僕のお母さんは△▽女優

kyonkyon

文字の大きさ
143 / 369
僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火

6話

しおりを挟む
ミンミンミンミン……

2日後、
夏の朝8時にここ東京に鳴り響くはミンミンゼミである。
セミの代表格のような力強く鳴くこのセミは夏のピークに鳴くことが多く、暑さも相まって季節を感じさせるが俺は鬱陶しささえ感じていた。

俺たちは今日、諏訪湖花火に行く。
毎年見るとしたら隅田川辺りが良いのだが、いつもと違う感覚に少し胸踊るような感覚もあった。

「本当に二人で大丈夫?」
「はい、直輝くんはお任せ下さい。ご飯やお召し物、全て面倒見ますから。」

いや、俺は預けられるペットかい!
そこまで見なくてもいいよ。

「そう?舞衣ちゃんが言うなら大丈夫だと思うけど。」
「いや母ちゃん、俺はまだ何も言ってないよ?ボケてるの?二人でボケてるの?」
「じゃあ、気をつけて行ってらっしゃい!直輝~?孫が偶然産まれちゃっても大丈夫だからね?」
「ちきしょー!ここツッコミ不在じゃねえか!」

まるでここに俺がいないみたいなやり取りで、花火大会への旅がスタートした。

「にしても暑いな~、もう汗だくだよ。」
「そう?」

とはいえ、舞衣も地味に暑そうな服をしている。
日傘と……Ank Rougeという若い女性向けのブランドのピンク色の服と黒いスカートのゴシックファッションを着こなし、暑いのに不気味にメイクは崩れる様子がなかった。

最近の新宿だとよく見る服装だけど、舞衣にはものすごくにあっていた。

そんな事を思ってると、舞衣は俺の手を握り出す。
瞬間、夏の暑さも相まってか心拍数が上がる。

「え、ちょ……。」
「どう?今日の私!」
「ま……まあまあかな。」

突然彼女の握力が強まる。
パワー系の舞衣の握力で俺の手は握り潰しそうだった。

「いだだだだ!可愛い!可愛いです!はい!」
「……どれくらい可愛い?」
「そうですね!神にこんなに可愛い彼女が居ることを感謝したいくらいですよ!あー!最高だなー!」

彼女と手を繋ぐというのはこんなにも心拍数が上がるんだな。
不思議と冷や汗もかくくらいだけど。

「……ありがと!今日はOKの日だから嬉しい。」
「なにが!?」

最近の女の子って進んでるな。
俺には少し意図が読めなかったけど、まだ読む必要は無いんじゃないかなと思った。

☆☆

夏の新宿駅は人々が所狭しとホームにぎっしりと立っている。
周りの炎天下と人々の体温で頭がどうにかなりそうだった。

えーっと、まずは9番ホームだったな。

「今回はどんなルートで行くの?」
「ああ、新宿から特急あずさで一気に行く。八王子、山梨でそっから上諏訪駅に降りるルートだな。」
「さっすが直輝くん!」
「そ……それほどでも。」

今回もルートのプランニングは俺がやる。
なんか最近旅行が得意になった気がする。

席は花火大会に行くのが決まった時点で指定席を取っておいた。
意外と自由席だと座れないことが多いらしいからな。
少しお金はかかるけど、旅は快適性が大事だ。

電車に座ると、全身をクーラーで少し冷えた車内が身体を癒してくれる。
暑いと身体が無意識に緊張感を覚え、汗を出していたので突然快適なところに行くとゆっくりと落ち着くものだ。

舞衣もポンポンと化粧を落とさないように気を配りながら汗を拭いていた。

「あ、直輝くん!このタオルつかって!汗拭いて快適になるわよ!」
「ああ、すまない。」

俺はタオルを受けとり、汗を拭っておく。
汗を吹くと更にジメッとした感覚がなくなってクーラーの冷風がより快適に感じた。
やっぱり昔からあるやり方って効果があるから続いてるんだな。

タオルをしまおうとすると舞衣が俺のタオルを掴んだ。

「ん?」
「タオル貰うわね!」
「いや、いいよ。汚いしなんか申し訳ない。洗って返すよ。」
「ううん!気にしないで!使……洗っておくから。」

……今使うって言いかけた?

まあいいや、最近の彼女というのはこうやってタオルを差し出しては閉まってくれるものなのか。
なんというか、健気というか献身的な感じもするけど。

「じゃあ、これしまっとくね!」
「ん?真空パックに入れるんだ。」
「あ、うん!!ほ……ほら、カバンとか汚れちゃうかもだし。」
「それならもらっ……。」
「大丈夫!もうこれ私のだから!」

すごい食い気味、というか所有?
少し理解に苦しんだけど、まあいいかと頭から働かすことにした。
……妙に悪寒がするのは気のせいかもしれないけど。

そんなことやり取りをしてたら、列車の扉が閉まり出す。
お、いよいよか……。
実は特急に乗るのが初めてだからどれくらい早いか気になっていたところである。

「舞衣は電車で旅行は初めて?」
「うん、初めてかも!なんだかんだ誰かと出かけるの直輝くんぐらいよ。」
「そっか……俺もだよ。お!もう四ツ谷過ぎちゃったか。」
「楽しみね~、花火とか出店とか辺り一面の湖とか……何から何まで全部楽しみ!」
「そうだな!今回宿も取ったわけだし、祭りとかでチョコバナナとかあるといいな。」
「直輝くんも可愛いとこあるわね!」
「じゃあ、舞衣は何が食べたいのよ。」
「……りんご飴?」
「いや、舞衣もチョイス可愛いな。」
「……もっと言って。」
「チョイス可愛い……?」

電車の中なのに俺たちは新婚夫婦のようなやり取りをする。
普段俺はドライに話す分少し恥ずかしい。
公衆の面前くらいはもう少しドライに行きたいのだが、舞衣が夏休みほとんど接していないので欲求が抑えられないようで行動がヒートアップしていた。

そして、電車はもう少しで八王子と東京圏を抜けようとしていた。
景色は灰色のコンクリートジャングルから少しずつ山並みに近づき、木々がお生い茂る緑へと変わっていく。

少しずつ非日常が近づく感覚にも慣れてきたのだが、やはりいつ感じてもこの気持ちは心を躍らせていた。

列車は西へ西へと進んでいく。
夏の日差し、緑が増していく道並み、クーラーに冷やされながら俺たちはまた未知の世界へ行く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...