110 / 369
第9章 俺と母ちゃんの富士五湖修行
2話
しおりを挟む
俺と母ちゃんは、高速に乗って山梨に向かう。
大まかに東京から行くルートだとふたつある、神奈川に行ってから静岡に行って御殿場から北上して一気に富士五湖に行くルートか、八王子から一気に行くルートだった。
そして、車の中では冒険というプレイリストのせいか、「魔女の宅急便」で流れるルージュの伝言が流れていた。
子気味良いリズムが、これから何か楽しいことを示唆するようにウキウキとしたメロディだった。
特に、イントロのジャズ風のピアノがとてもたのしくて俺も歌い出したくなる
「あーのーひとーのママに会うためにー!あのーひとのー列車に乗ったのー♪」
「まて、母ちゃん早速歌詞を間違えてるぞ。あの人は列車保有してるんか!?超富豪じゃねえか。」
「…………なるほど、列車の保有か~アリね。」
「え、嘘だよな?母ちゃん。」
「なーんてね!流石に母ちゃんもそこまでは金ないわよ!車だって日本車が精一杯!」
母ちゃんが言うとマジで現実になりそうで怖い。
資産いくら保有してるのか分からないけど。
「そういえば、母ちゃん富士五湖って何があるか知ってるの?」
「…………。」
「おい、母ちゃん。なんで黙るんだ?」
「あ、談合坂サービスエリアって結構人気みたい!休んでく?」
「ちょっと待て、なんで話逸らすんだ?……もしかして、富士五湖って単語しか知らないってことは無いよな?」
「…………てへ。」
「てへ、じゃねえよ!おいおい聞いたことねえよ!目的地すらきめてないも同然じゃねえか!」
母ちゃんはこうやってたまにめちゃくちゃ抜けている時がある。
エネルギーはあるのだけれど、どこか無鉄砲なところが危なっかしい。
たまたまAV女優という道で成功してたけど、一歩間違えたら相当大変だったと思う。
俺はたまたま彩奈に貸してもらった漫画や、四尾連湖でキャンプした時に知ったので何とか頭に入っていた。
「あのな、母ちゃんよ。富士五湖っていうのはな?
本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖の5つの湖から成るものが富士五湖っていうんだ。」
「さすが私の息子、物知り!背中は任せたわ。」
「いや、生殺与奪を他人に握らせるなよ!」
本当に30数年間どうやって生きてきたのだろう。
母ちゃんは最強と危なっかしさが共存している歪な存在だ。
きっと、その歪さこそが唯一無二の存在になるキーだったのかもしれないけど。
「ちなみに今八王子だけど、どこから行くのが良さそう?」
俺はGoogleマップと富士五湖の位置を照らし合わせて、無理に高速のコストを考えない程度にルートを考えた。
んー、どうやら西から東へ行くルートが一般的らしい。
バスや車だが一般的でそのルートの方が帰るのも楽である。
母ちゃんの運転する体力も考えると負担がでかいので
最初に本栖湖、次に精進湖というルートがいいのかもしれない。
「母ちゃん、そしたら甲府南インターチェンジまで進んでそこから南下していこう。体力面もきついから、今日は精進湖という湖にホテルがあるからそこで宿泊して無理なく行こう。」
「さっすが私の息子!了解!」
母ちゃんは明るく返事をする。
いつも母ちゃんは明朗快活である。
コミュニケーションが明るいので、普段の俺のくらい性格も明るくなっていった。
高速での移動はそんな感じで進んでいく。
その間に俺はホテルに電話をして空きがあるか確認することにした。
電話であんまり予約とったことないけど、多分できる気がした。
プルルル……
「はい!レイクホテルです!」
「すみません、本日予約をしたいのですが空きはございますか?」
まず、要件を簡潔に言う……これが電話の大事なポイントらしい。ちょっと心拍数が緊張で上がる。
「はい!空いてますよ!何名様ですか?」
「2人です。ツインベッドだと助かります。」
「ツインですね!……えー、ちょうど空きがありました!それでは予約をお取りしますね!名前をお伺いします。」
「天野直輝です!」
