59 / 369
第5章 隣のグビ姉は小説家
8話
しおりを挟む
※この作品は「小説家になろう」「note」にも掲載中です
チュンチュン…
朝に雀の鳴き声が聞こえる。
過去に朝チュンと言う造語があったのだが、意味深に表現するこの言葉の意味をたった今理解した。
俺の横には笛吹さんがいる。
そして、あまりにも無防備に眠っていた。
「んー…んー。」
普段寝てるところは見てるのだがこんなに近くで見るのは初めてである。
そして、妙に体温の低い笛吹さんの温度が妙に心地よく感じた。
あれかな、酒とタバコで血管でも詰まってるんじゃね?というツッコミも今は無粋である。
表情をみると無防備な子どもそのものだった。
よく見ると本当に可愛い。
黙っていればきっと男はほっとくことは無いのだろう。
不意に、ぷるんとした唇を見て少しドキッとしてしまった。彼女はこの油断のある感じが妙に心を引きつけるから普段のドライな自分の対応に驚いてしまう。
考えれば考えるほど心拍数が上がるのを感じた…おちつけ、落ち着くんだ俺。
「…れんれん、おはよ。」
「うおっ!?」
びっくりした。
彼女は起きていたのだ。辞めてくれ、本当に心臓に悪いから。
「れんれん…すごくドキドキしてるね。」
「…笛吹さんのせいですよ。」
「でもね…、幸せな時間だったよ!」
「そ…それは。」
確かに俺も幸せじゃなかったかと言うと嘘である。
人との接触は心を安心させると聞くがそういったものもあるのかもしれない。
「へー……勃った?」
「やめてください!!」
起きると、彼女は相変わらずだった。
俺も変わらずである。
多分、距離感が分からなくなった俺に対しての彼女なりの気遣いなのだろう。
「昨晩は、お楽しみでしたね!」
「やめてください、起きますよ。コーヒー沸かしますから。」
俺は急いで離れてコーヒーを二人分淹れる。
とにかく、今はカフェインでも入れて状況の把握がマストである。
今日どこに行くか、とかね。
「笛吹さーん!コーヒー飲みます?」
「あ~れんれん~大丈夫~!私にはこれがあるから~。」
彼女は紙パックのお酒を飲んで朝イチから酔っ払ってしまった。
「あ!おいおい…早いですよ。」
「えへへ~迎え酒~、それからのiQOSを吸うと…あーー!ほんっと幸せ~えへへ~。」
昨晩の腕の中の少女はあっという間に酒タバコのジャンキーへと変貌していった。
おかげで俺の息子もいつも通りに落ち着いてくれた。
「もう…スイッチ入りすぎですよ。アルコール抜けてる日なんてあるんですか?」
「…アルコールの抜けきった私はね…トップシークレットなのだよワトソン君。」
「唐突なシャーロック・ホームズやめてください。」
「なんらよ~もう~これが飲んでいられるか~、追加!」
「待って!ほんと死にますよマジで!」
「紙パックの酒はワンコインで酔える…。」
「アル中の末期の方の考えを持ってやがる!この20代!」
なんだろう…普通はさ、男女が一夜をすごしたらコーヒー、朝チュンなどの爽やかだけど少し気まずい雰囲気があるもんだと思ったけど俺たちはそうはいかないみたいだった。
「そろそろ行きますよ。まだ行くところ沢山あるんですから!」
「…詰め込むんだね、れんれんって。」
「え!?」
「例えば…ここにグラスがありマース!」
「…そうですね。」
「じゃあ、ここに大きくて綺麗なロックグラスを入れます!」
「入りましたね。」
「このグラスは満タン?」
「いえ、隙間が沢山あります。」
「じゃあ…次に小さな氷を入れマース!」
「…入りましたね。」
「このグラスは満タン?」
「満タンじゃないんですか?」
すると、彼女はニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべた。
まるでなぞなぞを親が間違えた所を煽りたくなる子どものように。
「ぶっぶー!実は…酒がこんなに入りまーす!」
「いや!飲みたいだけじゃねえか!まだ残ってたんですか、ウイスキー!」
彼女は酒豪なのでこんな量のウイスキーも飲めるんだろうけど…飲むための下りを作るとはなんて策士なのだ。
「…話は終わってないよ、れんれん。」
「まだあるんですか!?酒はもう飲まないでください!」
「私がこの下りで何を言いたいかわかる?」
「んー、工夫しだいでいくらでも時間を詰めれるとか?」
グラスにできるだけ氷を入れたりしてるんだからそうなんじゃないだろうか?わからない、俺は頭がいい訳でもない…平均な男なのだから。
「ぶっぶー!」
「笛吹さん、精神年齢低いって周りから言われません?」
さっきから遊んでるでしょこの人。
「このグラスはね~、れんれんの時間そのもの!」
「ほう。」
「例えばさ、このグラスに今からおっきい氷は入ると思う?」
「入らないでしょうね。」
「そういうことよ!」
「いや、どういうことよ!」
彼女は時々主語とか言葉とか頭のネジとかが外れてる時あるから読み取れない。きっと彼女特有の感性というか、特性なのだろう。
「いーい?大きな氷はれんれんの大事なこと!小さい氷はどうでもいいこと!最初に大事なことをれんれんというグラスにいれないとどうでもいいことに囚われちゃうのよ!」
そして、彼女は一呼吸おいた。
「この旅の本質は目的地に着くことじゃなくて旅そのものを感じて行くのが目的なんだよ。目的地はあくまで手段!れんれんは今は手段に拘りすぎると思うな~。もっと私と楽しも!」
「あはは…確かに。」
俺は彼女の執筆を手伝おうと思ってたけど、いつの間にかジオスポットを巡るとか楽しむ事を忘れていたのかも知らない。
やっぱり、彼女は天才だ。
小説家たるもの…過程を楽しんで感性を刺激されなけばならないのかもしれない。
「楽しみましょう、目的のない…自分探しの旅にします!」
「それでよろしい!」
俺たちは、ホテルを出てバイクを走らせる。
この旅は笛吹さんの旅でもあるけど、俺の自分探しの旅にでもしよう。
とにかくバイクを走らせる。南へ…南へ…。
「う…アルコールが…足りねぇ…。」
「いや、どんだけ飲まなきゃ気が済まないんだよこのグビ姉がぁぁぁぁ!!」
俺たちの旅は、まだまだ続く。
東から来る陽光と潮風を浴びながら。
チュンチュン…
朝に雀の鳴き声が聞こえる。
過去に朝チュンと言う造語があったのだが、意味深に表現するこの言葉の意味をたった今理解した。
俺の横には笛吹さんがいる。
そして、あまりにも無防備に眠っていた。
「んー…んー。」
普段寝てるところは見てるのだがこんなに近くで見るのは初めてである。
そして、妙に体温の低い笛吹さんの温度が妙に心地よく感じた。
あれかな、酒とタバコで血管でも詰まってるんじゃね?というツッコミも今は無粋である。
表情をみると無防備な子どもそのものだった。
よく見ると本当に可愛い。
黙っていればきっと男はほっとくことは無いのだろう。
不意に、ぷるんとした唇を見て少しドキッとしてしまった。彼女はこの油断のある感じが妙に心を引きつけるから普段のドライな自分の対応に驚いてしまう。
考えれば考えるほど心拍数が上がるのを感じた…おちつけ、落ち着くんだ俺。
「…れんれん、おはよ。」
「うおっ!?」
びっくりした。
彼女は起きていたのだ。辞めてくれ、本当に心臓に悪いから。
「れんれん…すごくドキドキしてるね。」
「…笛吹さんのせいですよ。」
「でもね…、幸せな時間だったよ!」
「そ…それは。」
確かに俺も幸せじゃなかったかと言うと嘘である。
人との接触は心を安心させると聞くがそういったものもあるのかもしれない。
「へー……勃った?」
「やめてください!!」
起きると、彼女は相変わらずだった。
俺も変わらずである。
多分、距離感が分からなくなった俺に対しての彼女なりの気遣いなのだろう。
「昨晩は、お楽しみでしたね!」
「やめてください、起きますよ。コーヒー沸かしますから。」
俺は急いで離れてコーヒーを二人分淹れる。
とにかく、今はカフェインでも入れて状況の把握がマストである。
今日どこに行くか、とかね。
「笛吹さーん!コーヒー飲みます?」
「あ~れんれん~大丈夫~!私にはこれがあるから~。」
彼女は紙パックのお酒を飲んで朝イチから酔っ払ってしまった。
「あ!おいおい…早いですよ。」
「えへへ~迎え酒~、それからのiQOSを吸うと…あーー!ほんっと幸せ~えへへ~。」
昨晩の腕の中の少女はあっという間に酒タバコのジャンキーへと変貌していった。
おかげで俺の息子もいつも通りに落ち着いてくれた。
「もう…スイッチ入りすぎですよ。アルコール抜けてる日なんてあるんですか?」
「…アルコールの抜けきった私はね…トップシークレットなのだよワトソン君。」
「唐突なシャーロック・ホームズやめてください。」
「なんらよ~もう~これが飲んでいられるか~、追加!」
「待って!ほんと死にますよマジで!」
「紙パックの酒はワンコインで酔える…。」
「アル中の末期の方の考えを持ってやがる!この20代!」
なんだろう…普通はさ、男女が一夜をすごしたらコーヒー、朝チュンなどの爽やかだけど少し気まずい雰囲気があるもんだと思ったけど俺たちはそうはいかないみたいだった。
「そろそろ行きますよ。まだ行くところ沢山あるんですから!」
「…詰め込むんだね、れんれんって。」
「え!?」
「例えば…ここにグラスがありマース!」
「…そうですね。」
「じゃあ、ここに大きくて綺麗なロックグラスを入れます!」
「入りましたね。」
「このグラスは満タン?」
「いえ、隙間が沢山あります。」
「じゃあ…次に小さな氷を入れマース!」
「…入りましたね。」
「このグラスは満タン?」
「満タンじゃないんですか?」
すると、彼女はニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべた。
まるでなぞなぞを親が間違えた所を煽りたくなる子どものように。
「ぶっぶー!実は…酒がこんなに入りまーす!」
「いや!飲みたいだけじゃねえか!まだ残ってたんですか、ウイスキー!」
彼女は酒豪なのでこんな量のウイスキーも飲めるんだろうけど…飲むための下りを作るとはなんて策士なのだ。
「…話は終わってないよ、れんれん。」
「まだあるんですか!?酒はもう飲まないでください!」
「私がこの下りで何を言いたいかわかる?」
「んー、工夫しだいでいくらでも時間を詰めれるとか?」
グラスにできるだけ氷を入れたりしてるんだからそうなんじゃないだろうか?わからない、俺は頭がいい訳でもない…平均な男なのだから。
「ぶっぶー!」
「笛吹さん、精神年齢低いって周りから言われません?」
さっきから遊んでるでしょこの人。
「このグラスはね~、れんれんの時間そのもの!」
「ほう。」
「例えばさ、このグラスに今からおっきい氷は入ると思う?」
「入らないでしょうね。」
「そういうことよ!」
「いや、どういうことよ!」
彼女は時々主語とか言葉とか頭のネジとかが外れてる時あるから読み取れない。きっと彼女特有の感性というか、特性なのだろう。
「いーい?大きな氷はれんれんの大事なこと!小さい氷はどうでもいいこと!最初に大事なことをれんれんというグラスにいれないとどうでもいいことに囚われちゃうのよ!」
そして、彼女は一呼吸おいた。
「この旅の本質は目的地に着くことじゃなくて旅そのものを感じて行くのが目的なんだよ。目的地はあくまで手段!れんれんは今は手段に拘りすぎると思うな~。もっと私と楽しも!」
「あはは…確かに。」
俺は彼女の執筆を手伝おうと思ってたけど、いつの間にかジオスポットを巡るとか楽しむ事を忘れていたのかも知らない。
やっぱり、彼女は天才だ。
小説家たるもの…過程を楽しんで感性を刺激されなけばならないのかもしれない。
「楽しみましょう、目的のない…自分探しの旅にします!」
「それでよろしい!」
俺たちは、ホテルを出てバイクを走らせる。
この旅は笛吹さんの旅でもあるけど、俺の自分探しの旅にでもしよう。
とにかくバイクを走らせる。南へ…南へ…。
「う…アルコールが…足りねぇ…。」
「いや、どんだけ飲まなきゃ気が済まないんだよこのグビ姉がぁぁぁぁ!!」
俺たちの旅は、まだまだ続く。
東から来る陽光と潮風を浴びながら。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる