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第一章
きみに出会う前
可愛い。
同じクラスの 真多 舞優里 (さなた まゆり)
彼女はクラス1、いや学年1とも言える程の美しさを持っている。彼女に憧れる女子生徒はもちろんだが、彼女に恋する男子生徒は数知れない。そんな、彼女に恋する男子生徒の一人が僕だ。
真っ黒なストレートの髪に白くハリのある肌。まん丸の瞳に包まれれば、あっという間に彼女の虜だ。これぞ、日本の清楚系女子。誰構わず困っている人を見れば助ける。顔も良ければ性格もいい。頭は、そこまで良くはないが決して悪い訳でもない。そこがまたいいっ!男はみんな馬鹿で、自分が女子より劣っているのは少し気が引ける生き物なのだ。まぁ、僕と彼女の接点はこれと言ってないのだが。強いて言うのならば、彼女のハンカチを僕が拾って彼女に渡しただけ。その時の、笑顔が忘れられない。丸い瞳が笑うと三日月のような形になる。彼女は、笑うと目が少しタレ目になる。これは、僕だけが知っている事なのかそれは分からない。彼女の笑顔はきっと、僕なんかじゃ届かない世界に生きる金持ちか、俳優並みのイケメンとでやっと釣り合うんだ。僕のこれは恋だが恋じゃない。アイドルを見てるのと同じだからだ。それでも、夏のカラッとした風にあの真っ黒な艶のある髪がなびく。その髪は彼女の白い肌の周りを優雅に踊る。まるで、美しい天使を守る黒い悪魔のようだ。迂闊に僕なんかが近付いたら首と体を切り分けられそうだ。彼女が髪を耳にかけると、彼女の微笑む横顔が姿を現す。そんな顔を見せつけられては、恋をしずにはいられない。彼女は、大人しい性格だが顔以外でも人望深いため彼女の周りには常に人がいる。その中でも特に仲のいいのが陽キャである 百々蔵 広斗(とどくら ひろと)だ。頭もよくスポーツではサッカーを得意としている。顔は平均より高いが、彼女(舞優里)と並ぶとイマイチ輝かない。それでも、十分モテる。そんな広斗に僕は警戒されている。理由は不明だ。広斗は彼女と幼い頃から仲が良かったらしい。いわゆる「幼馴染み」だ。家は向かいにあり、放課後はどちらかの家で遊んでいるらしい。学校内では密かに、付き合ってるのではないかと噂が流れるほどだ。僕には関係の無い事だ。彼女が誰のことを好きでも、彼女のことを誰が好きでも僕は何も出来ないから。勝手にやっててください。僕は平和な高校ライフを願っている。そんなある日、僕は広斗に呼び出される。みんなの目が痛い。特に女子の目は冷たく深く突き刺さった。使われていない空き教室に連れてこられた僕の心臓は最盛期を迎えていた。
広斗が口を開くのが先か僕が謝るのが先か、それは分からないかったが確実に分かったことは
広斗も僕も意味がわからないということ。こんがらがった糸を丁寧に解くように1つずつ一人ずつ話し始めることにする。まずは、僕から。
「あ、あの…すみません。僕が、彼女の、あっ、えっと…舞優里さんの事が好きってのが…気に食わないんですよね?気にしないでください!告白とか付き合うことも何も考えてないので。安心してください。」僕が必死に告白する勇気もないクズだと説明しているのに、広斗は堪えていた笑いが吹き出したように笑う。
「お前…ぐふふっ、、、はぁー、ひゃひゃひゃひゃひゃっ、、ちょっと…ふぅー、タンマ…」
広斗は僕に休憩を要求してきた。僕は仕方なく、要求をのんだ。数秒後。
「あのなー、そんなことでお前を呼び出したりしねぇーよ。それに、あいつのことを好きじゃないやつなんて男でいねぇーよ!」
そうだよなぁ、アイドル並みの女の子が近くにいたら誰だって好きになるか…うん?てことは、、、
「えっ、じゃあ、広斗くんも?」
広斗は頬と耳を赤く染めて恥ずかしさを隠しながら言った。やっぱりそうだったんだ。
「そうか…やっぱり2人は付き合ってたんだ」
僕の口から僕の意図とは関わらずにとび出た。
「ち、ちげーよ!!あいつは俺の事ただの幼なじみとしか見てねぇーんだよ!
でも、最近あいつが上の空で…」
そこから先が僕をここに連れてきた理由らしい。
「あいつ、上の空で好きな人出来たのか聞いてみたんだよ。ちょっとからかうつもりだったんだけど…顔を赤くして何も言わないんだ。」
はぁ…?それをなぜ僕に言うのか疑問に思う。
「俺、あいつに今まで恋愛とか興味ないってキャラを演じてきたから…今更聞づらいんだよ!
そこでだ!今のクラスまぁまぁなイケメンばっかだろ?この事を知られるのもやなのに…更に舞優里まで取られたら俺…死んじまうよぉー…」
この男…遠回しに僕のことをディスってないか?いや、事実なのは間違ってないけどここまで堂々と言われるとさすがに…
「はぁ。まぁ、いいですけど…どうすらば?」
「さっそくだが!今日の放課後に一緒に帰ってくれ。」
……
「はい……えっ!!
いや!ちょっと待ってくださいよ!僕と彼女では住む世界が違いすぎますし、一体どうやって誘えばいいんですかっ!?」
「そんなんテキトーに一緒に帰りましょ♪って」
いや、そうやって帰ってくれたのは広斗の顔があるからこそできる事だぞっ!
「しかも、そんな初めて喋った男に好きな人を言うとも限りません!このお話はなかったことに!」
僕は、ただ遠くから彼女を見ていればいいんだ。人間、欲を見せると ろくなことがない。
「まぁ!頑張れよっ!」
ん?
話聞いてました?
広斗は僕の言葉を聞かずに教室から出ていってしまった。この、言い逃げ犯め…
仕方なく僕はその日の放課後、勇気を出し彼女の元へ。
僕も広斗みたいに簡単に女の子を誘ってやるんだ!と意気込んだものの周りには人が絶えない。このまま家まで1人にならなかったらどうしよう。それって、もはやストーカー?!明日からクラスに俺の居場所がなくなるかもしれない。そんなことを考えていると、下駄箱のところで彼女は1人になる。チャンスは今しか無かった。
「ぁぁぁああ、あの!」
彼女の肩がビクッとはねあがる。驚かせてしまって申し訳ない。
「えっと、僕…同じクラスの…ってそんなことより……今日一緒に帰って貰えませんか?」
彼女の顔は僕が今までに見たこともない程、驚いていた。普段から丸い瞳が更に大きく丸くなる。「えっと、全然いいんだけど…方向違くない?」
僕はそこでハッと驚く。
「あっ!確かに!でも、大丈夫です。あっ、舞優里さんがダメでしたか…すみません。気が利かなくて…」
女子は最初は全然いいよー的な空気をだすが、嫌だと何かと理由をつけて断るらしい。(Google調べ)
ふふっ
どこからか、美しい笑い声が聞こえてくる。これは!彼女が僕を見て笑っている!?
「ううん、嫌じゃない!一緒に帰ろ?」
一瞬、背中を見せてこちらを振り返り僕にあの笑顔を見せてくれた。
僕のライフはもう0よ?
一緒に帰ってくれたはいいけど、何を話せばいいのか全く持ってわからない。何か、共通の趣味でもあればいいんだが…彼女が何を好いているのかわからない。
「えっと、、、何を話せばいいですかね?」
分からなくてこれしか出てこなかった。これは、1番言ってはいけない言葉なのか?それでも彼女はまたあの笑顔を僕にみせて言った。
「ホントっ、正直すぎ!」
よかった、一旦彼女は怒っていないことに安堵する。彼女が口を開く。
「私は、サツマイモと梅干しが食べ物の中では大好き!サツマイモと梅干しで争いが怒ったら私はきっと止められないと思うわ。あと、フルーツはみんな好き!」
ははっ、逆にサツマイモと梅干しの争いを見てみたいものだ。それと、僕も梅干しが好きだ。共通点があるだけでなんだかとても嬉しく感じるのは何故だろう。
「ぼぼ、僕は、アニメとか漫画も大好きで特にバトル系が好きなんだ。」
って、こんなこと言って女の子には分からないか…ほんと、僕はとことん馬鹿で使えないな。
「えっ、私も!バトル系が一番カッコイイよね!」またもや、ここに共通点。
彼女との時間はまさに、あっという間だった。僕は彼女の家まで送ると言い彼女の家まで来てしまった。レンガが綺麗に並ばれている壁が印象的だ。庭もあるように見え、庭には彼女が小さい時遊んでいたであろう古びた滑り台があった。
彼女との別れがもうすぐそこまで迫っていた。人間、欲を出すとろくな事が無い。分かってる。でも、僕は欲に負けた。
「舞優里さん!…」
彼女は、驚いてこちらを向く。
彼女の髪や白いハリのある肌が紅い夕日に照らされていた。
「僕…また明日も舞優里さんと一緒に!…帰りたい…です。」
おこがましいにも程がある。どうせ断られるのはわかっている。でも、僕は言ったぞ!
いつだって僕は、「出来ない」「仕方ない」を言い訳にして何もやってこなかった。
「えっと…」
明らかに困った顔をする彼女を見て冷静になった。そうだ、こんな僕なんかに構ってくれたのはただの優しさなんだった。だって、彼女はそういう性格なんだから。そこが好きでたまらないんだ。それでも、この時だけは彼女の優しさが僕の心を強く握る潰した。やっぱり、僕なんかが勇気を出したって、何も変わらない。彼女を困らせるぐらいなら、こんなちっぽけな1歩を踏み出さなければよかったんだ。
「ごめん。なんでもない。なんでもない。」
自分に言い聞かせるように彼女に言った。
「ほんとに、今のは忘れて。今日のことはなかったことにしてくれるとありがたいです。」
そう言い残し僕は走って家まで帰った。息が切れるのは、走ってるせいなのか、泣いているせいなのか、それは分からない。こんな、ダサいことをするならあいつの話も無視して1人で帰っていればよかったんだ。そしたら、こんな遅い時間に帰ることもない。1人で帰ってたら今頃、漫画に癒されてる最中だ。…勇気なんていらない。時間を巻き戻す力があればいいのに…そう心の中で何度も呟いた。
同じクラスの 真多 舞優里 (さなた まゆり)
彼女はクラス1、いや学年1とも言える程の美しさを持っている。彼女に憧れる女子生徒はもちろんだが、彼女に恋する男子生徒は数知れない。そんな、彼女に恋する男子生徒の一人が僕だ。
真っ黒なストレートの髪に白くハリのある肌。まん丸の瞳に包まれれば、あっという間に彼女の虜だ。これぞ、日本の清楚系女子。誰構わず困っている人を見れば助ける。顔も良ければ性格もいい。頭は、そこまで良くはないが決して悪い訳でもない。そこがまたいいっ!男はみんな馬鹿で、自分が女子より劣っているのは少し気が引ける生き物なのだ。まぁ、僕と彼女の接点はこれと言ってないのだが。強いて言うのならば、彼女のハンカチを僕が拾って彼女に渡しただけ。その時の、笑顔が忘れられない。丸い瞳が笑うと三日月のような形になる。彼女は、笑うと目が少しタレ目になる。これは、僕だけが知っている事なのかそれは分からない。彼女の笑顔はきっと、僕なんかじゃ届かない世界に生きる金持ちか、俳優並みのイケメンとでやっと釣り合うんだ。僕のこれは恋だが恋じゃない。アイドルを見てるのと同じだからだ。それでも、夏のカラッとした風にあの真っ黒な艶のある髪がなびく。その髪は彼女の白い肌の周りを優雅に踊る。まるで、美しい天使を守る黒い悪魔のようだ。迂闊に僕なんかが近付いたら首と体を切り分けられそうだ。彼女が髪を耳にかけると、彼女の微笑む横顔が姿を現す。そんな顔を見せつけられては、恋をしずにはいられない。彼女は、大人しい性格だが顔以外でも人望深いため彼女の周りには常に人がいる。その中でも特に仲のいいのが陽キャである 百々蔵 広斗(とどくら ひろと)だ。頭もよくスポーツではサッカーを得意としている。顔は平均より高いが、彼女(舞優里)と並ぶとイマイチ輝かない。それでも、十分モテる。そんな広斗に僕は警戒されている。理由は不明だ。広斗は彼女と幼い頃から仲が良かったらしい。いわゆる「幼馴染み」だ。家は向かいにあり、放課後はどちらかの家で遊んでいるらしい。学校内では密かに、付き合ってるのではないかと噂が流れるほどだ。僕には関係の無い事だ。彼女が誰のことを好きでも、彼女のことを誰が好きでも僕は何も出来ないから。勝手にやっててください。僕は平和な高校ライフを願っている。そんなある日、僕は広斗に呼び出される。みんなの目が痛い。特に女子の目は冷たく深く突き刺さった。使われていない空き教室に連れてこられた僕の心臓は最盛期を迎えていた。
広斗が口を開くのが先か僕が謝るのが先か、それは分からないかったが確実に分かったことは
広斗も僕も意味がわからないということ。こんがらがった糸を丁寧に解くように1つずつ一人ずつ話し始めることにする。まずは、僕から。
「あ、あの…すみません。僕が、彼女の、あっ、えっと…舞優里さんの事が好きってのが…気に食わないんですよね?気にしないでください!告白とか付き合うことも何も考えてないので。安心してください。」僕が必死に告白する勇気もないクズだと説明しているのに、広斗は堪えていた笑いが吹き出したように笑う。
「お前…ぐふふっ、、、はぁー、ひゃひゃひゃひゃひゃっ、、ちょっと…ふぅー、タンマ…」
広斗は僕に休憩を要求してきた。僕は仕方なく、要求をのんだ。数秒後。
「あのなー、そんなことでお前を呼び出したりしねぇーよ。それに、あいつのことを好きじゃないやつなんて男でいねぇーよ!」
そうだよなぁ、アイドル並みの女の子が近くにいたら誰だって好きになるか…うん?てことは、、、
「えっ、じゃあ、広斗くんも?」
広斗は頬と耳を赤く染めて恥ずかしさを隠しながら言った。やっぱりそうだったんだ。
「そうか…やっぱり2人は付き合ってたんだ」
僕の口から僕の意図とは関わらずにとび出た。
「ち、ちげーよ!!あいつは俺の事ただの幼なじみとしか見てねぇーんだよ!
でも、最近あいつが上の空で…」
そこから先が僕をここに連れてきた理由らしい。
「あいつ、上の空で好きな人出来たのか聞いてみたんだよ。ちょっとからかうつもりだったんだけど…顔を赤くして何も言わないんだ。」
はぁ…?それをなぜ僕に言うのか疑問に思う。
「俺、あいつに今まで恋愛とか興味ないってキャラを演じてきたから…今更聞づらいんだよ!
そこでだ!今のクラスまぁまぁなイケメンばっかだろ?この事を知られるのもやなのに…更に舞優里まで取られたら俺…死んじまうよぉー…」
この男…遠回しに僕のことをディスってないか?いや、事実なのは間違ってないけどここまで堂々と言われるとさすがに…
「はぁ。まぁ、いいですけど…どうすらば?」
「さっそくだが!今日の放課後に一緒に帰ってくれ。」
……
「はい……えっ!!
いや!ちょっと待ってくださいよ!僕と彼女では住む世界が違いすぎますし、一体どうやって誘えばいいんですかっ!?」
「そんなんテキトーに一緒に帰りましょ♪って」
いや、そうやって帰ってくれたのは広斗の顔があるからこそできる事だぞっ!
「しかも、そんな初めて喋った男に好きな人を言うとも限りません!このお話はなかったことに!」
僕は、ただ遠くから彼女を見ていればいいんだ。人間、欲を見せると ろくなことがない。
「まぁ!頑張れよっ!」
ん?
話聞いてました?
広斗は僕の言葉を聞かずに教室から出ていってしまった。この、言い逃げ犯め…
仕方なく僕はその日の放課後、勇気を出し彼女の元へ。
僕も広斗みたいに簡単に女の子を誘ってやるんだ!と意気込んだものの周りには人が絶えない。このまま家まで1人にならなかったらどうしよう。それって、もはやストーカー?!明日からクラスに俺の居場所がなくなるかもしれない。そんなことを考えていると、下駄箱のところで彼女は1人になる。チャンスは今しか無かった。
「ぁぁぁああ、あの!」
彼女の肩がビクッとはねあがる。驚かせてしまって申し訳ない。
「えっと、僕…同じクラスの…ってそんなことより……今日一緒に帰って貰えませんか?」
彼女の顔は僕が今までに見たこともない程、驚いていた。普段から丸い瞳が更に大きく丸くなる。「えっと、全然いいんだけど…方向違くない?」
僕はそこでハッと驚く。
「あっ!確かに!でも、大丈夫です。あっ、舞優里さんがダメでしたか…すみません。気が利かなくて…」
女子は最初は全然いいよー的な空気をだすが、嫌だと何かと理由をつけて断るらしい。(Google調べ)
ふふっ
どこからか、美しい笑い声が聞こえてくる。これは!彼女が僕を見て笑っている!?
「ううん、嫌じゃない!一緒に帰ろ?」
一瞬、背中を見せてこちらを振り返り僕にあの笑顔を見せてくれた。
僕のライフはもう0よ?
一緒に帰ってくれたはいいけど、何を話せばいいのか全く持ってわからない。何か、共通の趣味でもあればいいんだが…彼女が何を好いているのかわからない。
「えっと、、、何を話せばいいですかね?」
分からなくてこれしか出てこなかった。これは、1番言ってはいけない言葉なのか?それでも彼女はまたあの笑顔を僕にみせて言った。
「ホントっ、正直すぎ!」
よかった、一旦彼女は怒っていないことに安堵する。彼女が口を開く。
「私は、サツマイモと梅干しが食べ物の中では大好き!サツマイモと梅干しで争いが怒ったら私はきっと止められないと思うわ。あと、フルーツはみんな好き!」
ははっ、逆にサツマイモと梅干しの争いを見てみたいものだ。それと、僕も梅干しが好きだ。共通点があるだけでなんだかとても嬉しく感じるのは何故だろう。
「ぼぼ、僕は、アニメとか漫画も大好きで特にバトル系が好きなんだ。」
って、こんなこと言って女の子には分からないか…ほんと、僕はとことん馬鹿で使えないな。
「えっ、私も!バトル系が一番カッコイイよね!」またもや、ここに共通点。
彼女との時間はまさに、あっという間だった。僕は彼女の家まで送ると言い彼女の家まで来てしまった。レンガが綺麗に並ばれている壁が印象的だ。庭もあるように見え、庭には彼女が小さい時遊んでいたであろう古びた滑り台があった。
彼女との別れがもうすぐそこまで迫っていた。人間、欲を出すとろくな事が無い。分かってる。でも、僕は欲に負けた。
「舞優里さん!…」
彼女は、驚いてこちらを向く。
彼女の髪や白いハリのある肌が紅い夕日に照らされていた。
「僕…また明日も舞優里さんと一緒に!…帰りたい…です。」
おこがましいにも程がある。どうせ断られるのはわかっている。でも、僕は言ったぞ!
いつだって僕は、「出来ない」「仕方ない」を言い訳にして何もやってこなかった。
「えっと…」
明らかに困った顔をする彼女を見て冷静になった。そうだ、こんな僕なんかに構ってくれたのはただの優しさなんだった。だって、彼女はそういう性格なんだから。そこが好きでたまらないんだ。それでも、この時だけは彼女の優しさが僕の心を強く握る潰した。やっぱり、僕なんかが勇気を出したって、何も変わらない。彼女を困らせるぐらいなら、こんなちっぽけな1歩を踏み出さなければよかったんだ。
「ごめん。なんでもない。なんでもない。」
自分に言い聞かせるように彼女に言った。
「ほんとに、今のは忘れて。今日のことはなかったことにしてくれるとありがたいです。」
そう言い残し僕は走って家まで帰った。息が切れるのは、走ってるせいなのか、泣いているせいなのか、それは分からない。こんな、ダサいことをするならあいつの話も無視して1人で帰っていればよかったんだ。そしたら、こんな遅い時間に帰ることもない。1人で帰ってたら今頃、漫画に癒されてる最中だ。…勇気なんていらない。時間を巻き戻す力があればいいのに…そう心の中で何度も呟いた。
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