「天野様ですね!電話番号は現在かけてる番号でよろしいですか?」
「はい!それで大丈夫です!」
「承知しました。それでは本日お待ちしております!」
「ありがとうございます、失礼致します。」
ツー……ツー……。
予約が取れたみたいだ。
俺も案外コミュニケーション取れるもんだと小さな成長を実感する。
意外とこうやって人は社会に順応していくのだろう。
「さっすがうちの息子!」
「まあ、母ちゃんの息子だからね。」
「どこにしたの?」
「レイクホテル浅ノ湖。」
「ええ!?まって、そこ知ってる!」
母ちゃんが驚いて、少しハンドルが乱れる。
ちょっとクラっとしたが嬉しそうな母ちゃんをみるとそこを突っ込まず冷静に聞く姿勢を貫いた。
「……知ってるの?」
「知ってるも何も、この前サブスクのドラマ観てたんだけどね!そこの舞台になってたとこだったのよ!私いつかそこも行きたいな~ってまがりせんべい食べながら思ってたら、思いがけないところで夢が叶っちゃった!」
どうやらドラマの舞台らしい。
彩奈といい、好きな物の聖地にいくと人はこれ以上にない喜びを見せる。
これも旅の醍醐味なのかもしれない。
「じゃあ、私今日は温泉も楽しめるわ~。」
「そういえば、そのドラマどんな話なの?」
「うーん……宇宙人とか未来人とか超能力者が出る話!」
あまりにも断片的すぎてドラマのイメージが湧くどころか、別のものが浮かんでしまった。
「え、母ちゃん……涼宮ハルヒでも見てたの?」
「え、ハルヒ?何それ?」
どうやらアニオタとドラマオタには決して分かり合えない次元の壁があるようだった。
いや、宇宙人未来人超能力者ってそのドラマ知らないとハルヒでしかないでしょ。
まあそんなツッコミを覚えていたら談合坂サービスエリアまで付いていた。
ここは、大きな商業施設のようなサービスエリアなので、中央道高速道路の人気の休憩スポットとなっていた。
「ひとまず、ここで何か食べて考えましょ!」
「そうだな。2時間近く運転したし、適度な休憩は大事だよ。」
そうして、俺たちは高速道路を左のレーンに入りサービスエリアに向かっていく。
ゆっくりと速さが減速しカーブされて、俺たちはゆっくりとリラックスモードに入っていく。
さあ、ランチの時間である。
大まかに東京から行くルートだとふたつある、神奈川に行ってから静岡に行って御殿場から北上して一気に富士五湖に行くルートか、八王子から一気に行くルートだった。
そして、車の中では冒険というプレイリストのせいか、「魔女の宅急便」で流れるルージュの伝言が流れていた。
子気味良いリズムが、これから何か楽しいことを示唆するようにウキウキとしたメロディだった。
特に、イントロのジャズ風のピアノがとてもたのしくて俺も歌い出したくなる
「あーのーひとーのママに会うためにー!あのーひとのー列車に乗ったのー♪」
「まて、母ちゃん早速歌詞を間違えてるぞ。あの人は列車保有してるんか!?超富豪じゃねえか。」
「…………なるほど、列車の保有か~アリね。」
「え、嘘だよな?母ちゃん。」
「なーんてね!流石に母ちゃんもそこまでは金ないわよ!車だって日本車が精一杯!」
母ちゃんが言うとマジで現実になりそうで怖い。
資産いくら保有してるのか分からないけど。
「そういえば、母ちゃん富士五湖って何があるか知ってるの?」
「…………。」
「おい、母ちゃん。なんで黙るんだ?」
「あ、談合坂サービスエリアって結構人気みたい!休んでく?」
「ちょっと待て、なんで話逸らすんだ?……もしかして、富士五湖って単語しか知らないってことは無いよな?」
「…………てへ。」
「てへ、じゃねえよ!おいおい聞いたことねえよ!目的地すらきめてないも同然じゃねえか!」
母ちゃんはこうやってたまにめちゃくちゃ抜けている時がある。
エネルギーはあるのだけれど、どこか無鉄砲なところが危なっかしい。
たまたまAV女優という道で成功してたけど、一歩間違えたら相当大変だったと思う。
俺はたまたま彩奈に貸してもらった漫画や、四尾連湖でキャンプした時に知ったので何とか頭に入っていた。
「あのな、母ちゃんよ。富士五湖っていうのはな?
本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖の5つの湖から成るものが富士五湖っていうんだ。」
「さすが私の息子、物知り!背中は任せたわ。」
「いや、生殺与奪を他人に握らせるなよ!」
本当に30数年間どうやって生きてきたのだろう。
母ちゃんは最強と危なっかしさが共存している歪な存在だ。
きっと、その歪さこそが唯一無二の存在になるキーだったのかもしれないけど。
「ちなみに今八王子だけど、どこから行くのが良さそう?」
俺はGoogleマップと富士五湖の位置を照らし合わせて、無理に高速のコストを考えない程度にルートを考えた。
んー、どうやら西から東へ行くルートが一般的らしい。
バスや車だが一般的でそのルートの方が帰るのも楽である。
母ちゃんの運転する体力も考えると負担がでかいので
最初に本栖湖、次に精進湖というルートがいいのかもしれない。
「母ちゃん、そしたら甲府南インターチェンジまで進んでそこから南下していこう。体力面もきついから、今日は精進湖という湖にホテルがあるからそこで宿泊して無理なく行こう。」
「さっすが私の息子!了解!」
母ちゃんは明るく返事をする。
いつも母ちゃんは明朗快活である。
コミュニケーションが明るいので、普段の俺のくらい性格も明るくなっていった。
高速での移動はそんな感じで進んでいく。
その間に俺はホテルに電話をして空きがあるか確認することにした。
電話であんまり予約とったことないけど、多分できる気がした。
プルルル……
「はい!レイクホテルです!」
「すみません、本日予約をしたいのですが空きはございますか?」
まず、要件を簡潔に言う……これが電話の大事なポイントらしい。ちょっと心拍数が緊張で上がる。
「はい!空いてますよ!何名様ですか?」
「2人です。ツインベッドだと助かります。」
「ツインですね!……えー、ちょうど空きがありました!それでは予約をお取りしますね!名前をお伺いします。」
「天野直輝です!」
「天野様ですね!電話番号は現在かけてる番号でよろしいですか?」
「はい!それで大丈夫です!」
「承知しました。それでは本日お待ちしております!」
「ありがとうございます、失礼致します。」
ツー……ツー……。
予約が取れたみたいだ。
俺も案外コミュニケーション取れるもんだと小さな成長を実感する。
意外とこうやって人は社会に順応していくのだろう。
「さっすがうちの息子!」
「まあ、母ちゃんの息子だからね。」
「どこにしたの?」
「レイクホテル浅ノ湖。」
「ええ!?まって、そこ知ってる!」
母ちゃんが驚いて、少しハンドルが乱れる。
ちょっとクラっとしたが嬉しそうな母ちゃんをみるとそこを突っ込まず冷静に聞く姿勢を貫いた。
「……知ってるの?」
「知ってるも何も、この前サブスクのドラマ観てたんだけどね!そこの舞台になってたとこだったのよ!私いつかそこも行きたいな~ってまがりせんべい食べながら思ってたら、思いがけないところで夢が叶っちゃった!」
どうやらドラマの舞台らしい。
彩奈といい、好きな物の聖地にいくと人はこれ以上にない喜びを見せる。
これも旅の醍醐味なのかもしれない。
「じゃあ、私今日は温泉も楽しめるわ~。」
「そういえば、そのドラマどんな話なの?」
「うーん……宇宙人とか未来人とか超能力者が出る話!」
あまりにも断片的すぎてドラマのイメージが湧くどころか、別のものが浮かんでしまった。
「え、母ちゃん……涼宮ハルヒでも見てたの?」
「え、ハルヒ?何それ?」
どうやらアニオタとドラマオタには決して分かり合えない次元の壁があるようだった。
いや、宇宙人未来人超能力者ってそのドラマ知らないとハルヒでしかないでしょ。
まあそんなツッコミを覚えていたら談合坂サービスエリアまで付いていた。
ここは、大きな商業施設のようなサービスエリアなので、中央道高速道路の人気の休憩スポットとなっていた。
「ひとまず、ここで何か食べて考えましょ!」
「そうだな。2時間近く運転したし、適度な休憩は大事だよ。」
そうして、俺たちは高速道路を左のレーンに入りサービスエリアに向かっていく。
ゆっくりと速さが減速しカーブされて、俺たちはゆっくりとリラックスモードに入っていく。
さあ、ランチの時間である。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる