僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

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天野家とみんなとハッピーニューイヤー

4話

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いつものテーブルには見たことない量の料理が並んでいる。

刺身の盛り合わせやおせち、さらに茶碗蒸しなど年末としてはまさにご馳走そのものだった。

俺は夢中になって料理を食べた。
なんて幸せで賑やかな夜なのだろう。

「そういえば……いつもはみんなどんな年末を過ごしてるの?」

母ちゃんがみんなに問いかける。
確かに気になる。
いつもは母ちゃんと2人きりで過ごすけど去年はなんかゲームしてたら新年になってたっけ。

「んー、大体親戚と集まるか旅行かなー。」

龍は顎に手を添えてぼんやりと答える。

「なんだよ、意外ときっちりしてるな。」
「おい、飯田……意外とはなんだ意外とは。」

そういえば龍のお父さんは某空港会社の役員だったから、そういう所はキッチリとしてるのかもしれない。

「でもよ……親戚の集まりって居心地わりいんだよな。
みんなきっちりしてて俺だけ異端みたいでよ~ここの方が居心地いいんだわ。」
「わかるわ~、龍くん…私も昔はそんな感じだったわよ。」

母ちゃんがそういって頷く。
そういえば、母ちゃんも元々しっかりとした家柄から出てたんだっけ?

「え、そうなんすか。遥香さん?」
「うん、元々家族からは医者になれーなんて言われてさ、ずっと勉強させられっぱなし。100点を取れないとめちゃくちゃ詰められてさ、君くらいの歳には家出しまくりだった。」
「うわー!意外な共通点!そうなんすよ、みんなそんな感じだから不良やってるとこあります。あ、お酒注ぎます?」

そう言って龍は慣れた手つきで母ちゃんのおちょこに日本酒を注ぐ。
おい、どこでその手法身につけた。

「でもすごいわね、医者に自分からなりたいって……私は生きるために必死でAV女優してたけど、それがあってたって感じだったし。」
「いいんすよ!自分の選んだ選択なんですから、人それぞれにそういう世界があって後悔がないなら胸張っていいんすよ!こうして直輝もちゃんと育ってるのはあんたの血のにじむ努力の結晶じゃないっすか!」

母ちゃんと友達の不良がなんかめっちゃ語ってる。
でもまあ本来はストイックな2人だからこそ通じるものがあるのかもしれない。

「龍くんいい子すぎる!うちの子にしたいくらい!」
「だってよ、なおっち。俺兄ちゃんな。」
「やめろ!マジでそれはきつい。」

知らないお兄ちゃんが出来てるとかホラーすぎるだろ。

「じゃあ!俺がお父さんになるよ、直輝。」
「「飯田は黙ってろ!」」

そうやって、いつもの通り時間は過ぎ去っていく。
でもその当たり前が続いたらいいなと願ってしまうほどには幸せだった。

時刻は21時をすぎる。
みんなの腹は満たされてきてるのでどうしようかと各々が考え出した。

「……みんな、この後どうする?」

飯田がみんなに問い掛ける。
紅白が終わるまであと2時間半はかかる。
それまでは惰性で見ておきたいって言うのはあるけど……話で終わるのはどうも惜しかった。

「すまん、そもそもスタンダードな年末の過ごし方がわからん。」
「まあ、直輝はそんなもんよな……各々眠っては初詣行く感じにする?」

すると、彩奈が立ち上がってニコニコとあることを提案する。

「ねえ、みんなで二年参り行かない?」
「「「「二年参り??」」」」

初めて聞いたので俺も気になって検索する。
現代のネットは本当に優秀で簡潔に答えを教えてくれる。

「なるほど……24時と年を挟む時間に寺や神社に行ってお参りするんだな。」
「ご名答!結構寒いけど……夜空が綺麗で花火が上がったりとかして結構贅沢な時間で好きなんだよね!」

確かにちょっと年末の夜更かしとしては楽しそうである。夜の神社……不気味だけどどこかの心霊スポットに行くよりかは100倍マシだった。

「じゃあ、二年参りやってみるか!みんなそれでいいか~?」

みんなは頷いて了承する。
ちょっとワクワクで眠気が過ぎ去るのを感じた。

今年はそんなノリの初めてのことが多かったけど、最後の最後までやったことない事で締めるのは凄く俺ららしい年末だと思った。

少しだけ、炭酸の抜けたジンジャーエールを飲んで喉を潤す。

そんな時、紅白では恒例のけん玉チャレンジが流れてきた。
演歌が流れながら、番号のゼッケンをつけた人がけん玉を大皿にのせている。
それを30超えた辺りで、母ちゃんがふと立ち上がり30秒くらいで戻ってきた。

「ねえ!みんなであれやらない?」
「へ?」

急に母ちゃんは子どものようにはしゃいでけん玉を持っては大皿に見事に乗せた。

「できた!はい、彩奈ちゃん!」
「えー、できるかな……ほっ!」

次に彩奈も成功。全身を使って真っ直ぐの軌道に持っていき意外と上手かった。

「次、飯田くん!」
「まじか!」

そう言って、飯田、瑞希、龍、舞衣と曲がクライマックスになるにつれ俺にも回ってくる。

って、俺トリかよ!?
運動神経が悪いからだで絶対に落ちないように緊張しながらゆっくりと玉を上げて受け止めた。

「「「おおおー!」」」

紅白のけん玉チャレンジも130で見事にギネスを達成する。
天野家のギネスも更新されて、その時ばかりは皆が一丸となる様子が楽しくて、身体が暑くなった。

「さっすが直輝、私の息子!」
「母ちゃんも……咄嗟にそれやろうとは普通は思わんよ。」
「これ、天野家の恒例行事にしよ!」

俺も楽しいとは思ったけど、母ちゃんは一際楽しくて……幸せな顔をしていた。
年末とは、1年の努力を労い楽しむカオスな時間だけど、カオスであればあるほど今年の輪がとても豊かに見えるようであった。

時刻は22時、あと1時間ちょいしたら……そろそろ二年参りに行くとしよう。
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