を歌っている。
俺はいつもの猫背に戻っては彼女の背中を追いかけていた。
妙に調子が狂うから苦手だったんだよな。
でも、彼女はそれすらも楽しんでいる。
カフェに行くと、彼女はティラミスを頼んで俺はカフェラテを頼んで向かい合って座っていた。
妙に居心地が悪い。
何を話せばいいのかすら分からなかった。
「なんというか……久しぶりだね、元気にしてた?」
「うん、あれから彼とは別れて……今は楽しくやれてるよ。」
「そっか!色々悩んでたもんね……楽しそうで」
「特に今がいちばん楽しい!」
相変わらず彼女の心情が読めなかった。
4時間勉強してる姿を見てるだけなのに?
カフェラテの味もよく分からないほど俺はどこまでも彼女が苦手だった。
「なんか、直輝くんいい目をするようになったね。なんかあった?」
…………。
俺は言葉を失ってしまった。
全てを見られている気がする。
俺の周りはものすごく察しがいい友達が多いけど、彼女はその奥の奥まで見ている気がする。
「医者をやりたくなった。」
「なるほど!だから結構難しい問題を……でもなんで?」
「母ちゃんがガンになって、何も出来ない自分がいやだったからだよ。」
「本当に?前の君はもっとなよなよしてたのに、何かもっと強い理由を持ってた気がした。今の君は必死すぎるよ?」
そう言われると、俺は固まってしまった。
確かに、母ちゃんのガンは治っている。
それなのに必死に医学部行くってなるには動機はあまりにも弱いのだ。
相変わらず、彼女は本質が好きだった。
「……変な事、言っても笑わない?」
「うん、だって変な直輝くんが面白くて好きだから……教えて?」
俺は、ここらの中の檻をあけるかのようにゆっくりと息を吸った。
どうせ彼女は俺の人生にはそこまで関係しないから、言っても大丈夫……そんなノリで言ってみた。
「神隠しにあった。」
「うん。」
え、ノーリアクション?結構でかいこと言った気がするけど。
「沖縄の心霊スポットにいったら……16年前の沖縄にいた。」
「うんうん。」
「そこで、今は亡き父親に会って助けようと思ってけど……目の前で死ぬところを見てしまった。」
「うん。」
「最後に、父親の夢が医者になることだって言われた。俺は……彼を助けられなかった後悔と彼の夢を聞いて、目の前の命を助けられる医者になりたい……そんなところだ。」
ぶっちゃけ自分でも何を言ってるのか分からなかった。
中二病もいい所である。
そんなファンタジー、普通は起こるわけがない。
しかし、愛さんは静かに頷いて考えた。
「なるほどね……。」
「ほら!俺はそんな変なことを言う男だ!別に信じなくてもいい!」
「信じるよ。むしろ……その方が納得するから。」
俺は、固まってしまった。
皮肉にも、今の俺を1番理解出来るのは……1番苦手な彼女だった。
突然俺は少しだけ目頭が熱くなり、初めて自分のことを言った解放感と疲れが重なり泣いていた。
少しだけ、背負いすぎたのかもしれない。
「ごめん……ちょっと分かんないけど、涙が……出てきた。」
「ううん、大丈夫。」
彼女はいつまでも俺を観察していた。
楽しんでるようでもあったけど、どこか俺の本心に少しだけ共感するように。
「ねえ、直輝くん?今日……私とデートしない?」
カフェのコーヒーマシンがなる音や、静かな雰囲気、そして、たまに通る自動車の揺れだけが感じるこの静かな空間で……彼女はそんな提案をする。
俺は、どうしたらいいのだろう。
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